第31話二宮和人(にのみやかずと)
「同じ新潟支部の代表として、褒め称える状況だと思うが」
「ここに来る途中走りながら、聞こえていた。いい加減、認めろ!」
「……何をだ?」
「母親の事だ」
「会うたびにそれだな」
二人は同じ新潟支部高等部の生徒である。
正一は魔法クラス三年、二宮は異能クラス三年であり、クラスは違えど、会う度に二宮は正一へ今回のような事を言い続けていた。
「俺は俺だけは、分かるお前と同じ母子家庭で育ったからな。だからこそ、分かる。お前は母親の事を愛していると」
「黙れ、何が分かる?」
「分かるに決まっているだろう。同じ環境で育ったからな」
「同じなものか!お前は母さんは入院しているか?」
「……していない。だが」
「黙れ、分かるものか」
「分かる。大事に思うからこそ、お前は入院費を稼ぐ為、暗殺部隊に入ったんだろ?」
「お前は何がしたい?俺をイラつかせたいのか?」
「違う。逃げるな。否定するな。受け入れろ!」
「あぁ?」
「本当は理解している筈だ」
「黙れ!」
正一は実弾が入っている拳銃を二宮へ向け、引き金を引く。
念動力によって、操作された実弾は二宮の体へと触れようとした時、実弾は地面へとねじ込まれる。
「……お前の異能か」
「そうだ。理解しているだろう俺の集約する力はあらゆるものを俺が指定した場所に集める事が出来る事を」
「……その指定場所はお前が触れたもの、あるいはお前自身だったな。では、これはどうだ?」
正一は周囲に落ちていて、魔力が込められているものを浮遊させる。
「無駄だ。集約する力がある限り、俺に向かっている物は、実弾がねじ込まれた地面へと向かっていく」
「だったら、良いけどな」
正一は浮遊させていた木の枝、小石、実弾等を二宮へと向け、放つ。
二宮が告げた様に木の枝、小石、実弾等は二宮が指定した地面へと向かっていくが、数個の木の枝、小石、実弾等は二宮の体へ触れていた。
予想外の出来事に二宮は膝から崩れ落ちた。
「どうした?お前の能力でも、回避は出来なかった様だな」
「……どうして」
「自身の能力の欠点すら把握していないとは、平和を満喫する者が、戦場で満足に戦えると思っている時点で見当違いだ。多くの戦場で己の命を晒し、相手との命のやり取りをする俺と対等で戦えると思ったか?お前の能力の欠点は指定場所にあらゆるものを溜め込めるが、それには限度があると知らないとは、愚かだな」
「……力で、痛みで、俺はあの言葉を撤回する事は無い。何度も言う。お前はいい加減認めろ!」




