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仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第四章 仙人、特級冒険者になる
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仙人VS『滅び』のゴーレム、流砂装甲

動きの速い敵はまず動きを止める事―――エミリアとファテマは地の魔法で生成した鎖を幾重にも放出する。『滅び』のゴーレムはそれを右へ移動して避けるが、魔法の鎖は『滅び』のゴーレムを追尾する。ゴーレムは捕まるのを嫌って移動を繰り返すがそれでも追尾が続き鎖の一本がゴーレムの足に絡みつく。それで足を止めた途端、次々に鎖が絡みつき簀巻き状にされ身動きが取れなくなる。そこを狙ってマサリアが火の魔法で生成した五つの火球をまとめて『滅び』のゴーレムに叩きこむ。轟音と爆炎で『滅び』のゴーレムの姿が見えなくなる。しばらく様子を見ていると爆炎が風に巻き上げられる。その中心に『滅び』のゴーレムが立っていた。


「魔法の攻撃が効かない、何てやつ!?」


マサリアが再び火の魔法で火球を生成しようとするがそれよりも早く『滅び』のゴーレムが動いた。立った一歩で『滅び』のゴーレムがマサリアの間合いに入る。ゴーレムがマサリアに蹴りを入れる。バックラーで蹴りを受けるが、その一撃は近距離で火球が叩き込まれたと思ってしまうほどの強力な一撃だった。『滅び』のゴーレムの蹴りを受けた際『氣』が放出されたがそれをものともせず降りぬかれた蹴りはバックラーを破壊、受けた腕は骨折、エミリアの体は石ころのように軽々と蹴り飛ばされた。その時点でエミリアは気絶しており受け身も取れず、地面に叩きつけられる。


「リアお嬢さまをよくも!!」


何時も無表情なエミリアが怒りの表情を浮かべ、『滅び』のゴーレムに杖を向け呪文を唱えるがそれを将人が止める。


「エミさんとファテマさんはリアとアベルドを治療してください。パウラちゃんと俺で時間を稼ぐんで。パウラちゃん頼める?」


「分かったよ、お兄ちゃん!! リアちゃんの仇を取るんだから!!」


パウラは右拳で左掌を打つ。不敵な笑みを浮かべている。


(あのゴーレムを相手にそういう表情が出来るとは強いな、パウラちゃん)


将人は円形の盾を取り外しエミリアに渡す。


「エミリアさん、これ預かってください」


「マサト様、これがないとあのゴーレムには………」


「あのゴーレム相手だと盾を使って足を止めるのは危険です。寧ろ無い方が動けます。」


「分かりました。お預かりします。後でお返しするので必ず受け取りに来てください」


「分かりました、お願いします」


将人はゴーレムに向き直る。


「じゃあ行こうか、パウラちゃん」


「うん!!」


パウラは頷き短く呪文を唱えると体が薄く光った。身体強化の魔法を自分にかけたらしい。


『滅び』のゴーレムはその場を動いていなかった。オグマに将人たちの抹殺を命じられているという話だがこっちが来るのを待っているのはおかしな話だ。


「待たせたようだな」


将人が『滅び』のゴーレムに話しかけるが何の反応もない。


「こっちが来るまで待っていてくれたようだが仲間を傷つけた事に変わりはない。『滅び』はあってはならないものだし、お前は壊させてもらうぞ」


将人が『三体式』の構え、パウラが両手を胸の前に突き出す。右手が左手よりやや前に出ている。これがパウラが無手で戦う時の構えだった。二人が構えた事に『滅び』のゴーレムは反応した。『滅び』のゴーレム一歩踏み込む。その一歩で初速から最高速になる。このゴーレムはそう動く事を知っていても将人たちの反応は遅れ、一瞬にして間合いに入られてしまう。そのまま『滅び』のゴーレムは左拳を将人の顔面に繰り出す。『滅び』のゴーレムの拳が将人の顔面に届く直前パウラがゴーレムの腕を掴んで止める。その隙をついて将人は『崩拳』を放つ。腹部に当たった瞬間『氣』も打ち込んだが感触がおかしかった。腹部に打ち込んだ『氣』が右わき腹から排出されていた。将人は後方に離れ、パウラは『滅び』のゴーレムの腕をつかんだまま懐に入り体を沈め相手を背負うようにして投げた。柔道の一本背負いだった。『滅び』のゴーレムは空中で一回転し、何事もなかったように着地する。


