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幼なじみ?

ところ変わって、舞台は現代。



「――ちゃん」

「……」

「――ちゃんってば」

「……んん」

「ちゃん、ねえってば」

「んにゃ、もうちょっと」

「宇宙(そら)ちゃん、起きてってば」

布団をめくられる。

「……何だよ。気持ちよく寝てるのに」

貴重な睡眠時間を妨害されれば、いくら温厚篤実な俺でも黙っちゃいられない。

「早く家出ないと、学校遅刻しちゃうよ」

よく見知った顔が困り顔で訴えてくる。

「学校?」

手を伸ばせばつかめる位置にある、目覚まし時計を引き寄せる。

時刻は八時過ぎ。

平日なら学校。休日ならまだ寝てる時間だ。

「ところで今日は何曜日だ?」

あどけなさの残る、おさげ髪の制服姿の少女に質問をする。

「土曜だよ」

「そうか。土曜か。まだ寝てていいな。おやすみ~」

剥ぎ取られた布団を取り返しかぶり直す。

ゆとり世代の土曜は休日だ。

「二度寝しちゃダメだよ」

寝てる俺の体をゆすってくる。

「だって、今日は土曜日だろ。休みじゃねえか。寝かせてくれよ」

「休みじゃないよ。平日」

「はっ? さっき土曜だって言っていたじゃねえか」

「土曜は土曜でも、土用の丑の日」

ヒューン

どこからともなく北風が吹いてくる。

ブルッ

悪感で体が震える。

昼夜の気温差があるし、体調管理は気を付けよう。

「えっと、結局何月何日の何曜日なんだ?」

「4月24日の木曜日だよ」

今年の春の土用の丑の日だ。

目覚まし時計を再度見る。8時7分。しょうもない掛け合いで先ほどより5分消化してしまった。

眠気が一気に吹っ飛ぶ。

「……って、学校遅れる!」

勢いよくベッドから起き上がる。

「わっ」

起き上がった際に跳ね除けた布団が、無類の熊好きの女子高生に被さる。

「早く起こせよ!」

「さっきから起こしてるよ。宇宙ちゃんなかなか起きなくて――」

……ったく、こんなくだらん親父ギャグをかますメインヒロインにはうなぎで精をつけて、今晩調教でもしてやらないといけないな……

って、18禁小説じゃないので自主規制で止めておこう。

とりあえず、この場はチョップでもいれておこう。

「いたっ」

被さった布団を払いのけた瞬間に一発かましておく。

「急いで着替えるから、先に外に出ていてくれ」

「わかったよ」

家事全般が得意な同級生が、涙目で額を押さえながら部屋を後にする。

おっと、いいかげん早く家出ないとやばいな。

超高速で身支度に取り掛かる。


「遅いよ、宇宙ちゃん」

自分はここにいるよとアピールするように、のんきに手を振っている。

「ハァハァ」

早くも息を切らしている。

階段を2段飛ばしで危うく転げ落ちそうになりながらも一階に降り、そのまま家の外まで駆け出してきた。

「さすがに歩いてでは遅刻する。ちょっと走るぞ」

「は~い」

運動神経皆無に等しいのに大丈夫かよ。こいつ……ったく。


そう、このように寝坊しがちな主人公を幼なじみみが毎朝起こしに来て、そのまま一緒に登校するのが習慣……な訳がない。



――現実。



「なんで起こしてくれなかったんだよ」

ドタバタ

急いで階段を駆け降りる。

「何度もノックしたわよ」

「聞こえねえよ」

「朝ご飯は?」

「いい。そんな時間ない」

急ぎ足でキッチンに向かう。

冷蔵庫の中からおにぎり一個分のカロリーが手軽にとれそうなものを取り出す。そのままキャップを外し加える。

「いってらっしゃい」

母親からの朝の挨拶を無視し、大急ぎで家を後にする。


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