第10話氷川家と三川家
二世紀前に氷川家は分家である水川家との争いで勝利し、水川家は静岡支部へ逃走し、逃げ遅れた水川家、氷川家に不満を持つ者が第三家系として三川家を名乗り、現代まで続けていたが、残っているのが三川勉と三川涼香の親子のみとなっていた。
五歳である涼香には関係の無い話だが、親戚や頼れる者がいない勉に取っては、娘の涼香の将来も考えて、この日一つの決心を決め、氷川家に訪れていた。
「お待ちしてました。こちらへ」
氷川家の屋敷の前で待っていた男に案内され、屋敷の中へと入っていく。
そこで待っていたのは、氷、紫音の父親である氷川未來と母親である旧姓花園はるか現、氷川はるかが出迎えていた。
「君の娘か?」
「ええ」
「氷と紫音が居る部屋で遊んで貰うと良い」
未來のその言葉を受け、案内を任されていた男は扉を開ける。
「どうぞ」
「行って来なさい。お父さんは大事な話があるんだ」
幼き涼香は何かを察したのか、大人しく部屋を後にする。
案内された部屋を涼香が開けるとそこにはまだ十歳の紫音と氷が居た。
父親と母親から儀式による異能の譲渡をされていない二人はまだ氷神の花畑、暴滅氷神竜ではなく、紫音は異能である神器を宿していた。紫音は氷神撃滅剣を氷は氷神の束縛の異能力者であった。
「……その子は?」
紫音はその疑問を案内係を務めていた男に尋ねる。
「三川家の一人娘でございます」
「……それが何でここに居るんだよ?」
「氷様、毎日言っているように、その言葉使いは」
「黙れ!」
氷は氷神の束縛を発動させ、案内係を氷で造られた檻へ閉じ込める。
「氷様!」
「……氷止めないか」
紫音に言われるがまま氷は異能を解除する。
「ありがとうございます。紫音様」
「で、何でそんなガキが居る?」
「未來様とはるか様に言われましたので」
「ちっ!」
父親と母親が関与している事から、無下に出来ない事を把握した氷は諦める様に舌打ちをするその横で紫音は涼香を優しく、迎え入れる。
「……お名前は?」
「三川……涼香」
「涼香ちゃん。ここには特に何も無いけど、涼香ちゃんが楽しめるように善処するよ」
「……何も無いなら、造る」
「造る?」
「うん!」
涼香は座り込み、両手を前へと突き出し、冷気を発生させると、そこから氷で造られたウサギを出現させる。
「……小さいけど、細かく造り込まれているね。これは将来が楽しみだ」
「下れねぇ。ウサギが何の役に立つ」
「ウサギではね。もっと、別のものなら違うかもね」
「……どうだか」




