第52話奈良支部の至高の三女
環と小百合の戦闘が始まろうとしていた時、小百合のその強さに圧倒されていた環の脳裏に昔の記憶が甦る。
「……三女だ」
「強さもさることながら、その美しさも圧倒的だ」
奈良支部の至高の三女と呼ばれる三人の少女が歩くだけでそれを見かけた通行人達はこのように様に話すだけで近寄ろうともしない。
「下らないわね」
そう告げた奈良支部の至高の三女の内の一人である黒髪の少女、上川光はため息混じりに告げる。
そんな光を見た奈良支部の至高の三女の内の一人である長い赤髪の少女である九十九一十三は不思議そうに尋ねる。
「どうしたの?」
「……一十三にはあれが見えず、聞こえないからね。それがあるから」
光は一十三の腰にある剣を指差す。
その剣は九十九家が代々、封印していた神器だったが、一十三が産まれた瞬間に封印が破れ、一十三を適合者として認め、それから一十三の側から離れない剣それこそが王者覇剣である。
王者覇剣は名百剣の一種であり、手にした者は弱者を認識出来なくなり、弱者が所有者を触れようとすると、王者覇剣が覇気を放ち、それを避けつけなくさせる事で所有に弱者を避けつけない様にする剣である。実際、産まれたばかりの一十三は王者覇剣の適合者に選ばれた瞬間、母は一十三に触れられず、成長した一十三は母を知らず、育っていた。
そして、王者覇剣は相手の強さによって、その力を増す剣であり、相手が強ければ強い程、強化される剣で、全ての属性を扱う事が出来るとされている。
「貴女がそんな感じなら、見えていても、大した事では無いでしょ?」
「そうよ……貴女はあれが見えているから分かると思うけど、どうするの?」
「……鉄環でしょ」
「いつも、貴女に挑むあの諦めの悪さは素直に凄いと思うけど……今日はどうするの?」
「戦うわ。……そうしないと家までついて来るから」
奈良支部の最強の若き三人の女の最後の一人である環は迫りくる一十三に笑み浮かべる。
「いつもいつもご苦労ね」
「いつもいつも余裕ね。私には負けないと思ってる?」
「どうかしら?」
「教えてやる。今日、勝つのは私だ」
環は素早く動き、一十三の顔面に殴りかかる。
環の拳は一十三の顔面に接触しかけたが、一十三が避けると、環の攻撃が当たる事は無かった。
「……確実に当たった筈なのに、なんであんたが避けると、当たらなくなる訳?」
「しゃべっている暇があるなら、考えなさい。聞けば誰もが貴方の満足行く答えを教えると思ったの?」




