第70話 重魔の騎士
「己がするべき事を成せ、重魔」
「それぐらいは理解している。私は動かなければならない。アメリカ軍の矛として、重層お前もアメリカ軍の盾として」
「良いだろう。この戦場で体現しよう。アメリカ軍の矛と盾として」
重魔の騎士は自身が身に纏う白い鎧から大量の魔力を放出させる。
大量の魔力は無数の球体となると、その球体から圧縮された魔力がレーザーの様に放たれる。
その放たれた魔力は次々と流島家の者の体を貫いていった。
「……これで文句は無いだろう」
「最初から出来ていればな」
「だが、ここまで流島家を追い込めば、佐島家の勝利となるだろう」
「現状ではその通りだ。しかし、筋書き通りにいかないのも確かな事だ」
「あまりやり過ぎても、これは佐島家の勝利とならず。我々の勝利となっても構わないなら、問題は無いが」
「……今はお前のその意見を尊重しよう」
重層、重魔の二名は一時、撤退し、流島家と佐島家と戦いを見守る事にした。
流島家の当主である丈助の逃亡により、流島家の人間は続々逃げていく中、一人だけ逃げる者達に逆らい、佐島家の人間が集まる場所まで移動していた。
「……流島葵」
流島家でも、流島家に属さないその男は名だけが知られ、その実力は分家である佐島家の誰も知らないものだった。
「……久々に戻ってきたら、襲撃を受けているとは、流島家らしいがな」
葵は全身から大量の黒いオーラを放出させる。
その黒いオーラに触れた佐島家の人間の体は変貌し、黒き鬼へと変化していた。
「俺の能力は狂喜黒鬼。佐島家の狂乱の宴に近い能力だ。違うのは、相手を鬼へと変貌させる所だが」
「……佐助を呼べ。こいつに対抗する」
「無駄だ」
葵のその言葉通り、黒い鬼へと変化した佐島家の者達は肉体が増殖し、肉体に接触したものを取り込み始めた。
「俺の能力は人数が居れば居る程、効果を発揮する。黒鬼へと変貌した奴等は肉体の増殖を延々続け、全てを巻き込む。誰を敵に回したのか、思いしれ」
佐島家の人間は葵一人に何もする事が出来ずに、逃走を続けていた。
「後は我々がなんとかします。お逃げください」
「……任せる」
佐助と父は一目散に逃走し、重層の騎士、重魔の騎士の元まで移動していた。佐助の父は怒りに任せ、重層の騎士に迫る。
「……散々な結果に終わりましたね」
「見ていただけか、お前らは」
「……我々は流島家の者を倒していましたよ。我々を攻め立てるのは、お門違いだ」
「何だと?」
「理解が出来ぬか?全ては貴方が招いた結果に過ぎない」




