仙人VSスケルトンソルジャー、無限召喚
「マサト殿はやらせません!」
アベルドは長剣を振り下ろす。スケルトンソルジャーを後ろを振り向かず、盾を水平に降りぬいた。かなりの長さと重量のある盾を振り回せば打撃武器としても十分通用する。アベルドの胸部に盾の一撃が入る。アベルドは吹っ飛ばされる。アベルドが胸を押さえあえいでいる。呼吸困難に陥っていた。
「エミリア、アベルトの治療!!」
エミリアが頷きアベルトのもとに駆け寄る。
(そうはさせん!)
スケルトンソルジャーの姿が消え、エミリアの眼前に現れる。すでに長剣を振り下ろす体勢に入っている。
エミリアが思わず目を閉じる。
「そうはさせんはこっちのセリフだ」
マサトの言葉と同時にスケルトンソルジャーが壁側に吹っ飛んだ。スケルトンソルジャーが消えたと同時に将人も移動、出現位置を予測しそこで『崩拳』を放ったのだ。自分の出現位置を予測されるとは思っていなかったスケルトンソルジャーは防御が出来なかった。
「よくも、エミに攻撃しようとしてくれたわね!」
マサリアはただ見ていただけじゃなかった。マサリアは状況を見ながらも呪文を唱えており、タイミングを見て魔法を発動するつもりだった。体勢が崩れている今がまさに最高のタイミングだ。マサリアの頭上には岩で出来た槍が十数本出現する。
「食らいなさい!!」
マサリアは岩の槍を射出した。スケルトンソルジャーは盾を体の前に掲げ身を隠す。
「そんな盾で防げるわけないでしょ!!」
(それはどうかな………)
スケルトンソルジャーの余裕のある声が頭の中に響くと同時に盾に岩の槍が全て飲み込まれ、逆にマサリアに向けて放たれた。
「そんな!?」
自分に向かって飛んでくる岩の槍に動けなくなるマサリアを将人が飛びつき身を伏せさせる。二人の頭上を岩の槍を通り過ぎていく。
「何なの、あの盾!?」
「あの盾、魔法を反射する能力があるのかもしれないな」
「魔法を反射? 信じられない!!」
「あの盾を何とかしないと自爆してしまうな。何とか盾をスケルトンソルジャーから取り上げる。そうしたら魔法を叩きこんでくれ」
「分かった」
将人は立ち上がる。スケルトンソルジャーは微動だせず、部屋の中央に立っていた。
(話し合いは終わったか)
「こっちが動くのを待っていたのか」
(弱者を追い打つような事はせぬ。私は騎士だ)
「自意識過剰な奴だ。そういう自信は油断に繋がるぞ」
(油断? そんなものは我にはない!)
「今のうちに言っとくといい………負けた時の言い訳を」
将人はスケルトンソルジャーの元へ歩く。
(ほざくな、若造!!)
スケルトンソルジャーの怒りの声が頭に響く。
マサトはスケルトンソルジャーの間合いに入った。将人は『三体式』の構えを取る。スケルトンソルジャーは左手に盾を右手に長剣を持ち、左半身を盾で隠した。体の半分を隠した相手と戦った事がない将人にとってスケルトンソルジャーは厄介な相手だった。
(そちらから来ないのならこちらから行くぞ)
スケルトンソルジャーは長剣を振り下ろす、右から左に薙ぐのが基本攻撃だった。盾より左に攻撃する事が出来ないと考え将人は盾より左側に避ける。そんな単調な攻撃が続き将人はおかしいと思った。その思考をスケルトンソルジャーは読んだのかニヤリと笑ったような気がした。将人は左斜めの方向に大きく飛び、間合いから外れようとしたが逃れる事が出来なかった。スケルトンソルジャーが盾を構えて突進してきたのだ。動かされたと思った時にはすでに遅し、盾の体当たりを食らってしまう。その衝撃によろけるが倒れずに済んだ。
「単調な攻撃でこちらを油断させて、何かあるかのように思わせて動きを誘った。言うだけの事はあるな」
(そちらもな、今の攻撃て倒れないとはな。雑魚かと思ったらなかなかやる。もっと抗え、我を楽しませろ!)
「いや、もう楽しませてやるつもりはない。次でアンタを倒す」
(ほう、面白い。やってみろ!!)
