番外編 11: 極めて苦いキャンディー
午後のラウンジ。
特に事件もなく、静かな時間。
のはずだった。
「面白いもの見つけた」
マイケルがそう言って、テーブルに何かを置く。
小さな箱。
開けると
カラフルなキャンディー。
「普通ね」
ロゼリアが一瞥する。
「見た目はな」
マイケルがにやっと笑う。
(怪しい)
ノアが眉をひそめる。
「何だそれ」
「食べてみれば分かる」
(はい出た)
セリアが静かに観察する。
「外見からは特に異常は..」
「ないよ」
マイケルが被せる。
「ただのキャンディーだ」
(ただの、ね)
ロゼリアは一つ手に取る。
光沢。
香りも普通。
(……罠っぽい)
「毒ではありません」
フラムが淡々と言う。
「分析済みです」
「じゃあ問題ない」
ロゼリアが軽く言う。
「味の保証は?」
「対象外です」
(でしょうね)
沈黙。
誰も動かない。
「……お前からいけ」
ノアが言う。
「なんで私」
「一番疑ってるからだ」
「合理的じゃない」
でも。
少しだけ考えて。
「まあいい」
口に入れる。
転がす。
一瞬。
静か。
(……普通?)
次の瞬間。
来る。
(なにこれ)
苦い。
異常に。
舌が拒否するレベル。
でも。
顔は動かさない。
完全に止める。
「……どうだ」
ノアが聞く。
ロゼリアは数秒黙る。
そして。
「普通」
(嘘)
マイケルが吹き出しそうになる。
「ほんとか?」
「ええ」
完璧な無表情。
でも。
ほんのわずかに、目が細い。
(耐えてる)
ノアが一つ取る。
「じゃあ俺も」
口に入れる。
噛む。
沈黙。
数秒。
「……」
固まる。
そして。
「苦っ」
即吐き出す。
「なんだこれ!」
ロゼリアが静かに言う。
「普通よ」
「どこがだ!」
マイケルが笑い出す。
「ははっ、やっぱそうなるか」
セリアが一つ手に取る。
「確認します」
止める間もなく、口へ。
一瞬。
止まる。
呼吸が、わずかに乱れる。
「……」
でも。
飲み込む。
(強い)
「どう?」
ロゼリアが聞く。
セリアは姿勢を崩さない。
「……独特な風味です」
(それ苦いって言え)
マイケルが腹を抱える。
「無理するなって」
フラムも一つ取る。
「分析を継続します」
口に入れる。
無表情。
沈黙。
数秒後。
「……これは」
全員が見る。
フラムは淡々と続ける。
「食べ物として不適切です」
(正論)
ノアが頷く。
「完全に同意だ」
ロゼリアはまだ平然としている。
「大げさね」
「お前も苦いだろ絶対」
「そうでもない」
(嘘)
マイケルがにやっとする。
「もう一個いくか?」
「やめなさい」
即答。
(バレた)
沈黙のあと。
ロゼリアはキャンディーを見る。
少し考える。
「……これ」
ぽつりと呟く。
「罰に使えるわね」
全員が固まる。
ノアが即言う。
「やめろ」
セリアも静かに頷く。
「推奨しません」
フラムも続く。
「非効率です」
マイケルだけが笑っている。
「いや、アリだろ」
ロゼリアは小さく笑う。
「でしょ」
全員の心が一致する。
(やめて)
テーブルの上。
カラフルで、無害そうなキャンディー。
でも。
誰も、もう手を伸ばさなかった。
地理、日本語、英語、その他いくつかの科目の試験結果はまだ出ていません…。この春期の最高の恋愛アニメは『オタギャル』と『クラにか』どちらを選ぶか難しいですが、どちらもとても良いです!