「お兄ちゃん、大丈夫?」


「ああ、こっちは大丈夫。ありがとうパウラちゃん」


将人の感謝にパウラは照れ笑いを浮かべるが将人はそれに気づいておらず、別の事に頭を使っていた。


(打ち込んだ『氣』がどうしてわき腹から出てきた? そういえば『崩拳』を打ち込んだ時、拳が少し左にずらされたたような………)


「パウラちゃん、少し危ないかもしれないが頼めるか?」


「何、お兄ちゃん?」


「あいつの動きを止めてくれないか。数回『氣』を打ち込んで確認したい事がある」


「分かった!」


パウラはそう言って『滅び』のゴーレムに向かって両腕を開いて突進する。『滅び』のゴーレムも両腕

を開きパウラの両手を掴む。力比べの体勢になる。だが、パウラの目的は力比べではない。


「お兄ちゃん、今だよ!」


将人は走り『滅び』のゴーレムの後ろに回る。背後から『崩拳』を二連撃で放つ。拳が当たった瞬間少しずれた感触があった。そして拳を当てた個所から『氣』が放出され、将人を打ち付けた。『氣』の衝撃は将人に気を失いそうになるが歯を食いしばって堪える


(『滅び』で動いているゴーレムが『氣』を使っただと!? そんな馬鹿な!? イヤイヤ待て待て………それはないだろ。何らかのトリックがあるはずだ。変なところがあった筈だ、考えろ………そういえば拳を打ち込んだ瞬間、拳が少しずらされるよな。どうしてそうなる?)


「お兄ちゃん、もう限界………」


パウラとゴーレムの力比べはゴーレムの方に分があった。ゴーレムがパウラを上から押し付けられ膝をついている。


「ワッ、ゴメンちょっと待ってろ」


将人は『三体式』の構えから『崩拳』を放つ。そして数秒待ってもう一度『崩拳』を放つ。最初の『崩拳』で打ち込んだ『氣』を次に放つ『崩拳』で迎撃する。『氣』同士のぶつかり合いは『滅び』のゴーレムの内部で炸裂し、右腹部及び胸部を抉り取った。パウラを押し付ける力が弱まり、その隙に脱出する。


「パウラちゃん大丈夫!?」


「お兄ちゃん、パウラ疲れちゃったよ。後でマッサージしてほしいな」


パウラが抱きつきながら言う。


「……全然元気なようだね、安心したよ。後でマッサージでも何でもしてあげるから、まだ油断しちゃだめだよ」


将人は引きはがし呆れながら言う。パウラは将人のセリフに妄想ゾーンに入り込んでしまう。


「ダメだ、こりゃ!」


将人はしばらくパウラをほおっておいて『滅び』のゴーレムの変化を見つめる。『滅び』のゴーレムの抉られた個所が蠢き塞ぎにかかる。蠢いている所をよく見ると細かい白い砂が動いているのが見えた。


「これが『氣』が効かない理由か?」


『氣』が打ち込まれた瞬間体内の砂を動かして『氣』をいなしていたのだ。『滅び』のゴーレムの体内で太極拳でいう化勁を行われているようなものだ。だが、弱点は先程偶然見つける事が出来た。『滅び』の石がある個所を見つけ出し、そこで『氣』で『氣』を迎撃し炸裂させれば『滅び』の石が壊せそうだ。


「動けない今がチャンスだ、やるか!」


将人が『滅び』のゴーレムの間合いに入るとゴーレムは後方へ跳躍し避難する。将人は『滅び』のゴーレムが手負いの獣のように見えた。


(傷を負った獣は普段以上に怖い。まだ何かあるんじゃないか………)


将人は深追いはしなかった。


『滅び』のゴーレムとの闘いは続く。

 










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