第2話 サムシンググレード
「サムシンググレード」
ー偉大なる何者か?
隕石が宇宙から、DNAの種を運んで来た。
宇宙から降る隕石がもたらした成分をもとに、
地磁気と言うバリアの中で、DNAという設計図を書き換えた。
20年前。富士の樹海に入った大学生2人が偶然、
電磁波が強いエリアを発見する。
ひとりは、地中に埋まった隕石から放出されていると言い、
地磁気の逆転が早まるとして、論文を発表しようと考えた。
ところが、もうひとりが、隕石を採掘して金儲けに利用。
2人の間で大きな亀裂が入る?!
「今話したのが、兄が残したタイムカプセル(デジタルメモ)
を元に推測した筋書きです」
都内のとある弁護士事務所にて、依頼者の男性が話を切り出した。
名前は安井涼。製薬会社のMRをしている。
兄の吉武は、大学3年の時に行方不明になったまま消息不明。
「なるほど」
「長い間、兄は行方不明だったんですが、
先日、兄が、おふくろの夢枕に立ち殺されのだと告げたそうです」
「夢ですか‥‥ 」
「警察へ被害届を出そうとしたんですが、事件にならないとして
動く気はないようです」
「そうでしょうね。それで、遺体は見つかったんですか? 」
弁護士の問いかけに対して、安井は「いいえまだ」と答えた。
「安井さん。まずは、お兄さんを捜しませんか? 」
「色々と、手を尽くして捜しました。わたしは、兄は、
あの男に消されたのだと考えています。
あの男は、研究よりも金儲けに興味があったんです。
純粋に、地磁気の逆転を心配した兄のことが邪魔だったに違いない」
「金儲けとは? 」
「あの男は隕石を採掘した後に、オークションに出品したんです。
国内の収集家が、高額で買い取ったみたいです」
「論文はあったのですか? 」
「論文は書いていたみたいですが、原稿が見つかっていません」
安井がため息交じりに言った。
もし、安井吉武が、
地磁気の逆転説について論文を発表していたら、
今頃、世の中はどうなっていたのだろう?
「手がかりを下さい。できる限り、お兄さんの行方を捜します」
弁護士が告げた。
「兄の写真と日記です」
「お預かりしてもよろしいですか? 」
「はい」
それから数分後。安井が事務所を後にした。
同じ頃、Dr.ナイジェルたちが、宿泊先のホテルに到着した。
「午後から、このホテルのレストランにて夕食会が開催されます」
部屋に入り一息ついたところで、秘書のトーチ・グラムが告げた。
見晴らしの良い9階。広さ12畳。
フローリング。2間続きになっており、引き戸で区切られている。
向かい側に寝室が2部屋ある。
「何かあった時に、すぐ、対応出来ますね」
「心強い」
「ところで、調子はいかがですか? 」
「気圧の影響なのか、関節が痛む」
「見せて下さい」
Dr.ナイジェルが手際良く、ジミーの片腕の袖をまくり上げると、
筋肉隆々の右腕の関節部分に触れた。
真剣な眼差しで、痛む個所を探ると、
ジミーの肘に触れた時、顔をしかめた。
「とりあえず、湿布薬を貼っておきます」
Dr.ナイジェルが、ジミーの痛む方の肘に湿布薬を張ると告げた。
「ありがとう。だいぶ、楽になった」
ジミーがかすかに微笑んで見せた。今のところ、大丈夫そうだ。
Dr.ナイジェルが電話をかけ始めると、
ジミーが、「仮眠を取りたい」と言い寝室の中へ入った。
Dr.ナイジェルの携帯電話の着信には、
これからお世話になる帝都大学病院の代表番号や
医療コーディネーターの電話番号が入っていた。




