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【更新停止中】悪役令嬢なんて絶対にお断りですわ★  作者: 茄子


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38 手毬草ー14

 会場内に戻って視線を巡らせれば、ティオル殿下は何事もなかったように軽食コーナーから少し離れた場所で、令嬢たちに囲まれているのが見える。

 その切り替えの早さには感心してしまう他ないし、ああいうところが次期王太子にもっともふさわしいといわれるところなのだと思う。

 やはり次期王太子はティオル殿下にほぼ決定しているのだろうか。

 アルバート様は候補から降り、ジョセフ様もまた自分は相応しくないと降りるつもりなのだろう。

 第一王女殿下もエメリア殿下も実質自分自身は王太子になる気はなく……、せめてもの対抗馬はゲオルグ殿下だが、それも『誘惑のサイケデリック』ではルートに入らなければ王太子になる道は開かれない。

 そしてわたくしが王太子の婚約者にならない(・・・・)条件は悪役令嬢になる事。

 考えながら視線を巡らせると、幾人かがわたくしに視線を向けているのが分かる。

 そして背後のバルコニーにも視線が向いている。

 なるほど、ティオル殿下と同じバルコニーからわたくしが出てきたので探っているのか。

 もしこれがわたくし以外の令嬢だったらもっと騒ぎになっていただろう。

 ある意味わたくしだからこの程度で済んでいると考えるべき……なのだろうが、どうしてだろう、あまり嬉しくはない。


「ベアトリーチェ」

「お兄様」


 義兄がわたくしの傍に来ると、そっと周囲の視線からわたくしをかばってくれる。

 流石は攻略対象者。

 こういう気障な事を何気なくできてしまうところが憎らしい。


「父上たちが挨拶も終わったからそろそろ帰ろうと言っているよ」

「わかりましたわ」


 義兄のエスコートでお父様たちと合流すると、アルセイド公爵(王弟)閣下に挨拶をして帰宅することになった。


「本日は素晴らしい祝い事に参加させていただきありがとうございました、アルセイド公爵閣下」

「シャルトレッド公爵家の皆様、本日は息子のために揃ってのご参加ありがとうございました。喜んでいただけたようで何よりです」

「ベアトリーチェ様はお楽しみいただけまして?」

「はいアルセイド公爵夫人。とても楽しませていただきましたわ」

「それはよかったです。またいつでもいらしてくださいね」

「ありがとうございます」


 確かにジョセフ様とのやりとりは必要なため、屋敷を行き来できる許可はありがたいのだが、頻繁に出入りすればそれだけでいらぬ噂を呼んでしまう。

 学院に入ってからなら偶然を装って会うこともできるのだが、ジョセフ様が入学するのは来年度のため今は難しい。

 方法としてはやはり手紙が一番だろう。

 ジョセフ様との手紙は一方通行ではない、やり取りの発生するものになる、と考えたところで時折やってくる小鳥を思い出した。


「ベアトリーチェ嬢」

「まあ、ジョセフ様」

「もうお帰りですか。お気をつけてお帰りください」

「ええ、ありがとうございます」

「ぼくは魔術学院に通っていない分、ベアトリーチェ嬢との接触が少ないですよね。今までの分を取り返す意味を込めて、たくさん手紙を書かせていただきます」

「お待ちしておりますわ」


 なるほど、こう言っておけば確かにジョセフ様から頻繁に手紙が届いても不審に思われないか。

 こういったフォローがしっかりできるあたり、ジョセフ様の今の教育が行き届いているのか、それとも前世での経験が生きているのか少し気になるところだ。


「それでは我々はこれで失礼します」


 お父様が代表して挨拶をしたため、わたくしたちも揃って頭を下げて会場を出た。

 来た時と同じように馬車に分かれて乗りこむと、そっと窓のカーテンを閉められた。


「お兄様、どうかしましたの?」

「疲れているように見えたからね。人目があると休めないだろう」

「……お気遣いありがとうございます」


 確かに家の者以外の視線があると必要以上に気を張ってしまう。

 だが、義兄と弟が居る空間もまた多少軽減されるというぐらいで、気を張る事に変わりはない。

 そう考えつつ心の中で精霊に今日感じた視線が追えたかどうかの報告を受ける。

 途中で精霊喰いの結界に阻まれ見失ってしまったという内容に、一瞬だけだが僅かに眉間にしわを寄せてしまった。


「ベアトリーチェ、どうかしたか?」

「なんでもありませんわ」


 義兄に一瞬の顔の変化を見抜かれてしまい咄嗟に首を横に振るも、弟もわたくしの事を心配そうに見てきて、わたくしは苦笑を浮かべた。


「……皆様、そんなにわたくしの事を気にかける必要があるのかと思っただけですわ」

「それは気になると思います。姉上の婚約者になればティオル殿下を抜かして王太子になれるとも言われていますしね」

「そのような事はありませんのに、皆様好き勝手な事をおっしゃいますわね」

「王女殿下たちが王太子になるとは皆思っていないのだろう。ベアトリーチェの動きを見て取り入る王族子息を決めようとしているんだよ」

「その最有力候補がティオル殿下というわけですよ、姉上」

「もっとも王太子の座に近いといわれていますものね」


 だからこそ、ティオル殿下のルートではわたくし(ベアトリーチェ)が途中で正式な婚約者に決定するのかもしれない。

 そこに待ち受けているのは婚約破棄の末の家からの勘当……。

 ああ、本当にせめてアプリゲーム版の比較的マイルドな断罪内容であってほしい。

 領地に蟄居か修道院だからな……。

 死んだことになっての地下牢行きは嫌だ。プラスされての拷問漬けはもっと嫌だ……。

 本当の本当に3人の中の誰でもいいから、ちゃんとフォローするから、悪役令嬢引き受けてくれないだろうか。

よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。

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