第8話:学園封鎖、玉ねぎ暴走するのです
校内放送が鳴り響いた。
『――生徒会より通達。本日、校内に“可愛い反応値”の異常上昇を確認。該当区域を封鎖します。』
ぽぷらんが叫ぶ。
「可愛い反応値ってなんだよ!!そんなの測る機械あるのかよ!!」
新人は震えながら言う。
「た、たぶん……あります……学園、普通じゃないです……!」
ルネは玉ねぎドレスを抱えながら泣きそうだ。
「ひぃぃ……封鎖って……わたしたち……閉じ込められるのですぅ……!」
うさちぁんは屋台を広げながら言う。
「はいはい~、封鎖中限定“脱出まんじゅう”販売開始~」
「名前からして脱出できなさそうニャ!!」
生徒会、包囲する
校庭の四方から、生徒会の腕章をつけた生徒たちが集まってきた。
無表情で、整列し、咲姫たちを囲む。
生徒会長の少女が前に出る。
「咲姫さん。あなたの“可愛い”は、学園の秩序を乱します。これ以上の活動は――禁止です」
咲姫は玉ねぎを抱きしめたまま、静かに言った。
「可愛いは……乱さないのです。まだ……届いていないだけなのです」
少女は冷たく言い放つ。
「届かなくて結構です」
空気が凍った。
ぽぷらんが怒鳴る。
「お前……言っていいことと悪いことがあるぞ!!咲姫の可愛いは世界一なんだよ!!」
少女は一歩も引かない。
「ここは世界ではありません。学園です」
新人は青ざめる。
「……この人……本気で言ってる……」
玉ねぎ、覚醒する
そのときだった。咲姫が抱えていた玉ねぎが、静かに震えた。
「ぽぉん……」
生徒たちがざわつく。
「また鳴いた……」
「なんで……玉ねぎが……?」
「怖い……けど……綺麗……」
少女の眉がわずかに動いた。
咲姫は玉ねぎをそっと持ち上げた。
「大丈夫なのです。この子は……歌いたいだけなのです」
少女は冷たく言う。
「歌わせません。ここは学園です」
咲姫は首を振った。
「違うのです。ここは……私の“居場所”だったのです」
少女の表情がわずかに揺れた。
玉ねぎコーラス、暴走開始
玉ねぎが、突然強く震えた。
「ぽぉぉぉぉぉん……!!」
その音は、校庭全体を揺らすほどの響きだった。
生徒たちが耳を押さえる。
「な、なにこれ……!」
「音が……胸に……!」
「涙が……勝手に……!」
ぽぷらんが叫ぶ。
「おおおっ!?玉ねぎ、覚醒してるぞ!!」
新人は涙を流しながら叫ぶ。
「し、しみるぅぅぅ!!でも……なんか……心が……!」
ルネは玉ねぎドレスを抱きしめて震える。
「ひぃぃ……でも……綺麗なのですぅ……!」
うさちぁんは屋台の上で叫ぶ。
「はいはい~、“覚醒玉ねぎまんじゅう”販売開始~!」
「商売するなニャ!!」
生徒会長、崩れる
少女は玉ねぎの音に耐えながら、震える声で言った。
「……やめ……なさい……咲姫さん……!」
咲姫は静かに言った。
「可愛いは……止まらないのです」
玉ねぎがもう一度震える。
「ぽぉぉぉぉぉぉぉん……!!」
少女の膝が、わずかに崩れた。
生徒たちがざわつく。
「会長……?」
「大丈夫……?」
「涙が……止まらない……!」
少女は震えながら言った。
「……これが……あなたの……“可愛い”……?」
咲姫は微笑んだ。
「そうなのです」
少女は、初めて目を伏せた。
こうして――学園封鎖は、玉ねぎの歌声によって揺らぎ始めた。




