第61話強欲なる者が欲するままに(グリード・ワント)
見るに耐えかねた克明は飛び出し、時雨へと殴りかかる。
「それが君の弱さだ!」
時雨は右手を突き出し、そこからレーザービームを放出させる。
その一撃は克明の心臓を的確に貫いた。
「……克明!」
飛行していた省吾は慌てて、克明の元へと飛んでいく。
「何故、欲した物を引き寄せるだけの異能がレーザービームを出せる?」
「不思議か?神田翔」
「……不思議だ」
「強欲なる魔王の覚醒の一つが|強欲なる者が欲するままに《グリード・ワント》は一度奪った物を再び我が手にする覚醒と教えた筈だ」
「一度、レーザービームでも奪ったのか。それにしてー」
「理解しろ!これは一度奪った能力を使っただけだ」
「……そんなに事が出来るってことは、レーザービーム以外にも」
翔が戸惑いながら、驚きながら聞き返したその質問に時雨は笑みを浮かべ答える。
翔、環の二人は目の前に対峙した存在が自身達だけで対応出来る存在では無いことを悟ると戦意喪失していく。
「どうやら、加藤克明の遺体の回収は済みそうだ」
「狙いは克明だったのか?」
省吾のその問いに時雨はあっさりと認める。
「そうだ。今回のポルターガイスト事件を起こせば、お前を北海道支部の外へと出させる事が出来、お前について来ると判断した。全ては上の判断だが」
「……上?お前は管理する神の中でどれ位の強さだ?」
「……管理する神は一番強いチームがNo.1を名乗り、No.10までその強さに応じたNoを名乗る。チーム[ゼロ]に所属するが、チーム[ゼロ]はNoを名乗れる程の勢力も力も無い。多く見積もっても私の力は中の下……嫌、下の上と言った所か」
「お前でそんなかよ!……姉ちゃんが最強だと思っていた世界は……日本でだけでこんな思いをするのかよ。……俺じゃお前には勝てねぇな」
「理解したか。ならば、それを渡せ」
「それ?」
「お前の傍らにある遺体だ」
「……克明だ!」
「名は人を識別する為に存在する。死者に必要なのか?」
「……克明は俺を殺してから奪っていけ!」
「そうしよう」
「翔!お前はそこの女を連れ、外に出た女二人を探せ」
省吾のその指示に翔は無言で頷くと、翔は肩に乗せていた雷を纏うケルベロスの三つの頭の内、一つを自身の背中へと移動させる。すると、ケルベロスの頭の一つはマント状に変化し、翔の体中は雷を纏う。
「失礼します」
翔は環を抱き抱えると、宙を舞い飛び出す。
「一人で戦って勝機があると?」
「……三人で殺ってもお前に殺されるだろ?」