再びスケルトンソルジャーの攻撃が始まる。将人はそれに対して左側に逃げる。
(またそうやって死角に逃れるのか)
スケルトンソルジャーはまた盾による体当たりを食らわそうと力を溜める。そのわずかなスキに将人はさっらに左に動いた。すなわちスケルトンソルジャーの側面に。スケルトンソルジャーの左手首を左手で掴み前方に引っ張る。腕が伸びた状態で肘に向かって右肩から体当たりを食らわす。腕の曲がらない方向に強い力が加わった事で左腕が変な方向に曲がった。スケルトンとはいえ骨の動く方向は人間と同じ、痛みはなくとも盾を持つ事が出来なくなり床に落とした。
「マサリア、今だ!!」
将人は叫び、スケルトンソルジャーから離れる。
「待ってました!!」
マサリアは魔法を発動させる。岩の槍をスケルトンソルジャーに射出した。高速で射出された岩の槍はスケルトンソルジャーを貫いた。
「鎧の方には魔法を反射させる能力はないみたいだな。よかった」
スケルトンソルジャーは膝をつく。体から黒い靄が噴出し空中に消えた。
「終わったの?」
マサリアが将人の後ろからスケルトンソルジャーを覗いている。スケルトンソルジャーがゆっくりと立ち上がった。また動けるのかと将人は『三体式』の構えを、マサリアは杖を構え、攻撃に備える。それに対しスケルトンソルジャーは剣を逆手に持ち柄を将人の方に差し出す。
(見事と称賛したいところだが………今このダンジョンは狂いつつある。君らはこの剣を持っていくのが目的なのだろう。ならばこれを持って早く逃げろ!!)
「それは一体………」
将人は最後まで言う事が出来なかった。スケルトンソルジャーの鎧を何かが貫いていたからだ。
「誰がやった!!」
スケルトンソルジャーの背後を見るとそこには上層で戦ったスケルトンがいた。スケルトンが持っていた錆びた剣がスケルトンソルジャーの白銀の鎧を貫いていた。スケルトンはスケルトンソルジャーを刺したまま持ち上げ、投げ捨てる。将人は躊躇なく『崩拳』を打ち込みスケルトンを破壊した。
「このスケルトンどこから?」
将人は辺りを見渡しもう一つ鉄の門を見つける。その門が開いており、そこからスケルトンが出てきた。一体だけではなく二体、三体………何十体というスケルトンが湧いて出てきた。
「狂いつつあるってそういう事か!!」
将人はスケルトンの群体に向かって突進、攻撃をするが一体倒す間に数体のスケルトンが生まれており将人はあっという間にスケルトンの群体に埋め尽くされる。
「マサト、マサト!?」
マサリアの声に将人は答えない。
「そんな………」
マサリアは絶望に膝をついてしまう。そんな時将人に群がっているスケルトンの山に変化が起こった。スケルトンの山の中から何かが飛び出したのだ。
「………マサトの盾」
円形の盾が空中に浮き、スケルトンの山の方向を向き『氣』を放出しスケルトンを破壊した。粉々になった骨の中から将人が出てきた。擦り傷があるだけで大きな怪我はなかった。
「ひどい目に合った………アイちゃん、ナイス」
円形の盾アイアスは将人の胸に飛び込んだ。
「しょうがない子だな」
つっけんどんに言いながらも撫でてやると喜んでいるような感情を感じた。
「マサト、その盾一体何なの!? 今浮いてたよ!?」
「その話は後で。それよりこのダンジョンが狂いつつあるという言葉の意味がなんとなく分かった」
「マサト、それって?」
「それより、エミさんとアベルドは?」
エミリアとアベルドが将人たちに駆け寄る。
「マサト殿、すみません。大事な時に動けずマサト殿に負担をかけてしまいました」
アベルドは悔しげな表情を浮かべる。
「マサト様、これは一体?」
エミリアは険しい表情で奥の門から湧き出るスケルトンを見る。
「その話は後、早くここから出よう」
将人たちは入ってきた鉄門に向かうが扉が開かなかった。扉の隙間を見ると何百ものスケルトンが扉を抑え込んでいた。
「こっちは無理ね………そうだ、転移石」
マサリアは懐から転移石を出し、魔力を流そうとする。その時頭の中に声が響いた。
(ダメだ、使うな!!)
スケルトンソルジャーが起き上がり、盾を大きく振りスケルトンを破壊した。
(ダンジョンコアの暴走で転移の魔法はうまく使えないはずだ。下手をすると壁の中に転移するぞ)
「アンタ、まだ生きてたのか?」
(私はスケルトンだ。生きているという表現はおかしいぞ)
スケルトンソルジャーは将人たちの前に立ち、盾を前に構える。盾がスケルトンを吸収し、放出する。放出したスケルトンが湧き出るスケルトンと衝突しお互いを破壊する。
「湧き出るスケルトンも魔法と判断されるのか。何か大雑把だな、でも助かった、アリガトウ」
(それはこちらのセリフだな。私もさっきまでダンジョンコアの暴走に巻きこまれ、正気じゃなかった)
「ダンジョンのボスとしてはそれでいいのでは」
将人の疑問にスケルトンソルジャーは毅然と答える。
(こんな身であろうと私は騎士だ。無頼の徒に身を落とせようか)
「アンタ、変なボスだな。でも気にいった。名は何というんだ?」
(こういう時に名乗る名前が私にはない、今まで通りスケルトンソルジャーでいい)
「そっか、ダンジョンコアの暴走を食い止めたら何かいい名前を考えるよ」
(楽しみにしている)
「ああ、楽しみにしていてくれ。じゃあ、これからダンジョンコアの暴走を食い止め、このダンジョンを攻略する!!」
将人の宣言に全員が応と答えた。




