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4 解体所にて

ほぼ同じ時間を視点を変えて眺めている感じ。

一連の騒ぎの中で世界感とか街の様子とか人とか見えてくると良いかなと思っています。


かめは〇波は、カメラ替えて3回繰り返すと威力があがるってばっちゃが言ってた。

「ワイルドイーターが来たぞー」


案内所からその一報が飛び込んできたとき、解体所の空気は一瞬で緊迫した。


ワイルドイーターと言えば上位の冒険者だ。

ヤツラの姿はしばらく見ていなかった。長距離を移動してきた可能性が高いだろう。


近場のクエストをちまちまやってる連中と違って上位ランカーの長距離行軍は一回の獲物の物量が雪崩のようになることが多い。

きっと今回も物量に押し流されることになるだろう。


・・・嫌な予感がするぜ。

場所が要るな。


解体所場長ドーレスの脳味噌がフル回転を始める。


今やってる作業は2つ。角うさぎと岩トサカ山鶏(マウントチキン)だ。


「そこのウサギとニワトリは半刻以内で仕上げろ!」

「場所を空けろぉぉぉ!」

「非番のヤツ居るやつみんな呼んで来い!」


奴らはまだ案内所のネーチャンと話しをしている。

獲物が流れてくる前に段取りだな!


こーゆーときは分業と適正な人員の配置、獲物の振り分けが重要だ。


振り分けは副場長のイワンだな。

小物は慣れてるの二人専任でいればいいな。サブとイビーだ。

大物の指揮はゴンザレス。と、マルクは捕まるか?


他部署との連携役も要るな。

トビーとヒヨッコどもはそっちだな。

解体速度がボトルネックになる。解体はあくまで迅速に、だ。

ヒヨッコどもには任せておれん。トビーは上手くヒヨッコどもを転がせよ?


解体祭りの時は全体の戦力を上手く使い切って流れを止めないのがキモだ。

イワンの腕の見せ所だな。ま、イワンなら上手くやるだろ。


かき集めてきたヤツらは手が回ってないところへ随時遊撃ってトコだな。

俺は何かあったらいつでも動けるように片足だけ大物班に浸かりながら全体のコントロールだな。


あんまり役割をガッチリ決めすぎると柔軟な対応が出来なくなる。

大雑把な軸だけ決めておいて臨機応変にやるのが現場では大事だ。

無いものに拘っても仕方ねぇし、ある物で対応するんだ。

何でも使え、使いようだ。


「おい!収納はどうなってる?」

「空きで氷室3割、常温5割ってとこです。」


3割か・・・もちっと欲しいな。


「質悪いのは重ねていいから詰めとけ!氷室5割空けろ!」

「あいつらは大体いつも肉多めだ。今回も多分肉だろ。」


それでも溢れたら積み上げたの処分だな。入れ替えだ入れ替え。

買取のトコの使えるやつ一人回してもらおう。

どうせ宴会がおっぱじまるだろ。処分価格で放出だ。


しばらくすると最初の獲物が流れてきた。

先にやっていたウサギは既に解体が終わり、鶏もすぐに終わるだろう。


まずは角ウサギか。

さっきのヤツよりかなり大振りだな。

1.5倍くらいある。


近場のじゃねーなコイツは。

それでも大物って程でもない。


どんどん運び込まれるのを見ていると大物はまだ先そうだ。


「大物来る迄は総力戦だー。一匹に3人以上張り付け!」

「同時並行は5体までにして一匹を捌き切るスピードを上げろ!とにかく数を減らせ。スペースは余裕持たせろ!まだまだ大波が来るぞー!」

「回転数だ。回転数を上げろー!」


獲物を貯めないのが大事だ。戦力の一点集中でどんどんスタックを捌いていくのが物量と戦う時のコツだ。


イワンは副場長だけあって、その辺りが良く分かっている。


「蜘蛛が来た。蟲得意なヤツこっち来てくれ!」

「エンヴィ!エンヴィお前はこっちだ、これ任せた!」

「6番空いてるからそっちでやってくれ!エンヴィの穴誰か埋めろ!」

「あとコイツ多分特異種だ。何か違う素材採れるかも知れんから。ちょっと時間かかってもいい、慎重に頼む!」


獲物を見定めつつ人員をくっつけて流れるように獲物を仕分けていくイワン。


程よいペースで淀みなく解体が進んでいる。

そろそろ正午に差し掛かる。


「トビー、厨房行って何か摘まめるもの回して貰ってくれ。」

「手が空いた奴ぁ交代で腹に詰めろ!大物来たら飯どころじゃ無くなるからなー!」


今丁度6刻(6のコク)過ぎだ。

7刻半(7のハンコク)過ぎたらボチボチほかの連中もかえって来るからな。

それ迄には小物をある程度片付けとかないとな。

こっちに掛りっきりになる訳にもいかん。


そういう意味では昼前に始まったのは有難い。


半刻ほどで飯を腹に突っ込み解体を進める。

2メルト超えのキャタピラーが回って来たのでマルク班が取り掛かっている。



しばらくすると買取カウンターのほうがザワザワしてきた。


・・・なんか大勢で詰めかけてるな。

何やってんだ?ありゃ。


何か嫌な予感がしつつ眺めていると、


「猪鹿どーん!」


10メルト超えの馬鹿でっかい猪鹿がでてきた。


どーん!じゃねーよバカヤロウ!!!

