第11話調査依頼書
三川勉、氷川はるか、氷川未來の三人は屋敷の一室で話し合いが始まっていた。
「で、用件は何だ?」
「未來さん。前々から頼んでいる話です」
「氷川家の後ろ楯が欲しいと言う話か?」
「はい。青森支部の防衛局に入れたのは良いのですが、昇進も出来そうに無く」
「……これを見てくれ」
未來は用意していた茶封筒を勉へ見せる。
「それはなんですか?」
「調査依頼書だ」
未來からその言葉を聞いた勉の表情は一変する。
「待って下さい」
「……どうした?凄い汗だぞ」
「先ずは話を聞いて貰えませんか?」
「何故だ。これを見られたら困るのか?」
「だから……先ずは話を」
「……勉、選択肢をやろう。この調査依頼書をお前が声を出して、俺達に聞かせるか、それとも私が無言で読むか……選べ」
未來は茶封筒を勉へと差し出す。だが、それを受け取れない勉は無言のまま、うつ向いてしまう。
そんな勉を見て、未來はため息をつくと茶封筒の封を開ける。
「もう一度、チャンスを」
「勉。もう開けてしまった。手遅れだ」
未來は調査依頼書に目を通す。
「はぁ」
未來はある程度、予想はしていたものの、その予想を遥かに越える勉のあらゆる事柄に失望していた。
「何故、こうなる」
「……氷川家には分からない。三川家がどれだけの苦しみの中に居たのか。三川家はもう二人だけだ。二人で強くなるには奪い強化するしかない。見ろ」
勉は服を脱ぎ、上半身を晒す。
勉の上半身は魔法陣が刻まれており、一部の体は朽ちていた。
「その魔法陣は早めに解除することをオススメする。言われるまでも無く、理解出来ているだろう」
「こうする以外に方法は無い」
「だいぶ、追い詰められているな。青森支部防衛局は止めろ」
「せっかく上り詰めた地位を捨てろと?」
「すがる程のものか?」
「三川家で唯一誇れるものだ」
「そんなものを誇っているから、お前は駄目なんだ」
「だったら、氷川家の後ろ楯を」
「三川家が二人しか居ないのは、お前が妻を殺したからだ」
未來は手にしていた調査依頼書を勉へと投げつける。
「死にかけとは言え、短い命とは言え、お前は妻を手にかけ、妻の体内から魔力を抜き取った。で、その魔力はどこだ?」
「……この体に」
勉は上半身に浮かび上がっている魔法陣に触れ、答えた。
「とぼけるな。死にかけの女とは言え、一人の女の魔力がそんな魔法陣で押さえられるか」
「……」
「……三川家が二人だけだった。その少なさ、そしてお前には交友関係は一切無いらしい……あの娘だな」




