第15話中断
落下する涼香は地面に接触する前に氷受け止めた。
涼香の体に大量に入れられた魔力、そして、本部決定戦の最重要ルールである命のやり取りを破ろうとした事から、日本能力者育成機関本部決定戦一回戦目は中断された。
「……ここに呼ばれた理由は分かっているのかね。青森支部防衛局副局長三川勉よ」
薄暗いその部屋にたった一人で勉と対峙しているのは、黒白院善一郎だった。
日本で最も権力がある老人とも言われる男である。
この老人を前に勉も萎縮していた。
「……」
「やましい事があるからこそ、何も言えぬのだよ。愚かなものよ」
「返すお言葉もありません」
「そんなものは期待していないよ。私が望むは君の死のみだよ。この本部決定戦の最高責任者である私の顔に泥を塗るその生意気さ……それでいつまで私はこの怒りを押さえれば良い?」
笑顔で告げた善一郎を見た勉は倒れ込むとそのまま、頭を下げる。
「お許しを」
「死んだ後に許すとしよ」
善一郎の全身から放たれた黒、白が入り乱れたオーラはその部屋を包み込むと、勉が居た痕跡を全て消し去った。
「……死んでも、許せたものではなかったな」
善一郎のその言葉が虚しく、部屋に放たれたその頃、三川涼香は瀕死の状態で緊急医療室へと運ばれていた。
「……氷」
緊急医療室の前で立っていた氷の元に兄である紫音がやって来る。
「兄貴」
「涼香ちゃんは?」
「瀕死だ。元々、異能力者である体に無理矢理、魔力を入れ込まれたんだ。精神力が異常な俺達の一族でも耐えるには限界がある」
「……助かるには魔力を全て、抜くしか無いって事だね」
「体中を既に巡っている体から、全てを抜くのは不可能に近い。それは兄貴も知っているだろう?」
「だけど、ここまで耐えて来たんだ。少量程度なら、耐えきれるかもしれない」
「素人の兄貴が言ってもなぁ。専門的な事は分からねぇよ。それよりも、涼香が倒して来た敵は全て無効になるらしい」
「氷付けにされた筈だよ」
「……補欠が出来る事も許されている。東京本部は俺と兄貴のまま続行するらしいぞ」
「……僕は一度も戦闘になっていないから、問題無いけど……氷は大丈夫なのかい?」
「問題無い。それよりも、気を引き締めろよ。特に北海道支部の代表にはなぁ」
「小鳥遊小百合だね」
「あぁ、日本に置ける最強の魔術師と呼ばれる女だ。出会ったら、逃げたほうが良いかもなぁ」
「珍しいね。氷がそんな事を言うなんて」
「俺達は代表だ。負ければ、それなりに攻められる」




