仙人、防具を買う、ラクレール村へ出発
ラクレール村に行く日程や移動の為の馬車や食料の手配をしている時、装備品の話になり、将人は皮手袋を見せる。
「マサト君、それだけかね」
「これだけですけど………」
エドガルドに眼光鋭く睨まれる。
「君は外の世界を甘く見てはいないか? ロバートに素手て勝利している事は報告で受けている。君の強さは確かなものだがそれだけでは対処できない事は多い。ことモンスターに関してはただの攻撃だけではなく特殊能力や魔法を持つ種が多い。そういったモンスターに対抗する為にパーティーを組むし、武器や防具も必要になってくる。私が費用を持つから装備品を整えてくるといい。でなければラクレール村に行く事は許可できない。分かったらとっとと行ってくる!!」
エドガルドに押されるように慌てて冒険者ギルドをでる将人。しばらく走って気を落ち着け考える。
(俺みたいな奴に合う武器や防具って何がある? 武器の扱いは慣れていないけど『形意拳』は槍の術理をもとに考案されたものだから槍を使うべきか? でも『生兵法は大怪我の基』とも言うし。武器はとりあえず置いといて防具を充実させるか。でも防具は重そうだし動きを阻害するものはちょっと………)
「オーイ、オ兄チャ~ン!!」
後ろを振り区々とファテマとパウラが駆け寄ってきた。
「ファテマさん、どうしました?」
「これから武器屋に行くんでしょ。だったら私たちの行きつけの武器商店を教えておこうと思って」
「適当な店に入って変なものを売りつけられても困るし、よければ一緒に来て見繕ってもらってもいいですか?」
「もちろん、その為に追いかけてきてんだし。早速行こうか?」
「行こう、お兄ちゃん」
パウラが将人の隣に来たかと思ったら手を繋いできた。流石にこれは恥ずかしいと手を離そうとも思ったがパウラの嬉しそうな顔を見るとそれも出来ず一緒に歩く事になった。ファテマがにこやかな笑顔で一言「ゴメンね」と誤った。
将人たちが向かうのは『ベルナルド武器商店』、ラシェントの街では一、二を争う武器商店だった。『ベルナルド商店』は四棟連なっており、武器、防具、魔法のアイテム、薬品などが一棟別々に陳列され売られている。商店の入り口のドアをくぐるとそこには、タガー、短剣、長剣、細剣、大剣、槍、バルバード………ありとあらゆる武器が陳列されていた。武器専門の棟のようだった。将人は思わず目を輝かせる。武器を使わない者でも胸躍るものがあった。
「マサト君はどんな武器を使いたい? マサト君は『仙道』っていう魔法と似ている力を使うみたいだから魔法使いの装備で考えた方がいいのかな?」
将人は自分の特性を考えて話し始める。
「俺は『仙道』を使いますが同時に体術も使います。武器を使った戦いには慣れてないから武器よりも防具を揃えたいと思います。体の動きを阻害しない、それでいて防御力の高い防具ってありますか?」
「それってかなり難しい注文だよ。防御力が高いって事は固い鉄を使ってるって事だし、鉄はどうしても重くなるから、体の動きが鈍ってしまうし………考えていてもしょうがない。とりあえず、防具棟に言って色々見てみようか?」
武器棟の奥の通路を通り隣の棟に入る。防具棟にも様々な防具が陳列されていてた。将人は陳列されている防具を見ながら自分に合うものは何ぞやと考える。
「マサト君、試着はしてもいいことになってるし色々試したみよう」
軽くて防御力の高い鎧という事で色々試してみるがこれというものが見当たらない。最終的にはクロースアーマー(布製鎧)を買う事に決めた。布地は丈夫なものでモンスターの体毛を入れてキルティング加工されており、剣などの軽い衝撃には耐えられるものだった。重さはほとんど感じられず、体の動きは鈍ることはない、ある程度の防御力もある、自分には最適の一品とも言えた。
「マサト君、ホントにそれでいいのかい。それってここで売ってる鎧の中で一番防御力が低いやつだよ」
「自分にはこれがあってます。いいものがあって本当によかった。あ、おんなじ素材の脛当てもある。これも買っておこう」
サイズを確認して合うものを選び、会計カウンターへもっていこうとした時パウラが立ちふさがる。
「ちょっと待った、お兄ちゃん。手を守る防具は買わないの?」
「皮手袋があるけど………」
「それじゃあダメだよ。モンスターの中には体毛を固くして棘みたいにしてくる奴がいるんだから。皮手袋じゃ貫通しちゃうから、せめてこういうものを使った方がいいよ」
パウラが差し出したのはガントレットだった。毛の甲から手首は金属に覆われており、指先は皮手袋状になっていて指を動かすのに不自由はなかった。
「分かった、これも買うよ。アリガトウ、パウラちゃん」
自慢げに胸を張るパウラ。恥ずかし気に目を逸らす将人。
(胸を張ると飽満な胸が強調されるから、ヤメテ!!)
満足のいく買い物が出来てホクホク顔の将人。横に並んで歩くファテマとパウラ。
「さて、これでマサト君の準備も出来たし後は明日を待つだけだね」
「えっと………ラクレール村には二人も同行してくれるんですよね?」
「そうだよ、私もパウラもマサト君には恩があるからね。同行することで返すよ」
隣で頷くパウラ。
「あと二人、マサリアとエミリアさんも連れて行っていいですか? 特にマサリアの能力は調査とかに向いてると思いますので是非連れて行きたいんです。エミリアさんはマサリアが行くとなれば必ずついて来ると思いますから」
「分かった、ハイドおじさんには話しておくよ。マサト君も二人に話しておいてね」
「分かりました」
翌日、将人を筆頭に、ファテマ、パウラ、マサリア、エミリア、アベルドの6名でラクレール村調査の為、ラシェントの街を出発した。




