第29話成長
「この一ヶ月、どうだった?」
「言われた通り、筋肉を付け、一人称を俺に変えました。そして、一週間前に俺をいじめていた奴等を返り討ちにしました」
「……ほう。理解した。もう実力は見るまでも無い。体術を教えてやる。来い」
「はい」
田所は陣野の後に続き、訓練ルームへと入っていた。
体術は陣野に能力の使用は千春と和泉から教わった田所の実力は、暗殺部隊部隊長を務める和泉が直々にスカウトするまでの実力へと成り上がる事になる。
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現在、福岡支部中等部一年能力クラスだった田所泰二は今、福岡支部高等部三年能力クラスであり、肉体も精神的にも成長していた。
そして、新潟支部高等部三年魔法クラスの一正一との戦闘が佳境に入っていた。
「母とはなんだ?」
母の言葉を聞いた正一は思わず、田所へ聞いていた。
「父の死を経て、俺は母さんと約束した。強くなると、何事も自信を持てなかった俺はこの筋肉を手に入れ、強さを手に入れた」
「……そうか」
「一正一。君も母親と何かあると聞いたが」
「……お前に語る事は無い。お前はただ俺に敗北するだけだ」
「……では、俺が勝ったら聞かせて貰おう。お前と母親の話を」
「良いだろう。俺の勝ちは決定している。どんな条件があろうとも、俺の敗北が無い」
「その自信をへし折ろう」
田所は勢い良く走り出す。
「視界に入った全ての現状を変更可能な能力も背後なら、問題無い」
「……確かに、俺の能力の弱点と言える。だが、俺は負けない!」
田所は勢い良く拳を振るう。
そんな田所の動きに合わせて、正一は魔力を付加させていた木の枝、小石、実弾を念動力を使い田所の周囲を取り囲む。
「終わりだ」
正一のその言葉通り、田所が避けられるスペースでも、回避が出来る距離でもなかった。接近戦を得意とする田所に合わせ、このタイミングで仕留めようと、正一は待ち構えていた。
「……あぁ、これで終わりだ」
田所は自身の能力である現状打破を発動させ、目に移る全ての木の枝、小石、実弾を消し去ると、田所の拳は正一の右頬へと振るわれる。
田所の強烈な一撃を受けた正一は遥か後方まで吹き飛ばされ、意識が一瞬、飛びかけていた。
「……はぁはぁ、見事なものだ。目に映らなかった後方の攻撃を全て受け、殴りかかってくるとは」
正一が告げた様に田所の背後は至る所に木の枝、小石、実弾が直撃しており、大量に出血していた。
「勝負あったな。そこまで深傷を負って、勝機なんて無いだろう」




