第17話幼き記憶
幼きその少年は母子家庭で育った。
幼きその少年には母親しか居ない。
そんな母親は現在も入院しており、その少年は母親の治療費を稼ぐ為、新潟支部防衛局暗殺部隊に所属し、治療費を稼いでいた。
そんな少年は現在、本部決定戦一回戦目の補欠として、メンバーに加わっていた。そして、一回戦目は仕切り直しによって、各支部は補欠を出場させていた。
新潟支部は涼香によって二人とも戦闘不能になった為、二人とも補欠が出る事になっていた。
「……あれが新潟支部の黒き弾丸」
モニターで見ていた者達は全身黒ずくめで、黒髪のその少年を見て、戸惑っていた。
一正一が噂とは大分違って居たからだ。身長は165センチで、体重は46キロ、噂では大男を軽々く投げ飛ばす噂がある事から皆、屈強な男のイメージがあり、現在森林スタジアムを優雅に歩く正一が本人とは思えない者も居た。
「……ラッキーだ。最初に出会えたのが、ガキで」
突然現れた男に正一は返答する事なく、拳銃を向ける。
「おい!いきなりそれは無いだろ?」
戸惑う男に構う事なく、正一は引き金を引く。
通常に人間にかわせる訳も無いその弾丸を軽くかわす。
「……全く、俺以外なら当たってたぞ」
男がその言葉を告げたその瞬間、男の背後に激痛が走る。
「何だ?これ」
「……何もかも見当違いだ。避けられもしない奴が吠えるな」
正一のポイントは一ポイント加算され、三ポイントになった。弾丸の軌道が変更したのは間違いなく、正一が何かをしたのは明確だが、その方法を知る者は新潟支部の控え室に居る者と、モニター越しで気づいた者だけである。
「待てよ。何処へ行く?」
「……」
「後輩が殺られた以上、先輩として、黙って行かせるかよ」
「戦闘は見ていたなら、理解しろ」
「あぁ?」
「お前では勝てないと何故、分からない。何を見ていた?」
「……ご託は良い。新潟支部の黒き弾丸、一正一お前はここで俺が倒す」
正一は拳銃を取り出すと、引き金を引く。
「またかよ」
男は何とか避ける、正一に倒された男の元に駆け寄ると、その男を抱き抱え、木陰の側に寝かせる。
「これで心置きなく、戦える」
そう告げた男の眼前に銃弾はあった。
「マジかよ」
銃弾はその男顔面に直撃すると、倒れ込む。
正一は木陰で横たわっていた男が転移魔法が治療室へと移動させられた事に気がついた。そして、顔面に弾丸が直撃した男が転移されていない事にも気がついていた。だからこそ、正一は銃口を倒れ込む男へと向ける。




