第3話 ライジングサン
午後6時。エレベーターを降りると、3階の鳳凰の間へ入った。
すでに、数名の参加者たちが集まっており、歓談を楽しんでいた。
長いテーブルに横に並んで向かい合って席に着いた。
日本側の防衛省。大臣をはじめとする職員15名。
アメリカ合衆国側の国防省。長官をはじめとする職員15名。
Dr.ナイジェルは、控えの間にて秘書たちと一緒に席に着いた。
順番に、ディナーの料理が運ばれる。和やかな雰囲気の中、
ジミーが身を乗り出すと、通訳なしで流暢な英語で会話を楽しむ
防衛大臣の角田晃一の話に、真剣に耳を傾けている様子が目に入った。
少しして、角田がふいに席を立った。
飲み過ぎた様子で、夜風にあたり酔いを醒ます為らしい。
遠目からも、やや、右肩下がりに歩いているのが気になった。
「Dr.ナイジェル。あなたに紹介したい人がいる」
ジミーが控えの間に顔を出すと、Dr.ナイジェルに近づいた。
2人がバルコニーへ行くと、驚いたことに、角田が地面に横たわっていた。
「Mr.角田。大丈夫ですか? 」
Mr.ナイジェルが、角田の遺体に歩み寄ると聞いた。
横に傾けた顔の頬が赤くなっており、
眼は固く閉じられて、口は半開きの状態だ。
(赤くなった頬は、アルコールが原因なのだろうか? )
Mr.ナイジェルが遺体の異変に気付いたが、
とりあえず、専門家の診断を聞くことにした。
すぐに、警視庁の刑事と検視官たちが、現場へ駆けつけた。
「医師のナイジェルと申します。検視結果を教えて下さい」
Dr.ナイジェルが、検視官に聞いた。
「目立った外傷がありません。恐らく、心不全かと思います」
検視官が冷静に答えた。
「はたして、そうでしょうか‥‥ ? 」
「何か気になる事でもあるんですか? 」
Dr.ナイジェルが、検視官の表情が、
固くなったのを見て見ぬふりをすると指摘した。
「足のかかとに、小さな焦げ跡2箇所。
これは、電流斑に違いない」
「体中に、電流が貫通した後にできる斑のことですよね?
考えられるのは、落雷死ということですか?
しかし、今夜は晴れていますし、
雷が落ちたという報告もありませんよ」
検視官が冷静に告げた。
「とにかく、もっと、よく、調べた方が良いと思います」
「そうですね」
角田の遺体が都内の病院へ搬送された。
翌日。国際会議は通常通り開催された。
その日の午後。帝都大学病院へ入院する為、
ホテルに帰宅するとすぐ、荷物をまとめた。
Dr.ナイジェルが、角田の死亡かいぼうの結果を気にしていると、
ジミーも気になっていたらしく、防衛省に質問状を送った。
出発ギリギリ、PCにメールが届いた。
「結果は以下の通りです。
直接の死因は感電による心不全。
決め手は、電流斑と肺水腫。
気になる点は、非常に小さい点のような針の跡があったこと」
「実に興味深い」
Dr.ナイジェルが告げた。




