EP14 龍VS甲虫、決着は河川敷にて
「……俺の戦う理由か……」
ゆっくりと、しかし隙はなく歩く。あれほどの攻撃を受け、装甲のあちこちはボロボロだが、彼の心は折れてない。
「俺の友達が好きなこの街を守るため、かな。そっちは?」
「ぶちのめしたいやつがいる。それだけだ」
「そうか。まぁ理由は人それぞれだけど、集団で学校を占拠しちゃいかんな!」
戦闘再開、勢いよく拳を振り上げるが空を切る。
「だが今日戦う理由は焼肉のためだ!」
足元の川の水を思いっきり叩きつけて水飛沫で目眩し。
間髪入れずに放った拳はモロに捉えたはずだったが、軽い手応えだけ。
「わざわざこっちの土俵で戦ってくれんのか?」
「ハッ、槍を手放してさらに速くなったんだよ」
両者それぞれ拳を前に構え、殴りかかる。
力の拳と速さの拳、その激突はしばらく続いた。
〜1時間後〜
「ハァ…ハァ…なかなかやるな」
「ハァ………ハァ…そっちこそな」
日が落ちる手前、夕焼け空の下の河川敷で俺と鎧龍は大の字なって倒れている。
「………俺の負けでいい、手下達も学校から退散させる。それでいいか?」
「……ああ、それがいい………」
「「グウウゥゥゥゥゥゥゥ」」
ほぼ同時に互いの腹から鳴り響く。気が緩んだのかお互いに吹き出して笑う。
〜その日の夜〜
戦いは終わり、約束は果たした。そして約束の報酬「焼肉の奢り」が果たされようとしている。
「あのねグリス、確かに私は言ったよ『ご飯を奢る』って。それに関しては別にいいの。」
ユナの目線はテーブル席向かいのもう1人に向けられる。
「"グリス"だったか?やはり戦い終わりは焼肉に限るな!!」
「"ジューゾー"!話のわかる奴だぜ!」
「せめてもう1人誘うなら言ってくれてもよかったんじゃないかな!?」
男2人の焼肉は彼女の財布に致命的な一撃を叩き込んだ。帰り道で意気投合する男2人の後ろには小遣いの9割が飛び涙目の少女がトボトボと歩くのだった。
「バイト代二ヶ月分がこんなあっさり……」
†
†
「そっちはどうだ?こっちはもう完成だ」
「ちょいまて、あとタイヤ一本つけるだけだ………にしても重っもいなこのタイヤ」
「特注の防弾タイヤらしい。改めて見ても凄え装甲車だなこれ………」
とある閉鎖された工場であやしい男たちが作っている装甲車、工場の半分をしめるその巨大さに製作している者たちも圧倒される。
「どうやらこれ一台だけじゃなく、他の工場でも似たような装甲車作ってるみたいだぜ。どんな目的か知らされてないけどな」
「アンカーズの下っ端の下な俺たちに知らされるわけねぇだろ。俺たちは黙々と作ってりゃそれで充分、そのうち"楽しい"ニュースが見られそうだな」
「そいつは楽しみだな。よし!気張ってくぞてめぇら!」
「「うおぉー!」」
工場内が活気に満ちていく。決戦は近い。




