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13 武器屋にて(3)

あらすじ

    ・ワイルドイーター武器修理に立ち寄る

    ・アニータ新作の変な弓弦発見

    ・トレイルブレイザー来店

    ・フォグくん片手斧にhshsする

NEW ・ワイルドイーターに気づいて盛り上がる。 ←イマココ

ヤバい。

目の前に生アニータちゃんが居る。

可愛い。思ったより小さい。

記憶石でバシバシ強い矢撃ってたからもっと大きい人かと思ってた!

アランさんも大剣ブンブン振り回すのでもっと大きい人かと思ってた。


あたしはミリアリア。

探索者PTトレイルブレイザーでアタッカーやってます。

基本はダガーとショートソードの双剣で、状況によって弓にスイッチします。


今日はクエスト中に盾役(タンク)のフォグの剣が曲がっちゃったので買い替えに来たんですけど、なんとそこにランカー冒険者のワイルドイーターが来てました。


ワイルドイーターは同じ世代でトップ独走中の冒険者PTで、確かアレンさんは23くらい。アニータちゃんも18くらいだったはず。年もそれほど変わらないのに凄いですよね。


お二人はトップランカーの中でも特にメディア露出する方で、いつも新作の記憶石(メモリーストーン)を出していて、不動の人気を誇っています。


これからアニータちゃんが弓弦の新商品の収録するとかで、武器屋のおじさんに弓するなら見といたら?って呼ばれたのでみんなで見学です。


というかアニータちゃんの収録とか楽しみすぎる。

ウキウキしながら皆で試し斬りスペースへ行くと、


「アニータちゃん見学増えてもいいかい?」


と武器屋のおじさん。


「うぇ?」


突然振られてアニータちゃんから変な声が出た。

うぇ?頂きました。


「いやね。この子達3人でPT組んでるんだけど、弓使ってる子がいたから折角だから収録見せてもらったらどうかなって。ギャラリー居ても大丈夫かい?」

「お?弓の子かー。いいねいいね。それじゃ一緒にどう?」


一緒にどう?


頭をひねっていると


「お前だお前、呼ばれてんぞ?ミリー。」


フォグにペシンっと頭叩かれ・・・「うぇあ!?」

変な声が出た。

唐突すぎる。観戦ムード100%だった。


「それじゃ改めましてー、アニータでっす。」

「えっとえっと、ミリアリアです。」


お互いに自己紹介。


「あ、でもメインは双剣なので弓はあんまり得意じゃ・・・」


ジワリと逃げようとしてみた。


「だいじょぶだいじょぶ何とかなるなる。」


しかし回り込まれた!

残念!アニータからは逃げられない!


「あ、そだ。せっかくだからミリーちゃんの弓でやろっか!」

「あ、ミリーちゃんって呼んでいい?私もアニーでいいよ!」


「うぇ!?」


また変な声出た。距離の詰め方ェ。

もう少し心の準備させてくだしあ。


アニータちゃんがグイグイ来る。

あっという間に弓を剥ぎ取られ弦交換されてしまった。


「よし、それじゃウォームアップしましょうか。」

「さっきコンポジでやった時はマナ流さなかったら普通の弦と同じ感じだったから、いつもの感じでやればオッケー。」


弓渡されたのでとりあえず一射。

的までは20メルトくらいかな?

中心から1センテ程ズレたけど何とか的中。


「お見事ー。オッケーオッケーいいじゃん?」

「そんじゃちょっとわたしも失礼して、弓借りるね?」


アニータちゃんが弓をスッと構えた。

滑らかすぎる・・・

もちろん的中。ど真ん中。


「はえー、初めての弓でも淀みないですねぇ。」

「後なんて言うか・・・揺れてないっていうか、とても雰囲気が静かっていうか。矢が自然と吸込まれてく感じ?」

「なんかコツとかあるんですか?」


と聞くと、


「あー頭を空っぽにして周りに溶け込むと言うか・・・」


すると向こうで見ていたアレンさんが仁王立ちになり、


「よし、そこんトコ分かりやすく見せてあげちゃおう。」


と言って懐から小さな記憶石(メモリーストーン)を取り出した。


「これを見たら一目瞭然理解できる。」


とか何とか言いながら起動した記憶石は、喫茶店の中らしき落ち着いたお店の中を映し出した。

アニータちゃんが映っている。


「なんすか?コレ。」


フォグとエルクが首を捻っている。


「さっきここ来る前に飯食ってた喫茶店だ。」

「まーいいから観てみろって。」


アレンさんが指差した記憶(メモリー)の中のアニータちゃんが目の前のあるケーキにフォークを沈めていく。そして流れるように口に運んで目を閉じた。


そして、紅茶らしき飲み物を一口。

その表情はとても穏やかで・・・


なるほど、心が静まりきっているように見える。


更に一口。

澄み切った表情。

そこには目の前にあるケーキをただ在るが儘に瞳に映しているアニータちゃんがいた。

そしてケーキを食べ終え・・・


「季節のフルーツマウンテンでございます。」


気配も無く突然ウェイターさんが現れて思わずビクッとなった。今どこから出てきたの?

アニータちゃんは微動だにせず、息をするように自然な様子でフォークを沈ませていく。

そして紅茶。

ここでは無い、どこか遠くを見ている様な吸い込まれそうな微笑みだ。

悟りというのはこういうのを言うのかも知れない。


「見ろ。コレが明鏡止水の境地だ!」

「心に漣(さざなみ)一つ立ってないだろ?」


ドヤ顔で力説するアレンさんの後頭部を、アニータちゃんが力一杯引っ叩いた。


「アンタ何やってんのぉおおおおお!」


広い店内にアニータちゃんの声が木霊(こだま)していた。

本気モードとの落差が凄いねアニータちゃん。

コレが等身大のアニータちゃんか。

少し仲良くなれそうな気がした。

考えるな・・・感じろ!

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