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ディストピア2030〜信じるか信じないかはあなた次第〜  作者: 地野千塩


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異世界スローライフ〜もし陰謀論者が異世界転移してしまったら〜

 Mはイライラしていた。今日も駅前でワクチンの害を訴えていたのに、「陰謀論者w」「都市伝説?」と笑われた。


 Mはこういった思想には全く興味がなかったが、親戚の叔父がアレを打ってから半身麻痺になり、すっかりこっち側に寝返った。女子大生という花の時期だが、こんな活動に時間も金も費やしていた。


 叔父がきっかけだったが、抗うつ薬、食品添加物、電磁波、マスメディアや宗教の闇に気づき、今や立派な陰謀論者。仲間と共にこうした訴えや発信もやっていた。


「本当、アレを打つ神経がわからん!」


 愚痴をこぼしながら、帰り道を歩いていると突然、トラックが突っ込んできた!?


 逃げる暇もなかったが、気づいたら別の世界にいた。


 空が日本と違って妙に青く、空気も新鮮。電磁波もないようだ。この土地にいるだけで身体が軽い。目の前には野菜畑が広がっていたが、見た事もない形状の野菜が植えられていた。キャベツとほうれん草の中間のような形や色。


 土の匂いも嗅いでいみたが、農薬臭さがしない。大地の匂いがする。妙な野菜だが、生命力があり、大きく、これはオーガニック野菜か?


 Mは陰謀論者になってからオーガニック野菜に目がない。この野菜畑を見ているだけで幸せだ。さっそくこの農家に交渉して、素晴らしい野菜をゲットしなければ!


 農家の人間は、東南アジアのようなルックスだった。明らかに日本人と違う。言葉も通じないが、Mは身振り手振りで事情を説明した。


 なぜか分からないが、しばらく農家に滞在する事になった。


 その生活はMにとっては、理想そのもののスローライフ。野菜は全部オーガニック。水は井戸水。湧水も飲み放題。空気も綺麗で、夜は美しい星空。食生活も質素で一日一食。雑穀のパンや硬いパンが、世界で一番美味しいもののようの感じる。電磁波もない。テレビもない。洗脳するメディアやネット、宗教、それにワクチンがないのも嬉しすぎる。村人は素朴で、洗脳されてないから、優しい。人らしい良心を持ち、丁寧に野菜や工芸品を作っている姿は、Mも感服してしなう。


 言葉が通じなかったMだが、スローライフを楽しみながら、この国が剣と魔法の異世界・フェアロックという場所である事を知った。この村は魔法の加護はほとんど無いので、農業や工芸品で細々と丁寧にスローライフを送っているという。


 最初はMのような異世界人も警戒された。何でもD子という日本人女性がこの村に異世界転移してきたそうだが、村の食文化を馬鹿にし、あげく日本食もごり押しし、嫌われていたと言う。今はD子は王都にいるらしいが。


「へえ、そんな変な日本人女性がいたんですか? でも私はこの村が大好きです! ワクチンが無いんですから!この栄養たっぷりの硬いパンも最高です!」

「いや、Mよ。それはいいが、ワクチンって何だべさ?」


 一方、Mはこの村の食文化や生活が大変きにいり、村人とも上手くやっていた。すっかりMは村に馴染み、美味しい野菜作りや工芸品作りを手伝い、スローライフを楽しんでいた。


「ああ、この村の生活って最高!」


 今日もMは泥だらけになりながら、美味しい野菜を収穫し、硬いパンと質素な野菜スープを食べる。そんな日常が何よりも楽しいものだった。めでたし、めでたし。


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