第58話挑戦者
「……連れてくるか」
「……はっ?」
「待ってろ!」
「お前が待て」
克明の言葉を聞くことなく、転移魔法で姿をしていた。
「……どこへ行ったのかしら?」
突然姿を消した省吾に気がついた環はさっきまで一緒に居た
「神田翔を連れに行った様だ」
「神田翔?ニュースで聞いた名前ね」
環と克明の話のその最中に、魔法陣から省吾と、名前が出た金髪の男性神田翔が戸惑いながら現れる。
「何処ですか」
「奈良支部の川上家だ。協力しろ!」
「……何をですか?」
「色々あってな」
翔は周りを確認する。
下着、チーム[コレクション]のメンバー達、環に華初見でそれを見た翔はため息を溢す。
「何故、貴方に呼ばれると、こんな場面なんですか?」
「可愛い弟子には色々と苦労させねぇとな」
「……苦労をかけない様にするのでは?」
「させるのさ。楽な事ばかりの人生なんてつまらねぇだろう?苦難を乗り越え、下らん事で笑える男になれ」
「……苦労を乗り越えてその先にあるのが下らない事ですか?」
「都合良く、良い事ばかりなんてねぇのさ。日常にある些細な事で十分だ」
「努力します!それで、何をすれば」
「……克明、説明してやれ」
省吾のそのなげやりの言葉に不満そうに克明が説明をする。
「突然、リーダーが悪いな」
「もう慣れました」
「俺もだ。ここでお前を呼んだ理由としては二人で話にお前の名前が出てな。俺は止めたんだが、リーダーがお前を連れに行ってしまってな」
「……目に浮かびます」
「本当に悪い」
「……さっきから気になっているのですが、この下着は?」
「……リーダーの仕業だ」
「……目に浮かびます」
二人の会話を裂くように省吾が割って入ってくる。
「どうでも良いだろう。どうせ暇なんだろ?」
「中等部の授業中だったのですが」
「一日で学校から学べる事なんてちっぽけなもんだろ?俺が今日一日で大事な事を教えてやる」
「大事な事……ですか?」
「あぁ、弟子として師匠を楽させろ」
「……大事な事をですか?」
「大事だろ?弟子なら分かるだろう」
「それで具体的には何をすれば」
「この奈良支部でポルターガイスト事件が起きている。俺の魔法に近い性質でな。疑われているんだよ!だからこそ、お前の力を借りたい」
「僕に出来る事なら」
「なら、まずここから出ろ!」
「……僕一人ですか?」
「俺達は監視されているからな」
「ですが」
「はぁ、真面目だな。やるだけやれ!挑戦者であり続けろ」
「挑戦者?」
「挑み続ける者であれ。俺は出来るだけ今回の事件をお前に任せる。そして、その意味を理解して貰いたい」




