仙人、エミリアに膝枕をしてもらう。ダドリーに尋問
将人が目を覚ますとすぐ目の前にエミリアの顔があった。何事と焦りながらも自分がどんな状況になっているのかを確認する。周囲に人はおらずエミリアと二人っきり。眠っている将人の頭に膝枕をしているうちにエミリアも眠ってしまったらしい。足に負担がかかるだろうと腹筋を使って身を起こそうとすると「ヘギッ」と奇妙な奇声を上げる。身体全身が筋肉痛でろくに動く事が出来なかった。昨夜ダドリーとの戦いで予想以上に体を酷使した為だった。将人の奇声でエミリアが目を覚ます。ボンヤリとしながら将人を凝視する。
(エミリアさんってすごい美人さんだから間近で見られると緊張してしまう………)
「………おはようございます、マサト様」
エミリアはマサトにみられても表情が変わらなかった。通常運転のようだ。
「おはようございます、エミさん。体は大丈夫ですか? 俺よりエミさんの方が重傷だったんだからエミさんこそ休んでないと」
心配そうに尋ねる将人の頭を優しく撫でるエミリア。
「私は大丈夫です、マサト様。………あのダドリーと戦って、更に私の治療までしてくれたとリアお嬢さまに聞きました。こんな状態になってまで戦ってくれて、なのに私はこの体たらくで………せめてこれくらいはしないと申し訳が………」
「お礼はいいですよ、体がむず痒くなるんで。それより今どういう状況なのか教えてもらっていいですか?」
「はい、では………」
エミリアの話を要約するとこんな感じだった。今いるのはダドリーの館の中庭。将人とエミリアは無理に動かさない方がいいとの判断で外で休息を取る事になったとの事だった。ファテマとパウラはダドリーとハイゼンを屋敷内に拘束したうえで未だに解けない魔法の結界の解除方法を聞き出している。マサリアとアベルドは魔法の結界の効力が弱まってる所かないか捜索しているとの事だった。将人はしばらく考え込むと痛む体を押して立ち上がる。体がきしんで動きが鈍い。
「マサト様、無理をなさっては」
「無理をしても………ダドリーに情報を聞き出さないと飢え死に確定ですから………」
将人に駆け寄り肩を貸すエミリア。
「マサト様、無理をしないでください」
「エミさんこそ、休んでいてください」
「マサト様の方が重傷のように見えます。そんな姿を見て何もしない方が辛いです。肩を貸すくらいはさせて下さい」
言っても聞かないなと考えさせるに任せる。屋敷の中に入るとダドリーとハイゼンは柱に縄で幾重にも縛り付けられ拘束されていた。ファテマがダドリーに尋問していた。
「………ダドリーさん、いい加減に結界を解く方法を教えてはもらえませんか? このままでは私達だけではなくあなたもこの中で死ぬ事になりますよ」
「私は全てのものを犠牲にしても野望を果たすと誓っている。その犠牲の中には自分の命も入っている。ここで死ぬ事になったとしてもそれは望むところだ!! 何ら恐れるものはない!! 君らにも犠牲になってもらう」
「ハイゼンさんはそれでいいの」
「私は昔、旦那様に命を救われました。その時にわが命は旦那様に預けております。旦那さまが望むならこの命差し出す覚悟は出来ております。拷問されようと口を割ることはないと思ってください」
思案顔で考えるファテマの耳に足音が聞こえ振り向くとエミリアの肩を借りてこちらに歩いてくる将人の姿が目に入った。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
パウラが駆け寄り将人の手を握る。
「やあ、マサト君。元気そうには………見えないなあ。無理はだめだよ」
「今は無理をしないといけない所ですから………ダドリーは結界の解除方法を喋りましたか?」
ファテマが首を横に振りため息をつく。
「全然ダメ、覚悟をした相手には拷問しても意味がないからどうしたものかと悩んでるよ」
「………拷問できるんですか?」
引き気味に聞く将人に意味ありげな笑みを浮かべるファテマ。見るとパウラも少し引いている。姉妹でも知らない事はあるみたいだ。
気を取り直しダドリーに声をかける。
「よう、ダドリー、昨日はどうも」
「やあ、マサト君。昨日死闘を繰り広げた相手が平然として現れたら憤死してしまう所だったよ。ボロボロになっている姿を見て少しは溜飲が下がったよ」
「溜飲が下がった所で教えてくれないか。結界の解除方法?」
「諦めろ。私を倒した事を冥土の土産とするがいい」
「ならこれだけは教えてくれ………」
将人は溜め息を付き、頭をぼりぼりと掻きながらダドリーに尋ねる。
「ユニスというのはアンタの娘か?」
余裕があったダドリーの表情が明らかに豹変した。




