第10話:鎮圧部隊、歌に沈むのです
校舎の窓から現れた教師たちは、無表情のまま整列し、同じ声で告げた。
「――可愛い反応値、危険域。学園の均衡を守るため、鎮圧を開始します。」
新人が叫ぶ。
「ちょ、ちょっと待ってください!!玉ねぎが歌っただけですよ!?なんで鎮圧なんですか!!」
ぽぷらんが拳を握る。
「来るなら来いよ!!玉ねぎの歌でぶっ飛ばしてやる!!」
「歌でぶっ飛ばすって何ニャ……」
僕は頭を抱えた。
ルネは玉ねぎドレスを抱えながら震える。
「ひぃぃ……でも……咲姫さんの可愛いは……守るのですぅ……!」
うさちぁんは屋台の上で叫ぶ。
「はいはい~、“鎮圧される前に食べるまんじゅう”第二弾~!」
「商売するなニャ!!」
鎮圧部隊、前進
教師たちが一歩前に出る。
その動きは、まるで機械のように揃っていた。
生徒会長が指示を出す。
「可愛い反応値の中心は――咲姫さんと、その玉ねぎ。優先的に隔離します」
咲姫は玉ねぎを抱きしめた。
「隔離は……可愛くないのです」
ぽぷらんが叫ぶ。
「そうだ!!咲姫の可愛いは世界一なんだよ!!」
生徒会長は冷たく言い放つ。
「ここは世界ではありません。学園です」
空気が凍った。
玉ねぎ、歌い出す
そのとき――咲姫の腕の中の玉ねぎが震えた。
「ぽぉぉぉん……」
教師たちの足が止まる。
生徒たちがざわつく。
「また鳴いた……」
「なんか……胸が……」
「涙が……勝手に……」
咲姫は静かに言った。
「大丈夫なのです。この子は……歌いたいだけなのです」
玉ねぎが、ゆっくりと音を重ね始めた。
『♪オニオ~ン……涙を~拭いて~……炒めれば~甘く~……煮込めば~溶ける~……♪』
校庭全体が震えた。
鎮圧部隊、崩れ始める
教師たちが耳を押さえる。
「……音が……心に……直接……!」
「涙が……止まらない……!」
生徒会長が叫ぶ。
「き、聞くな!!これは……秩序を乱す……!」
しかし、玉ねぎの歌は止まらない。
ぽぷらんが叫ぶ。
「よっしゃあ!!玉ねぎ、もっと歌え!!」
新人は涙を流しながら叫ぶ。
「し、しみるぅぅぅ!!でも……なんか……救われるぅぅぅ!!」
ルネは玉ねぎドレスを抱きしめて震える。
「ひぃぃ……でも……綺麗なのですぅ……!」
うさちぁんは屋台の上で踊る。
「はいはい~、“覚醒玉ねぎまんじゅう”第三弾~!」
「踊るなニャ!!」
生徒会長、限界へ
生徒会長は震えながら叫ぶ。
「やめ……なさい……咲姫さん……!」
咲姫は静かに言った。
「可愛いは……止まらないのです」
玉ねぎが、さらに強く震えた。
『♪オニオ~~~~ン……♪』
生徒会長の膝が崩れた。
生徒たちが叫ぶ。
「会長!!」
「大丈夫ですか!?」
「涙が……止まらない……!」
生徒会長は、震える声で言った。
「……これが……あなたの……“可愛い”……?」
咲姫は微笑んだ。
「そうなのです」
こうして――学園鎮圧部隊は、玉ねぎの歌声に沈み始めた。




