↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第三章 ラクレール村事件
39/190

仙人、ハイゼンの懺悔を聞く、ダドリー、ハイゼンの死

「ちょっと待った」


将人がハイゼンの告白にストップをかけた。


「アンタが言うあの男ってのは何者だ。タイミングよく現れて、子供を助ける方法を提示するって出来すぎてないか。場合によっては村人をけしかけた黒幕かもしれないぞ。そんな相手をよく信用したな」


「確かにそれも考えました。でも、あの絶望的な状況をどうにか出来るなら悪魔にでも魂を売り渡す覚悟でしたから。」


「悪魔に魂を売り渡したアンタは何をした?」


ハイゼンは一瞬躊躇したが覚悟を決めて話始めた。


「………奥様の遺体を掻っ捌いてお腹の赤子を取り出しました」


それを聞いてファテマとパウラは小さな悲鳴を上げ、エミリアは痛ましげに目を伏せる。女性にとってはつらい話だろう。


「あとは俺が聞いておきますからファテマさんにパウラちゃん、エミさんは向こうに行ってた方が………」


「………これでも冒険者のはしくれだよ、最後まで聞くよ。パウラは聞かない方がいい。エミリアさんパウラを頼める?」


「分かりました。エミ様、行きましょう」


顔色を悪くしたファテマがエミリアに手を引かれ外へ出ていく。


将人は睨みつけながらハイゼンに話を即す。


「引き出された赤子にあの男―――ローブの男としましょうか―――ローブの男は赤子を両手に持ち呪文を唱えました。村には結界が張られ、漂ってい村人たちの魂が外に逃げれないようになり、赤子に魂が吸収されました。そして産声を上げました」


「産声を上げたって、そんな馬鹿な。死産の赤子を蘇らせるって何者だ、その男」


「分かりません。ですが私達にはどうでもいい事でした。ローブの男は言いました。『滅び』の力で蘇ったこの赤子は普通の方法では育たない、その赤子は人の魂を摂取して育つと。私たちは赤子―――ユニス様を育てる為、人を集め魂を収集し始めました。村に移住してきた人を殺し、奴隷を買っては殺しました。魂はユニス様に食べさせ、体は『滅び』の力でゾンビにし、疑似人格を与え生活させました。この村に生者がいないとは誰も思わなかった事でしょう」


確かに村人がゾンビだったとは思いもしなかった。僅かな時間とはいえ宿屋で話したリナとリゼの事を思い出して悲しくなった。どうにかできなかった自分の未熟さが悔やまれる。


「もう一つ聞かせてくれ。アンタらどうしてギルドに討伐依頼を出した? あれがなければこの村に調査に出ようとは考えなかったのに」


その問いにハイゼンはさもおかしそうに笑った。


「それも魂の収集の一環ですよ。冒険者は死と隣り合わせですから何の憂いもなく魂を収集する事が出来ました。ファテマさんらもユニス様のエサになってもらう予定でしたがあなた達は思っていた以上に優秀でした。『滅び』の力で強化したモンスターを倒してしまったばかりか『滅び』に対抗できる力を持ったマサト様をこの村に招き寄せたのですから」


「私たちがエサですって………」


ファテマがハイゼンの前に立った。ファテマが握り拳を作りハイゼンを殴る。一発、二発、三発、拳を痛めるのも構わず殴り続ける。将人はファテマを羽交い絞めにして引き離した。


「この外道!! 私たちを化け物のエサにしようとしてたなんて許さない!!」


「ファテマさん、タンマ!! タンマ!! それ以上やったら聞き出す前に死んじゃうから、落ち着いて!!」」


暴れるファテマを外に連れて行きエミリアに任せて中に戻る。


「さて、ハイゼンさん。自分がやった事のツケが今、回ってきたことが実感できましたか? 今はそれで済んでますがこれからもっとひどくなりますよ。それが嫌だったらこの結界の解除方法を教えてくれませんか。少しは罪滅ぼしをしておきませんか」


「それは出来ません。私がここまで話したのは私がユニス様のエサになる覚悟が出来たからです………死ぬ前に自分のやった事を告白するなんて………私は人である事をやめたつもりなのですが少しは良心が残っていたのですかね」


ハイゼンが虚空に向かって叫ぶ


「ユニスさま!! 私の声が聞こえていますか!! 私もあなたのエサにしてください!!」


ハイゼンの声に答えたかのように周囲の雰囲気が変わる。急激に気温が下がり、風が巻き上がる。強風が将人を吹き飛ばし反対側の赤べに叩きつけられ、その場に座り込む。痛みで指一本動かせなかった。その場に座り込んだ将人が見たのは少女だった。年の頃は6、7才くらい、肌も髪も白い、瞳だけが血のように赤い神秘的な少女だった。その少女は悲しげな顔をするとハイゼンとダドリーの胸に手をあてる。手はハイゼンとダドリーの胸を通り抜ける。引き抜いた時には何か光る球体の様なものを握っておりそれを口元に運び食べた。泣きながらもおいしそうに食べていた。


「もう嫌だ………人の………お父さんとハイゼンの命なんて食べたくないのに………オネガイ、ワタシヲコロシテ」


少女の輪郭が薄くなり空気に解けるように消えてしまった。将人はふらつきながらもダドリーとハイゼンにもとに行き、首筋に手を当て脈がない事を確認する。


「………あの子がユニスなのか? ユニスにはダドリーと戦った時、助けてもらった恩がある。だから人食いの化け物である事が嫌だというのなら俺が必ず見つけ出して終わらせてやる」


将人は何もない空間に向かって決意を込めて宣言した。




















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。