とんでもない隠し玉持ってやがった!


「イワン!」


右手の親指で指さしながらイワンに怒鳴ると、


「まじか・・・」


一瞬動きが止まっていた。


即座に飛んでくる買取所からのヘルプ要請。

これはトビー達だけじゃ手に余るな・・・


「大物2班出動!5人行け!専任はゴンザレスだ。」

「運搬はゴンザレス以外で行って来い!ゴンザレスはここに居ろ!」


呆然としていたイワンが復活した。ゴンザレス含め6人が抜けた穴を調整していく。


運搬に向かった連中が台車4台使って猪鹿載せて戻ってきた。後ろにゾロゾロ半狂乱連中を引き連れている。


「ヒャッハー肉だ肉だー!」

「肉喰わせろー」

「「「にーくっ!にーくっ!にーくっ!」」」

「かゆい、うま」


・・・コイツがトレインって奴か、なるほど迷惑だな。目の焦点が合ってない、肉の亡者と化している。

ともかく連中に突入されたら仕事にならん。

まず突進の勢いを止める必要があるな。


「ごーんざれぇぇええすっ!!!」

「行け!その筋肉が伊達じゃないとこ見せてやれ!」


「ぬ”おおおおおお!」


ゴンザレスがブチかまし一発で亡者の侵攻を食い止める。


「トビー!ひよっこども!ゴンザと変われ!そいつら食い止めろ!」

「ゴンザは猪鹿解体の指揮へ!」


ひよっこ共がもみくちゃにされてる間にサッサと解体だ。

肉盾だ肉盾。


うん?

トビーがなんか言いたそうにしてるな。どうした?


「おやっさーん!トーマスさんから伝言!」

「アランさんが右後ろ脚一本ギルドに寄付。剥ぎ取りとか適当でいいんで、肉優先で出来るだけ早く厨房回してって!」


よぅし分かった!


「てめぇら聞いたな?右後ろ脚からだ!」

「ノコギリ持ってこーい!解体刀じゃ無理だ!」


「こっからが正念場だ。野郎ども気合を入れろー!」

「「「うをぉぉぉぉぉぉ!」」」


6人がかりでひっくり返し、右側面を上にして猪鹿を固定していく。

GOサインが出ているので皮は身をかなりくっつけたままスピード優先で右後ろ脚部分だけ剝ぎ取っていく。


油がすげぇな・・・皮にくっ付いてるのこ(・)そ(・)ぎ(・)落しても美味そうな肴(さかな)になりそうだ。


だが今は皮は後回し、まずは肉だ肉。


3人掛りで脚を持ち上げ、2人用両引きの巨大ノコギリを交互に引っ張って足を切り落としていく。


「あくしろよ!待ちきれねーんだよこっちは。」

「「「にくーにくー!」」」


うっせぇ黙ってろ。重労働なんだよ!


たっぷり時間を掛けて右足が根本から切断された。


「切り分けとかいいから、そのまま厨房回せー!切り分けくらい出来んだろ。」

「お前ら道空けろ!にくがでるぞぉぉぉぉ!!!」


肉に引き摺られた亡者が今度は厨房に襲いかかろうとしている。


・・・亡者は去った。

これで落ち着いて仕事が出来そうだ。

時刻の補足など。

時刻の基準は正午です。

多くの地域で日時計から正午が観測され、そこを基準に12等分で時刻が割り振られています。

正午が6刻、活動時間帯に日付が変わると混乱が起きるので深夜に切り替え。1刻から11刻でカウント。0刻は起刻と呼ばれています。

各街で基準を図る為、時差もありますが、短時間で長距離を移動する手段がまだ一般的に普及していないのでそこまで問題になってないようです。


冷凍設備について

解体所にも厨房にも冷凍設備があります。

厨房は末端の販売、お店の冷凍庫。

解体所のは大きい冷凍倉庫のイメージです。


ギルドの近くにギルド産の総合卸市場みたいなのがあって、ギルド解体所や買取からそちらへ流れ、卸業者や、一部の小売、店舗が仕入れにやってきます。ちなみに競り。市場の手数料を差し引いた売り上げがギルドに回ってきます。



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