第7話:学園、拒絶するのです
玉ねぎの「ぽぉん……」という音が、学園の静かな空気を揺らした。
だが――その揺れは、すぐに“冷たさ”に押しつぶされた。
生徒会の少女は、咲姫の玉ねぎを見下ろしながら言った。
「咲姫さん。あなたの“可愛い”は……ここでは禁止です」
ぽぷらんが叫ぶ。
「なんだよそれ!!可愛いを禁止ってどういう意味だよ!!」
少女は淡々と答えた。
「この学園には“統一美観規定”があります。勝手な創造、勝手な演出、勝手な可愛い……すべて、秩序を乱す行為です」
新人が震える。
「と、統一……美観……?」
少女は続けた。
「咲姫さんは、以前も“可愛い”を理由に校舎を変形させましたよね?」
咲姫は目を伏せた。
「……少しだけ、可愛くしたのです」
「“少し”ではありません。校舎が猫耳になりました」
ぽぷらん「最高じゃん!!」
少女「最悪です」
ルネは玉ねぎドレスを抱えながら震える。
「ひぃ……こ、この人……感情が……ないのですぅ……」
うさちぁんは屋台を広げながら言う。
「はいはい~“統一美観規定違反まんじゅう”販売開始~」
「名前からして違反ニャ!!」
咲姫、追い詰められる
少女は咲姫に一歩近づいた。
「咲姫さん。あなたの“可愛い”は……ここでは受け入れられません」
咲姫の表情が、ほんの少しだけ曇った。
僕は息を呑む。
新人が小声で言う。
「……これ……咲姫さんの言ってた“居場所がない”って……」
ぽぷらんが拳を握る。
「ふざけんなよ……!咲姫の可愛いは……世界一なんだぞ!!」
少女は冷たく言い放つ。
「ここは世界ではありません。学園です」
空気が凍った。
玉ねぎ、空気を割る(第二波)
咲姫が抱えていた玉ねぎが、静かに震えた。
「ぽぉぉん……」
生徒たちがざわつく。
「また鳴いた……」
「なんで……玉ねぎが……?」
「怖い……けど……綺麗……」
少女の眉がわずかに動いた。
咲姫は玉ねぎを抱きしめ、静かに言った。
「可愛いは……迷惑ではないのです。まだ……届いていないだけなのです」
少女は言葉を失った。
そして、学園の“異常”が露わになる
そのとき――校内放送が鳴った。
『――生徒会より通達。本日、校内に“可愛い反応値”の異常上昇を確認。該当区域を封鎖します。』
ぽぷらん「可愛い反応値って何だよ!!」
新人「封鎖って……僕ら閉じ込められるんですか!?」
ルネ「ひぃぃ……怖いのですぅ……!」
うさちぁん「封鎖中限定まんじゅう~」
「商売するなニャ!!」
少女は静かに言った。
「……咲姫さん。あなたは“学園の秩序”にとって危険です」
咲姫は玉ねぎを抱きしめたまま、静かに微笑んだ。
「危険でも……可愛いのです」
少女は息を呑んだ。
玉ねぎが、もう一度震える。
「ぽぉぉぉぉん……」
その音は、学園の冷たい空気を、確かに揺らした。
こうして――学園と咲姫の対立は、避けられないものとなった。




