第23話出会い
福岡支部の異端児と呼ばれる田所泰二の過去。これは、福岡支部の異端児と呼ばれる前の田所泰二の物語である。
「泰二どう?福岡支部中等部は?」
「皆、強いよ。僕の実力では、何も出来ないよ」
「そんな事は無いわ。今日はお父さんのお見舞いよ」
「うん」
福岡支部中等部一年能力クラスに通う、田所はこの時、壮絶ないじめにあっていた。しかし、父を看病する母に相談が出来る訳も無く、耐え続ける日々が続く。
そんな泰二の人生を変える出来事がこの日二度起きる。
一度目は、ある人物との出会い、そして二度目は父の死。
「……随分とつまらなそうに歩くじゃあねぇか?」
「……えっと、誰ですか?」
泰二が目にしたその男は激昂日本人離れした顔立ちに、白髪、黒髪が入り交じったアシンメトリーな髪型をした見た目三十代の男性だった。面識の無いその男性に泰二の質問は当たり前のものだった。
「俺か?俺は黒白院和泉だ。そんな名よりも日本の御三家の黒白院と名乗った方が分かるかな?」
「……分かりません」
「正直だな。そうだな福岡支部防衛局暗殺部隊部隊長って言っておこう」
「それって、堕天使の力の?」
「俺も有名になったな。そうだ俺の異能は神の如き強者だ」
「本物ですか?」
「疑うのか?無理も無いか。見せてやる」
和泉の背後から十枚の翼が出現する。
「美しい」
十枚の翼を見て、田所は思わず声を漏らす。
「……変わった奴だな。これを見て、そんな事を言ったのはお前が始めてた。汚れたこの翼、人を殺してきたこの汚き手……それを知っても尚、その意見は変わらないのか?」
「はい。余計な情報なんて入ってきません。僕の目の前にはこんな美しいものが……こんな事を思ったのは産まれて初めてです」
「……俺も産まれて初めてだ。涙を流しながら、この翼を褒め称えられたのは」
和泉は出現させていた翼を消し去る。
「……で、何でだ?つまらなそうに歩いていたのは?」
「僕、弱いですから」
「……簡単に解決出来そうだな」
「えっ?」
「俺の弟子になれ!」
「……はい?」
「これ、俺の連絡先。その気が有れば連絡してくれ」
「……考えておきます」
和泉から手渡された紙を田所は受けとると、その場を後にする。その後、田所は父親が入院している病院へと向かう。
「母さん?」
病院にたどり着いた瞬間、田所の目に飛び込んできたのは、泣き崩れる母の姿だった。
「お父さんは、病弱で体が弱かったから」
田所の母は床に手を足をつけながら、田所の元に移動すると、田所のズボンにしがみつく。




