第25話陣野忠
防衛局内はごく普通と言えるが、暗殺部隊のフロアに足を踏み入れた時、田所は悟る。雰囲気が一瞬で変わった事を
「春風、誰だ?そいつ」
厳つい風貌のその男は見たことの無い田所を見て、近寄る。
「和泉様の命令で連れてきた」
「バラすのか?それなら、俺がやるが」
「陣野さん。その必要はありません」
千春の口から出た陣野の名を聞いた瞬間に、田所はいまだかつて無い恐怖に支配される。
陣野忠その男は厳つい風貌に加え、整えた様子の無い乱れた黒髪のその男は福岡支部高等部一年能力クラスの所属しているが、入学三日目で一年能力クラスのクラスメイトを全て無惨に殺害した殺人鬼として名を馳せた男だった。
「震えているな。ガキ」
陣野に圧倒された田所は硬直し、動けずに居た。そんな田所に陣野は接近しようと、していた。
そんな陣野の千春は止める。
「ここに来た目的は陣野さんに合わせる為では無い。和泉様に合わせる為だ」
「……分かったよ」
陣野は田所に近づく事を諦め、二人に道を譲る。
「春風さんって陣野さんよりも年下なんですか?」
「僕が、陣野さんにさん付けしているからか。その通りだ。名前を聞いて、震えていたね。お前は陣野さんについて何を知っている?」
「殺人鬼と言う情報しか」
「ここで出入りする事になるんだ。覚えておけ、陣野さんが自身以外のクラスメイトを全て殺害したのは事実だ。その事実がある以上それ以上の情報は要らないだろうが、言っておく、陣野さんは一年能力クラスの中でもトップクラスの実力を持っていた。そして、カリスマ性もあった。だからこそ、陣野さんが能力クラスで最強のチームを結成するのは極普通の流れだった。そんな陣野さんを良く思っていない連中は陣野さんに敵わないこそ、チームメイトを襲った。陣野さんが助けに向かった時には、男は殺され、女は犯され、殺されていた。その場に居た陣野さんに敵対する連中は高らかに笑い、この原因は全て陣野さんが居たからと、吠えたそうだ。その場に居た連中は陣野さんに殺されている。これは誰が悪いんだろうな」
「……」
「……答えられないか。最初に手を出した連中が悪いのは当然だ。だが、そいつらを殺した陣野さんも悪い。その場で生き残ったのは、陣野さんだけだった。だからこそ、遺族達は陣野さんを攻め立てた」
「待って下さい。最初に陣野さんの仲間を殺したのは、陣野さんを良く思わない連中ですよね」
「遺族には関係無いんだろう。居場所の無い陣野さんに和泉さんが暗殺部隊に所属する事を提案したんだ」




