第26話神の如き強者(アザゼル)
陣野の話をしながら、二人は暗殺部隊部隊長が居るその部屋へと到着する。
「お待たせしました。連れてきました」
千春のその言葉を受け、和泉は椅子から立ち上がり、田所の元へ移動する。
「……強くなる覚悟は出来ているな?」
「はい!」
「千春。医療が出来る奴を呼んでおけ」
和泉からのその言葉を受け、千春は戸惑う。
「えっ?和泉様それって」
「俺が戦闘を叩き込む」
「分かりました」
ーーーーーーーーーー
三人は訓練室へ移動を開始する。
「お前の実力を見せて貰う」
突然、戦闘が行われる事になった田所は戸惑うばかりで、動けずに居た。
「何故いきなり戦闘だ?」
「何故、陣野さんはここに?」
「細かい事を言うな。春風、新入りの実力を見に来ただけだ」
「……結果は分かっている筈です」
「あぁあの新入りに勝ち目なんてねぇからな。なんせ、あの新入りが対峙しているのは、まさしく神なのだからな」
「神ですか……落ちた堕天使ですよ」
「そうか。だが、神に匹敵するんだろ?神の如き強者って言うのは」
「ええ、神の如き強者は一日一時間、翼を生やし、神に匹敵する力を得ます。そして、翼が無くても、翼の生やせる一日一時間の枠を越えて、和泉様が行動しようと、事柄は神の領域に達します」
戸惑う田所を見た和泉は微笑む。
「さっさと来い。強くなれねぇぞ、母親の為に強くなるんだろ?お前なら、強くなれる」
「……なんで分かるんですか?」
「俺の異能、神の如き強者は俺が物事を考えただけで、その思考は神の領域へと到達する。だからこそ、分かる。お前の力もポテンシャルも」
「……」
「来いよ。そうやって立っていても、時間が過ぎていくだけだぞ。時間は有限だ。消費していくものに無駄な事をするな」
「行きます」
田所は懸命に走り、和泉の所に移動し、殴りかかる。
暗殺部隊部隊長である和泉にとって素人丸出しのその動きでは和泉に直撃する訳も無く、和泉に受け止められる。
和泉が軽く田所の拳を握ると
「あああぁ」
田所は地面へとうずくまる。
「かなり加減したんだけどな」
「あああぁ、はぁはぁ」
「神の如き強者は俺のする事、なす事全て、神の領域へと達する。と、言っても、一つのものに対してだ。防御したなら、防衛のみが神の領域へと達するが、攻撃は神の領域へと達する事は無い。だが、一日一時間限定ではあるが翼を生やせば、全ての事柄を神の領域へと達する。今回は使う必要は無さそうだがな」
「……はぁはぁ、僕は強くなるんだ」
「そうだ。勝てなくても、向かって来い」




