第14話 蓮の花を開かせる氷神竜(ロータス・ブリザード)
逃走を続ける氷は自身の異能が使えない状況に苛立ちながら、今回の本部決定戦の為に行って来た特訓を思い出していた。
氷の特訓の相手は兄である紫音と佐倉湊斗だった。
「……兄貴、氷神竜の蓮造花を教えて欲しい」
潔く、頭を下げる氷に紫音と湊斗は驚愕していた。
「珍しいね。氷が、頭を下げるなんて」
「それだけ、俺は本気だ」
「……分かった。覚醒のコツと感覚なら教えられるよ」
紫音の教えもあり、氷は新たな覚醒、|蓮の花を開かせる氷神竜を獲得した氷だったが、持続時間が極端に短く、実戦向きでは無い事から、今回の本部決定戦ではつかないと決めていたが、涼香相手にその考えは変わりつつあった。
「……使うなら、一瞬で決めるしかねぇな」
逃走を続ける氷は待ち伏せし、涼香の来るタイミングを伺っていた。
氷で造られた巨大なゴーレムとなった涼香はゆっくりと、そして確実に氷の元へと近づいていた。
氷は近づく涼香にタイミングを合わせ、暴滅氷神竜を覚醒させ、|蓮の花を開かせる氷神竜へと覚醒させる。
「……この一瞬で決める!」
氷は右手を突き出し、氷竜を出現させる。その氷竜は氷で造られた蓮の花が所々に存在していた。
「|蓮の花を開かせる氷神竜は物質に接触すると、その物質のエネルギーを吸収させ、花を開かせる。お前の氷の吸収と、俺の吸収……全てはここで決まる」
涼香の氷神の巨人の吸収よりも、氷の|蓮の花を開かせる氷神竜の吸収が優先され、吸収が行われていく。
「……魔力の吸収も氷を正常に吸収されるなぁ」
氷で覆われ、巨体なゴーレムと化した涼香の氷は徐々に小さくなっていく事から、正常に異能として発動出来ている事は把握しながら、蓮の花を開かせるの持続時間がもう持たないその事実にも気がついていた。
「はぁはぁ」
氷が吸収され、剥き出しとなった涼香は虫の息だった。
目は虚ろ、体は痩せ細り、口からは大量に吐血。明らかに無理矢理入れられた魔力の後遺症である事は明らかである。
「……異能はもう使うなぁ。死ぬぞ」
「……氷川氷を殺せば……パパが、喜ぶ……ママが帰って来て……くれる」
「……父親の事は知らねぇが、お前の母親はもう死んでいる」
「……えっ?」
「気づいているだろう。お前の近くに居る筈だ」
「……そっか。ここに居たんだね……ママ」
自身の体内に流れる魔力が母親の物であることに気がついた涼香は大量の涙を流すと、気絶する。
気絶した事によって、異能が解除され、氷で造られたゴーレムは消え、涼香は地面へと落下する。




