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#17:可能な限り処刑を回避する(1)

戦闘が終わったあとも、空気はまったく緩まなかった。


倒れた“それ”は動かない。


でも、誰も完全に安心していない。


「……片付けは任せる」


ノアが短く言う。


剣を収める動作も、どこか硬い。


「原因が不明な以上、警戒は解かない方がいい」


「同意します」


セリアがすぐに頷く。


視線はまだ周囲を巡っている。


マイケルは、少し離れた位置でしゃがみ込み、残骸を眺めていた。


「面白いな」


軽い調子。


でも、その指先は真剣だ。


「これは“自然発生”じゃない」


(やっぱり)


心の中で呟く。


誰もはっきりとは言わないけど、全員同じ結論に近づいている。


これは普通じゃない。


「ロゼリア様」


セリアの声で、意識が戻る。


「お怪我は」


「ない」


即答する。


少しだけ間を置いてから。


「……たぶん」


「確認します」


逃げる暇もなく、軽く腕を取られる。


(過保護……)


でも、さっきのを見たあとじゃ強く言えない。


「異常なしです」


セリアはそう言って手を離す。


そのまま、少しだけ距離を詰めた位置に戻る。


(完全に護衛ポジションじゃん)


小さく息を吐く。


落ち着いたようで、全然落ち着いてない。


頭の中が、うるさい。


(これ……普通にまずいよね)


ゆっくりと目を閉じる。


さっきの光景が、そのまま浮かぶ。


歪んだ体。


視線。


明確な“狙い”。


(なんで私なのよ)


答えは出ない。


でも。


ひとつだけ、はっきりしてる。


(ゲームと違う)


目を開ける。


現実は、もう完全に別物だ。


「……」


誰にも聞こえないように、小さく息を吐く。


頭の中で、整理を始める。


元のゲーム。


自分が知っている流れ。


悪役令嬢、ロゼリア。


婚約者に捨てられて。


孤立して。


最後は――


(処刑)


嫌な単語が浮かぶ。


あのエンディング。


何度も見た。


バッドエンドの代表みたいなやつ。


(普通に死ぬルートあるじゃん、これ)


しかも今。


イベントがズレている。


いや。


ズレてるどころじゃない。


(こんなモンスター出てこなかった)


完全に想定外。


攻略情報も意味がない。


「どうした」


ノアの声。


気づけば、少し考え込みすぎていたらしい。


「いや、別に」


軽く流す。


説明できるわけがない。


「考え事か」


「まあね」


適当に返す。


でも、視線は逸らさない。


(考えないと終わるし)


マイケルが立ち上がる。


「一つだけ確かなのは」


全員がそっちを見る。


「君が中心にいる、ってことだな」


(やっぱそれ言う?)


「否定はできません」


セリアが静かに続ける。


「複数の現象が、ロゼリア様を基点に発生しています」


ノアも腕を組む。


「……偶然では片付かないな」


(だよね)


分かってる。


嫌になるくらい。


(目立ちすぎてる)


悪役令嬢としても。


イレギュラーとしても。


完全に。


“中心”にいる。


「……はあ」


小さく息を吐く。


逃げたい。


正直に言えば。


でも。


(逃げても意味ない)


むしろ悪化する。


たぶん。


(だったら)


視線を少しだけ上げる。


現実を見るみたいに。


(ちゃんと整理しよ)


感情はあと。


まずは状況。


元のルート。


今のズレ。


危険な要素。


一つずつ。


潰していくしかない。


(これ、もう攻略じゃないな)


ゲームじゃない。


もっと面倒で。


もっと現実的な何か。


(……ほんと、最悪)


でも。


やるしかない。


(……で、どうするの)


整理はできた。


状況も、だいたい把握した。


でも。


一番大事なのはここからだ。


(処刑ルート、どうやって潰すか)


頭の中で、いくつかの選択肢を並べる。


まず。


(逃げる)


すぐに却下。


分かりやすすぎる。


それに、この世界の仕組みもまだ把握しきれてない状態で外に出るのは危険すぎる。


捕まったら、それこそ終わり。


次。


(完璧な悪役を演じる)


これも却下。


原作通りに動くなら、結末は同じになる可能性が高い。


わざわざ処刑に近づく意味がない。


(じゃあ……)


一番現実的なのは。


(評価を変える)


小さく息を吐く。


簡単じゃないのは分かってる。


でも。


やる価値はある。


「……」


ちらりと周りを見る。


ノア。


セリア。


マイケル。


さっきまで一緒に戦っていた面子。


(この辺、もう“敵”じゃないよね)


少なくとも。


今は。


完全な孤立状態ではない。


それだけでも、元のルートよりはマシ。


(だったら)


利用する。


関係も、状況も。


全部。


ただし。


(いい子になる気はない)


それは違う。


性格を変えるつもりはないし、媚びるつもりもない。


あくまで。


(悪役のまま、生き残る)


それが一番、自分らしい。


「……ロゼリア様?」


セリアの声。


気づけば、少し黙りすぎていたらしい。


「なんでもない」


軽く返す。


でも、今度はちゃんと前を見る。


もう迷いはない。


「少し、やることができただけ」


「やること?」


ノアが眉をひそめる。


マイケルは、面白そうに笑っている。


(説明する気はないけど)


心の中で呟く。


まだ言う段階じゃない。


「気にしなくていい」


それだけ言う。


一歩、歩き出す。


さっきまでとは違う足取り。


少しだけ、はっきりした方向。


(処刑なんて、絶対にごめん)


胸の奥で、静かに決める。


(シナリオが壊れてるなら)


目を細める。


(こっちで書き換えるだけでしょ)


ほんの少しだけ。


口元が上がった。


私は昨日と今日、学校を欠席しました。

明日行かなければならない。(。ŏ﹏ŏ)

友人の(偽名:橘みなみ) に今日の課題を送ってもらったのですが、彼女の字は本当に綺麗です!

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