第36話事実不正(キャンセラー)
女性による探知が終了した時点で、玄竜は扉を開け、侵入を果たすと、それに続き流れ込む様に皆が五月女家への屋敷へと入り込む。
「目指すは最上階だ」
部屋の探索はさせずに、一目散に皆は最上階を目指した。
皆が五月が居ると思われる部屋の前で待機していた。
「では、行くぞ!」
玄竜は勢い良く、扉を開け、中へと入り込む。
「……五月女五月だな?」
玄竜のその問いかけに座り込む五月は顔を上げ、玄竜や侵入していた者達を確信すると興味無さそうに、頭を下げた。
「なめられたものだな。このワシを目の前にその態度だけは評価しよう。これだけの大人数を相手にまだ抗うつもりがあるか?」
玄竜のその言葉に、五月は顔を上げる事は無かったが、笑みを浮かべ、頷いた。
「貴様!」
五月のその態度に玄竜は五月の胸ぐらを掴み、壁へ衝突させていた。
「貴様のわがままのみで一族が右往左往するとでも?一族をより良い方向へと進ませる為、ワシは何でもすると決めている。お前を殺してもなぁ。理解出来るか!」
五月は無言のまま頷き、口を開いた。
「無理だよ。老い先の短い老いぼれでは」
その瞬間、五月は能力である強制終了を発動させていた。
「……これで昇の動きを封じたか。奴なら、動けまいよ。だが、相手が悪かったな」
強制終了で動きを封じたにも関わらず、玄竜は五月を更に壁へとめり込ませる。
「眼前を見よ!誰が居おる?このワシを」
その瞬間、玄竜は何かに掴まれる。
「誰じゃ?」
背後を振り返り、玄竜は理解する。
「琰摩羅闍か。……大王、裏切ったな」
「裏切るとは、何の事でしょう?私はもともと、そちら側の人間は無いので」
「では、何者だと?」
「黒白院家の者ですよ。私は」
「黒白院だと……善一郎か?」
「ええ、日本の御三家と言われる黒白院家は更なる力を求める!」
「……その結果が黒白院和泉だと気づかないか?」
「和泉様こそ、最高傑作なのです。お陰で我々の野望に一歩近づく事が出来た」
「野望?」
「知りたければ、善一郎様にお聞きして下さい。貴方だけは連れ帰る様に命じられておりますので」
「若造が!」
琰摩羅闍で掴んでいた筈が、いつの間にか、離していた。
「……善一郎様と肩を並べ、恐れられたお方だけはありますね。事実不正によって、琰摩羅闍に掴まれた事を無かった事にしましたか。能力を使用する前に琰摩羅闍えんまらじゃに掴ませないと」
「無駄な考えは捨て去り、善一郎を連れてこい!」
「お忙しいあのお方が、貴方ごときの為には動きませんよ」




