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双魂英雄譚  作者: 遅刻
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1ページ 「俺は・ぼくはヴァル・トン・ケイレツ」


「あう、あう」

あれ?言葉が出ない。

なんだこの感覚。まるで俺の体がいうことを効かないような

「あう?あーー。

んぎゃぁーーー!!

んぎゃーー!

んぎゃああーーーーー!!。

んぎゃぁぁぁぁ!。

あぅぅううううう。。。

あうーーー。」

そして俺は理解した。

俺は他の人の体に憑依した。

いや転生したのではないかと。

ーーーーーーーー

2年後


(ぼくのおなまえはヴァル!。)

俺は元 島袋 翔。俺の体?には不可解なことが今起きている。


俺そしてこの体の主 最初に挨拶したヴァル・トン・ケイレツ。

全くもって不思議だ。体は一つなはずなのに、脳みそが二つある感覚だ。

それもなんか違う。

説明するなら、一つの体、一つの魂に二つの魂が混在している感じだ。

俺はあの土砂崩れで死んだと思っていたのに、今何故かこの2歳児の体に意識がある。


最初俺はヴァルという他人の魂に居候しているそんな雰囲気を感じていた。

お互いに別々の魂という認識だったが、時間が経つにつれ一つに混ざり合うようになった。

まるで水の中に塩が溶けいていくように。

完全に同一になったわけではない。

今は混ざり合いながらも人格を保ち、

彼も人格形成中と言った所だがちゃんと別人格のように存在していいる。

ただあと数年以内には混ざり合ってしまうのだろうと肌感覚で感じている。

肌とか魂にないんだけどね。

二重人格の人はこーいう感じなんだろうか?それともなんか違うよう。。な


(ねぇねぇ!)

「おい待て、今俺が心を整理したいんだ。

この状況を一旦俯瞰して考えることによって、得られる新たな情報があるんだよ。」

(ねぇねぇ。なんであめってつめたいの?)

「それはな雨水が冷たいんだ。」

(なんでつめたい?)

「めんどくせー。。まぁ今は難しいと思うから、冷たいものと覚えといて」

(あい!じゃSNSってなにー!)

「こいつ自由すぎるて」


見ての通り、こいつは俺の記憶を共有している。この異世界で知るはずもないSNSや、まだ触れたこともない雨の冷たさの感じも記憶として共有されているのだ。


ヴァルの記憶も俺には流れ込んでくる。

初めて母親に抱かれた安心感。

初めて父親の大きな手を握った感覚。

それは俺の記憶ではない。

でも。

確かに俺が感じたものだった。


俺らの父親。

ヴァン・トン・ケイレツ。

ノラ王国の市民騎士。

市民騎士とは王国の治安維持を担う騎士で、

平民から選出される市民騎士は、平民の多くの推薦投票によって行われる。

現代の感覚なら市議会議員のような立ち位置に近い。

一生懸命で、人当たりが良い。

大雑把なところがあるが、決断力があるとも言えるだろう。

昔はヤンチャだったらしいが、今はとても真っ当になったと言えるだろう。


そして母親。

アル・トン・ケイレツ。


優しく、母性の強い女性。

マナーなど細かい所にうるさいのは母親らしいが、ちゃんと息子目線で物事を考えてくれる。

正直、思春期真っ只中の俺が接することができるか不安だったが、そんなものは感じないほど、俺はヴァルの体に染まってきているらしい。

彼女は元々魔法師だったらしく、魔力の扱いにも長けており、幼い俺らに絵本を読み聞かせながら魔法の基礎を教えてくれる。


この世界には魔法が存在する。

火を灯す魔法。

水を操る魔法。

身体能力を高める魔法。

そして剣技。

人間は生まれ持った才能を努力によって、自分だけの力へと伸ばしていく。

魔物もいる。

魔族もいる。

国同士の争いもある。

俺が前世で生きた世界とは、全く違う世界。


でも。

どれだけ世界が変わっても。

俺の中にある後悔だけは消えなかった。

マリの声。

最後に聞いた言葉。

「幸せにするって……口だけだったんだね。」

あの日の後悔。

17年間生きた俺が、最後に抱えていたもの。

だから決めた。


今度こそ。

絶対に間違えない。

「ヴァル。」

(なに?)

「お前には俺と同じ想いはさせないよ。」

「そのために俺たちは強くなるぞ。精神的にも、体も」

(つよく?)

「そうだ」

剣を握って最強になるためじゃない。

魔法を極めて無双するためじゃない。

名誉や金のためでもない。

「大切な人を守るんだ」

「幸せにするんだ。」

今度の人生では。

絶対に。

悲しませない。そしてこんな思いもヴァルにはさせない。

(ぼくも!)

ヴァルが笑う。

(ぼく、ママとパパをまもる!)

その言葉を聞いて、少し笑った。

そうだ。

この人生は俺だけのものじゃない。

これは。

ヴァル・トン・ケイレツという、俺達二人の人生なんだから。


そんな壮大なことを考えつつ、

お漏らしした布団を母と一緒に洗っている

惨めなヴァル・トン・ケイレツであった。

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