第53話鉄壁要塞(フォートレス・メタル)
環は再び一十三へと殴りかかろうと走り出す。
一十三はそのタイミングに合わせ、環へと殴りつけようと、右手を強く握る。
「そんな動きで、当たる訳ないでしょ」
一十三の攻撃を軽々避けようとした環だったが、何故か避けた筈の拳が環の顔面へとヒットする。
「学習能力が無いのかしら?毎回同じ結果よ。……貴女が毎回同じ攻撃しかして来ないからだけど」
「何で、勝てない?」
「私は貴女と同じ能力クラスに居るのよ。能力が関係しているわ。勘違いしている人も居るけど、王者覇剣は私の体内に宿った神器ではないわ」
「誰かが死んで都合良く、適合者になれたってこと?」
「産まれた瞬間に封印を破って私の所にやって来たのよ」
「だからって、名百剣の一種を持っているからって、皆を無視して良い理由にはならない」
「……無視?いつ私が」
「毎日よ」
二人の会話を見かねた光は二人の元にやって来ると、一つの提案をする。
「私達は他の者よりも強く、皆から奈良支部の至高の三女と呼ばれている訳だし、三人でチームを組まない。至高と言われているから……そうねチーム名は[シュプリーム]って所かしら」
光のその言葉に戸惑う環だったが、一十三は直ぐ様返答した。
「貴女と組むなら、問題無いけど……」
一十三は環を見つめ、環もそれに気がつく。
「何?私じゃ不満?」
「私と光との実力はおおよそ同じ……一日五分限定だけど」
「五分?」
「五分も私と戦って居られるって話……神器の性質上五分って言う話よ。それに引き換え、貴女は数秒も持たない」
「貴女の実力は理解している。でも、上川光が強いなんて聞いた事が無い。奈良支部の至高の三女と呼ばれているけど、私は二番目よ」
「……光。相手したら」
一十三のその提案に光はため息を溢すと、覚悟を決める。
「分かったわ。貴女の提案通り、戦う訳だからさっきのチームを組む件は了承して貰うわ」
「……分かったわ。毎度同じ事言うけど、直ぐに終わらせなさい」
「心配性だね。問題無いわ。さって、これから戦う訳だけど、私が勝ったら、チームに入って貰うわ」
「……大した自信ね」
「自信なんて常に無いわ。あるのは勝つため、日々行ってきた剣術のみ。これがあるからこそ、私の強さは、私の剣は最強となる!」
「剣?私の能力は鉄壁要塞。この高度な硬化がある私の肉体にダメージを与えるのは、不可能よ」
「一十三に毎日やられても、懲りないのはそれが理由なのね。それは理解したわ……それが貴女勝因となるのかしら?」




