↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第四章 仙人、特級冒険者になる
56/190

仙人、VSマサリア、パウラ、喜劇王の言葉、原点に返る

「私はこれで失礼するよ」


オグマが指を鳴らすと空間が割ける。空間の裂け目に入ろうとするオグマにアベルトが魔力放出による突進で一気に間合いを詰め切りつける。だがオグマはその一撃をやすやすとかわし空間に溶けるように消えた。


「クソッ、魔法使いに躱されるなんて………それよりマサト殿は?」


将人はマサリアが全身から出す『滅び』の触手にとらわれ身動きが取れなくなっていた。そこへパウラが大剣を振り降ろす。アベルドは魔力放出による突進で間合いを詰めパウラに切りつける。将人への攻撃を自分の防御に切り替えアベルドの攻撃を防ぐ。その隙に将人は盾から『氣』を放出し『滅び』の触手から脱出する。


「マサト殿、ご無事ですか?」


「無事だけど………アベルド、お前、本気で切りつけてるだろ」


「『滅び』に操られた状態の二人は手加減できる相手じゃありません。そんな事言って私たちが倒れたらそれこそ二人を助ける事が出来ません」


アベルドに正論を言われ一瞬迷うが決断する。


「………そうだな、二人を抑えるには多少の負傷は覚悟してもらうしかないな………二人とも済まない。本気でいく!!」


「分かった、任せる!!」


「遠慮はいらない、ドンとやって、お兄ちゃん!!」


将人の声にマサリアとパウラが答える。


「マサト殿、これって………」


「あの陰険ヤロー。奪ったのは体の自由だけで意識までは奪いっていないんだよ。自分の手で俺たちを殺すところを見せつけようだなんてどう考えれば思いつくんだが」


オグマの邪悪な考えに将人もアベルドも怒りで体が熱くなる。


「ともかく、俺はパウラを押さえるからアベルドはマサリアを頼む」


「分かりました」


アベルドがマサリアに切りつけるが、『滅び』の触手でガードする。


(本気すぎだろ、アベルド。殺したりするなよ………)


「じゃあ、こっちも始めようか、パウラちゃん」


「頼みます、お兄ちゃん」


その言葉と同時にパウラの体は大剣を振り下ろす。将人は角度をつけて盾を立て大剣の一撃をいなした。うまくいなす事は出来たがその一撃が強すぎて盾を持っている手が痺れた。こんな攻撃が続けばいずれは盾が壊れてしまう。そうなる前にと盾の『氣』を放出しパウラを攻撃するがパウラは跳躍し『氣』を躱す。


「逃げてっ!!」


パウラの叫びと同時に将人は前に飛びパウラの間合いから外れる。次の瞬間そこに雷が落ちたかのよう凄まじい轟音が響き渡る。後ろを見るとパウラの大剣が大地を粉砕していた。『滅び』の力で普段発揮されてない力を引き出されているようだった。セーブが効かない分反動がひどく、こちらの攻撃は全く当たっていないのに体中傷ついている。


「グウッ」


うめき声と同時にアベルドがこちらに弾き飛ばされる。


「アベルド、大丈夫か?」


「すみません、マサト殿。私ではマサリア殿を止めることが出来ませんでした」


「こっちも似たようなもんだから気にするな。それよりも動けるか?」


「私は右腕と両足をやられました。悔しいですが戦力になりません」


アベルドの右腕と両縁股あたりから血がしたたり落ちその場いとどまると血だまりが出来てしまう。


「そうか、だったらエミさんとファテマさんを見てきてくれ。『滅び』に侵されているようだったらお前の長剣に込めた『氣』で『滅び』を滅却してから治療してやってくれ。エミさんとファテマさんが回復すれば治癒魔法でお前の怪我も治せるから」


将人の提案にアベルドは反対する。


「そんな! それではマサト殿が危険です。それならば私が囮になります」


「いや、囮は俺の方が適任、俺は魔法使えないから『滅び』を消せてもその先が出来ない。それよりアベルドがいって二人を治療してくれた方が確実なんだ」


「分かりました。すぐに戻りますからそれまで頑張って下さい」


ふらつきながらも倒れているエミリアとファテマのもとに向かうアベルトを、マサリアとパウラが襲い掛かるが、そこに将人が割って入り盾の『氣』を放出する。『氣』を嫌がってマサリアとパウラが離れる。


「二人の相手は俺だ。こっちに集中しろ」


将人は盾を構えながらニヤリと笑う。それをどう思ったのかマサリアとパウラはその場で立ち止まる。


「マサト、私もう嫌だよ。みんなを傷つけるのはもう耐えられない。お願い………私を殺して」


マサリアは生気のない瞳から大粒の涙をこぼしていた。パウラも涙を流していた。


「お兄ちゃん………私も殺して。お兄ちゃんになら殺されてもいいから」


「………二人とも、馬鹿な事言ってんじゃない。必ず助けるから変な事は考えないでくれ」


「でもこのままじゃみんなを殺してしまう。そんな事は絶対したくない。だから………」


「お兄ちゃん………」


二人の生気のない瞳に見つめられ、息が詰まる。決断を迫られる。


(俺が本当に二人を殺さないといけないのか? 悲劇に、バットエンドにしてしまうのか………待てよ、悲劇といえばあんな言葉があったな………)


「二人とも聞いてくれ。俺のいた世界の喜劇王の言葉にこんな言葉がある。『人生はクローズアップすれば悲劇でロングで引いてみれば喜劇だ』と。悲劇も喜劇も同じ物、視点の違いに過ぎない。俺はこの状況を悲劇じゃなく喜劇にしてみせる。でもそれは俺一人じゃ出来ない。二人とも協力してくれ!!」


「喜劇ってどうやって………」


「分からん、でもやる、やってみせる!!」


その答えにマサリアとパウラが笑う。


「面白いね、お兄ちゃん。言ってる事がもう喜劇だよ」


「答えになってないよ、マサト。でもその言葉に縋りたくなる。将人お願い、この状況を悲劇じゃなくて喜劇に変えて」


「分かった!!」


萎えかけた心に気合が入る。


(俺も気合が入ったし二人も生きる意志を取り戻した。でもこれだけじゃダメだ。あともう一つ何かないか? 俺は困った時はどうしてた、俺は、俺は、俺は………)


「困った時は………原点に返る。そうだ、原点に返ればいいんだ!!」


独り言のようにポツリと出た言葉だがしっくりきた。将人は盾を地面に置いた。


「この盾は便利だが頼りすぎてた。だから動きに繊細さを欠いていた。俺が力を出すには原点に返る事だ。そして俺の原点はやっぱりこれだ!!」


将人はそう言って『三体式』の構えをとった。


「マサト、頼むわよ!」


「お兄ちゃん、頑張って!」

















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。