第49話時法の刃(タイム・リーパー)
数秒止めたその間に大悟は移動し、小春の背後の地面から出現している死神の鎌の元まで移動を終えていた。旗から見たら、瞬間移動をしたかの様にも見えるその行動も、停止した世界で全力疾走して移動しただけであるが、そのお陰で、小春を助けるのには十分な程である。
大悟は迫り来る死神の鎌に自身の時計が所々に埋め込まれた鎌で弾く。
「ナイス」
「どうも」
「で、透過するあの鎌をどうやって? 」
「死神の鎌の時間を停止して、能力における透過を無効化させました」
「……死神の鎌は任せるわ。そして、風による操作で魔法の鎖を縛れなかった場合、危険だけど、接近して魔法の鎖を縛るわ」
「了解です」
地面から出現する死神の鎌を大悟に任せ、小春は魔法の鎖の操作に集中する。
そんな魔法の鎖を大助は死神の鎌で弾くと地面へとすり抜け、姿を消す。
「ちっ……どこへ行った?」
「死神の鎌も地面から出てきません」
「逃走したと思う?」
「いえ、あり得ません。死神の鎌の真骨頂は透過能力を最大限に生かした地面からの攻撃です。地面に逃げられれば、こちらからは何も出来ませんから」
「私が居るでしょう。地面は私が壊す。貴方は時法の刃を使い大和大助の動きを停止させなさい。それでこの戦いは終わりよ」
「はい」
小春は右腕に風を纏わせると、勢い良くそれを地面へと叩きつける。地面は脆く、破壊されていく。
死神の鎌を手にしている間のみ透過能力を獲得する性質の為、大悟は時法の刃を投げつける。それは見事な放物線を描き、大助の右手に直撃し、切断される。
「触れる直前に周囲の時間を停止させ、大和大助の動き、能力までも停止させ、当てる事に成功させたのね」
「はい」
「死神の鎌を手放した今がチャンス」
小春は全身から凄まじい風を放出させ、一気に大助の元に移動する。その風の凄まじさに大悟は立っていられず、地面に手をつけていた。
「……春風さんが全身に風を纏わせた……風神と恐れられた人の戦闘を間近で見れるとは」
大悟の語る風神と呼ばれる小春の戦闘が始まる。
小春の全身から放たれる風は周囲のものを無差別に吹き飛ばし、暗殺部隊部隊長を務める大助ですら立っていられず、地面に手をつけ、破壊された地面を掴み、吹き飛ばされない様にしていた。本来なら、死神の鎌を取りに行く所だが、それをしない。
「くたばれ!」
地面へとしがみつく、大助に小春は風を利用しながら、宙に浮き、上空から大助へと殴りつけようとしていた。
そんな時、死神の鎌は消えていた。




