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★デビルの真実★

―助ける。

自分の口からそんな言葉が出る。

なぜ?

デビルも驚いた顔をしている。その顔はゆかだが。

「・・私を・・助ける?ルナ、あなたはだいぶ変わった勇者のようね。今助けたいのはゆかさんではないのかしら?」

そういいながら、デビルは魔力を滝のような勢いで使っている。

渦をまく黒い風を巻き起こし、赤い稲妻がさえを襲う。

「くっ!ルナ、私なら大丈夫。必ず、心の魔法を完成させて!」

「さえ・・。やめてデビル!レインボー魔法!!」

ルナは何度もレインボー魔法と叫ぶ。

「あら、ルナ。レインボー魔法を早く見せなさい!あなたが成功しなければ私はあなたの力を手に入れることはできないわっ!」

今度はルナをその恐ろしい悪魔法で吹き飛ばす。

ルナは自分の事なんて構っていられない。

どんなに自分の体がボロボロになろうと、他人は助ける。

それがルナだ。

皆を助けたい。その一心だ。

ただ、その思いが自分を壊している。

「レインボー魔法!レインボー魔法!レインボー魔法っ!」

ゆかの体が崩れていくのを想像してしまう。

ルナは涙を流しながら叫ぶ。このままでは今攻撃を受けているさえも、ひどいダメージを受ける。

「ルナ!おちついて!そんなに慌ててたらできるものもできないよっ!」

みどりはルナに何度も呼びかける。

もうルナには何も聞こえていない。

自分が何とかしなければ。

自分が二人を助けなければ。

自分がレインボー魔法を成功させなければ。一刻も早く。

「なんで、なんで、成功しないのっー!レインボー魔法!!」

『ル・・、落ち・・・なさい。』

「・・・!」

いつものように聞こえる声。すごく苦しそうだが、確かにそれはデビルの声だった。デビルは、目の前にいる。ゆかの体で満面の怪しい笑みを浮かべながら、さえと戦っている。

「どうして・・・?デビル・・?」

「デビル・・?ルナ、デビルの声が頭の中に聞こえるの?」

みどりには聞こえていない。デビルの声が。

直接ルナの頭に届けているのだろうか。

「デビル、あなたは今、戦っているはず。さえを、ゆかを痛めつけている。そのはず。」

「ええ・・うっ・・悪魔、が、私そのものを・・悪魔に・・私を・・とめ・・て・・思い・・・だした、のよ。助ける。そのことば・・・で―」

そこから頭から入る声は消えてしまった。

(もう一人のデビル・・いや、あのデビルが、本当のデビル?)

今まで戦っていたデビルは、一体・・?

わからない。デビルの本当の姿はわからない。

でも、デビルは確かに。落ち着きなさい。と言った。

感情があらぶったままでは、魔法なんて完成しない。

(いつだって冷静でいないと・・。冷静を失うところだった。)

ルナは深呼吸をする。

ゆかのためにも、この世界のためにも、そして、デビルのためにも。

自分の心を大切にするんだ。

他人を助けるためには、自分が強い気持ちを持っていなければならない。

(心を静めて。自分の心の声を聴いて。心を信じて。心からの魔法を。)

【静まり返る心よ!心の声よ!信じる心よ!私の心からの魔法、ハートフル魔法!】

辺りがあたたかなオレンジ色の空気に満たされる。

デビルの放っていた魔法がその空気に触れるとゆっくりときえていく。

「デビル。あなたは、本当のあなたじゃない・・。そうなの?」

「うっ・・・。」

デビルは、何も言わないままその場に倒れてしまった。

次第に、ゆかの髪の色は元の黒髪に戻っていく。

「今はゆかもデビルも、ダメージを受けているみたいね。きっと今の魔法で悪魔力が無効化されたのよ。三人とも、ゆかをテントの中で寝かせてあげて。」

みみたちは、心配そうにしながらも、ゆかをテントの中に運ぶことにした。

「ゆかならきっと大丈夫だよ!早く良くなってね。」

「ゆかの気もち、想像してたよ。つらかったね。」

「早く目を覚ましてね。今はリラックスして。」

みみ、なな、ささは順番にゆかに語りかけるようにしてゆかの顔をまじまじと見つめている。

ルナは、デビルの言葉をもう一度思い出してみた。

―悪魔、が、私そのものを・・悪魔に・・

(一体・・・どういうこと)

あの時は時間がなく聞くことができなかった。

デビルはもともと悪魔ではなかったとでも言いたいのだろうか?

でも、なぜ今になってそのことを思い出したのだろうか。

レインボー魔法が必要だという理由は・・・?

『・・・どうやら、伝説の魔法は二つあったみたいね。』

「デビル!?」

その場にいた全員が空を見上げ、驚いた顔をしている。

「デビルの・・・声?聞こえるわ。」

さえの言葉に、みみもうなずく。

「うん。ななも、ささも聞こえるよね。」

「うん・・。」

「でも、どうして?」

今はそんなこと考えている暇はない。ルナには、デビルに聞きたいことが山ほどある。

「デビル、あなたは本当はどうして、レインボー魔法を必要としているの?」

『もう、レインボー魔法は必要ないわ。やっと、解放されたのだから。』

(解放・・・?)

