EP 13 龍装槍兵、空を駆ける。
一瞬の出来事だった。目の前から槍兵が消え、俺は逆袈裟の斬撃を食らっていた。
「もう戦いは始まっているぞ?」
鎧龍は槍を片手に素早く壁や宙を駆け、俺の認識の裏をついて攻撃してくる。
「……ならその裏を取ればいいだけだ!」
認識の裏をついた攻撃、ほとんど野生の勘のようなものでそれを感じ取り、カウンターを合わせる。
ブォン
繰り出した拳は鎧龍の顔を捉えることは叶わない。
「もう合わせてくるか……。センスはピカイチ、だがそれだけだ!」
地面を蹴り、再び宙を駆ける。さっきよりも速く疾く。
(さらに速度が上がった!?でも速さにはもう慣れた、あとは合わせるだけ)
『吸気変換…!』
装甲の性能を底上げし、敵の速さに対応する。
「ここか!?」
背中へと繰り出された突きを掴み、そのまま接近戦にもつれ込む。
「俺がただ速いだけだと思ったか?」
至近距離での長物はその長所が潰れる、だが彼は違った。
シュドドドドド!
顔、両肩、胸、腹、腰、両脚の全てを槍による突きの連撃が襲う。
「ぐおお!?」
「無駄に硬いな…。普通ならここで大半が終わるが」
(止まんねえ……!!だがそれだけ、一撃一撃は軽い。ここは無理にでも前に進む!)
その瞬間背中にいやな悪寒が走る。彼ではない、彼の手にある槍からだ。
鎧龍が大きく飛び退き、槍を構える。
「あまり"これ"は使いたくないんだが……」
槍を逆手に持ち変え、力を溜める。槍にエネルギーが集まり、黄金色に光る。
「ふん!!」
槍を全力で投擲、真っ直ぐ力強く、周囲を抉りながら突き進む。
「間一髪!」
投擲された槍は肩装甲を少し掠め、当たることはなかった。
「必殺技っぽかったが、真正面からじゃあたんねぇぜ!」
しかし、投げた本人は焦り一つ見せない。その様子にグリスが何か気づきかける、だが……。
「ああ……、"まだ"発動してないからな」
投擲された槍はまだその光を失うことなく飛んでいる。
「目覚めろ……"応龍"」
槍は軌道を変え、空を泳ぐ龍のように舞いながら光を纏い敵へと向かう。
それは槍ではなく、文字通り「龍」。槍は龍へと姿を変え、咆哮を上げながら敵を吹き飛ばすべく突き進む。
これまでの攻撃とは一線を画す攻撃にグリスは防御の構えを取り備える。
ドゴォン!
龍へと姿を変えた槍はグリスを空高く打ち上げ、そして地面に撃ちつけた。
戦場は学校の中庭から郊外の河川敷へと変わる。龍の一撃により生じたクレーターの中心には煙を上げながら大の字に倒れるデンタリウス。
「……カブトムシのくせにゴキブリみてぇだ」
「そりゃ……どうも。俺の長所はしぶといところなんでね」
ふらつきながら、あれほどの攻撃を受けてなお立ち上がる。
「……お前は何故アーマーファイターになった?別にこの街はアーマーファイトだけが全てではない。何故わざわざ戦うんだ?ぶちのめしたい相手でもいるのか?」
冷たい疑問を投げかけられる。
「……俺の戦う理由……」




