第46話大和大悟
赤松翔太の能力生命移行によって、大和大助の生命体が東京本部に居る大和大悟の元に訪れていた。
大悟は現在、東京本部の見回りの任務についていた。
「大和、どうそっちは?」
大悟と共に行動をしている東京本部防衛局に所属する桜色の髪をした春風小春は少し離れた位置にいる大悟に確認していた。
父親と同じ黒髪の大悟は頷き答える。
「はい。問題ありません」
「引き続き見回りを」
「はい」
二人がその場から立ち去ろうとしたその瞬間、二人は足を止める。あの声によって
「や、大和」
その声に反応して、二人は振り返り声の主の姿を確認する。
その人物は今にも死にそうで、かすれたその声からその人物が間もなく死んでしまうと分かってしまうその声を聞いた大悟はその人物に近寄ろうとする。
「待ちなさい」
「ですが」
「その人が誰か分かるの?こんな状態で接触を図ろうとするとなると、何かある。過去の事件では、死にかけの人物を利用した場合もある。無防備で瀕死のその人物を気遣って、駆け寄った結果爆発に巻き込まれたケースもある」
「……その事件と現在の状況は一致しているのですか?」
「全く、だけど不用意に近づく事はしないで」
小春のその説得に無言で大悟は頷き、死にかけの人物との距離を取る。
冷静になった大悟は死にかけの人物を見つめていた。
老人で、肉体は干からびているその体……そして着ている服装は大悟が着ている東京本部の高等部の制服と同じだった。
「……まさか、東京本部の高等部の生徒なのか」
「確かに、制服は一緒ね。でも、貴方の気を引く為に着せられたとしたら?」
「だとしても、このままにはしておけません」
「……そうね」
大悟ゆっくりとその人物の元へと近づいていく。
「……や、大和……こ、これ」
その人物は制服のポケットから生徒手帳を大悟に渡そうとして、力尽き二度と起き上がる事は無かった。
大悟は落ちた生徒手帳を手に取る。
「……待ちなさい。私が確認するわ」
大悟が生徒手帳を見るのを阻止して、小春が生徒手帳を手にする。
その人物が最初に発したのは[大悟]の名であり、その人物が大悟と同じ制服に身を包み、その最後に生徒手帳を手渡そうとしたその理由は自身が誰なのかを伝えようとした可能性がある以上、大悟本人に知られる前に小春が確認して、対処しようとしたからこそ、小春は大悟が生徒手帳を見ようとしたのを阻止したのである。
生徒手帳を手にした小春はゆっくりと生徒手帳を確認する。
その生徒手帳の持ち主は大悟のクラスメイトのものだった。