何に解放されたというのか。

ルナがそのことを聞こうとしたとき、デビルから聞いたこともない言葉がでてくる。

『今までの事、謝るわ。』

さえも、みどりも、みみもななもささも、もちろんルナも、皆が耳を疑った。

『私はもう悪魔でなくなった。ただの魂。今から、すべてを話すわ。思い出したことのすべてを。』

ルナたちは、静かに聞いていた。

ゆかにも、デビルの声が届いている。彼女は夢の中から聞いてる。


『私は、もともと普通の人間だったわ。

呪文魔力を持つ、魔法学校の人間だったわ。

白神桜、16歳。高校一年生。

悪魔による、交通事故がなければ・・・幸せな毎日を暮らしていたはず。

ある日、いつものように自転車で学校へ向かっていた時の事。

青信号を渡ったその時、止まっていた車がいきなり動き出したの。

私は逃げることもできず、そのまま車にひかれてしまった。

交通事故で、死んでしまったのよ。

その私の魂をこの世にとどまらせた悪魔、その悪魔こそ、今の催眠術学校の校長。悪魔王よ。

悪魔王はすでに強大な力を手に入れていた。

ルナに私が取りつく1年前から、悪魔王は封印から放たれていたわ。

ちょうどそのころかしら。私が悪魔王とあったのは。

私はこの人の悪魔法によって、車を故障させ、交通事故にあった。

その上死んだ人間の魂を見ることができる悪魔王は、すぐに私を悪魔法で封じ込めたわ。

それから、私を悪魔として育てた。強大な悪魔力を私に取り入れた。悪魔が私を悪魔にしてしまった。本当の私は、封じ込められたまま、ずっと自分は悪魔だと思って育ってきた。

でも、ルナの、助ける。その言葉で本来の私が、芽生え始めたのよ。

その時私は、二人に分離してしまったわ。

悪魔である自分と、人間である自分に。

ようやく、人間である私の、レインボー魔法を必要とする理由が分かったわ。

私は、悪魔から解放されたかったのよ。

自分が悪魔になることで、沢山の人が傷を負っていく。

抜け出したかったの。闇から。』


「・・・。」

ルナは声を出すことすら忘れてしまうくらい、驚いていた。

もともとは人間だった。ちゃんとした名前もあった。

その名前を聞いて、さえは少し考え込む。

「しらかみ、さくら。どこかで・・・・そうだわっ!中学生の時、魔力技能コンテストで圧倒的な差で優勝した、とんでもない魔力の持ち主よ。」

『悪魔王が、なぜ私を選んだのか、まだ言っていなかったわね。私はあの予言書に、名前が記されていた人間なのよ。今は、ルナだけれど。』

黄金に輝くあの本に記されていたルナの名前が、もとはデビルの名前だったというのか。

だから、デビル・・桜を殺すことで、悪魔王は有利になったということか。さらに、桜を、デビルに変えて利用する。

悪魔王は自分に敵対する伝説の魔法の持ち主を、味方に変えてしまったのだ。

「そんな、悪魔が・・・・今、世界を支配しようとしている。悪魔の世界にしようとしている・・。」

ルナは呟く。そんな悪魔と、戦うのか。

『本当の名前は桜だけど。これからもデビルと呼んでもらって構わないわ。』

「これから・・も?」

『私は、悪魔に操られていたとはいえ、あなたたちにひどいことをしていたわ。もし人間に戻ることができても、その資格は私にはないわ。』

ルナは、今までデビルのやってきたことを。すべて許せと言われても、きっと許せない部分があるのだと思った。

時には、死へと導く悪魔法だって使ったのだから。

それは、さえも、ゆかも、皆も同じだ。

「でも・・・。」

ルナはすぐにみんなと打ち解けた。

デビルだって打ち解けられるはず。

デビルの魔法なら、きっと人間に戻ることだってできる。

『ルナ、伝説の魔法はあなたが成功させてみせるのよ。魔力が私よりも弱いあなただからこそ、心の広さがある。私は、あなたに協力させてもらうわ。』

次の瞬間、空が真っ白に光り出した。

見ていられないほどの、デビルの放つ光が。

『絵の具を想像しなさい。白は黒よりも弱い。けれど、白は黒の力を弱めることができる。灰色でも、私は少しでも悪魔王の力を弱めることができるはず。私の魂は、ルナ、あなたに預けるわ。必ず悪魔王に勝ちなさい。そして、これから、最後までよろしくおねがいするわ。』

上から目線なところもデビルらしい。

でも、今までのデビルとは違う光があった。

その光が形となってルナの目の前へ舞い降りていく。

「これは、白、ホワイトクリスタル・・。」

「さすがね。自分の魔法で自分をクリスタルに変えられるなんて・・。」

さえもその輝きに、デビルの魔力の高さに驚いている。

透き通るようなその白色のクリスタルからデビルの声がする。

『悪魔王の力は今や最大となっているはず。ルナ、気を付けて。私の託された二つ目の伝説の魔法を、レインボー魔法を、必ず完成させて。ハートフル魔法、その力もまだ、まだ大きなものになるはず。』

ルナはホワイトクリスタルを大事に手に取ると、決意をした。

―必ず、悪魔王を倒してみせる。

やっとデビルとの長い戦いがおわった!

次は悪魔王です!きっとルナは強くなって見せます!

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