★魔法って・・?★
ゆか、いやデビルは、ルナに一歩ずつ歩み寄る。
「どうしたのかしら?ルナ。」
(よりによって、ゆかだなんて・・。)
たしかにゆかの魔法の力はルナの何倍にもあたる。
運動神経もよく、体も動かしやすい。
デビルは自分に一番合う体を見つけたのだ。
いつからなんて、そんなことルナにはどうでもよかった。
ただ、ゆかに助けられてばかりで、何も気づくことができなかった自分が憎らしくてならない。
そんな思いと同様に、不敵に笑うデビルをみて、ルナは怒りを覚える。
「ゆかの体を返して!」
「フフ、だったらあなたの伝説の魔法を見せなさい。」
(それって、もしかして私の体を・・・・?)
するとデビルがなにやら呪文を唱え、光る何かを取り出した。
真夜中だから、余計にまぶしい。
「ゆかさんがこの本の存在を知った時から、あなたとゆかさんは会っていた。」
デビルの手元にあったのは、図書館にあったというゆかの返したはずの本だった。
「私はルナの体を使い、図書館に来ていたわ。ルナ、覚えているかしら?」
ルナは何も答えない。
うる覚えに、図書館にいたゆかのことを思い出した。
自分の行動でないからか、なかなか思い出せない。
「まあいいわ。私はこの本をとろうとした。この本には伝説の魔法のことについてすべて記されているのよ。そのとき、ゆかさんが本を手に取った。すかさず本に催眠術魔法をかけたわ。伝説の魔法について、悪魔にとっては知られてはこまるでしょう?」
ゆかが眠くなり本が途中までしか読めなかった理由・・。
ルナはだんだんと思い出してきた。
本が返された後、本をとって悪魔法で本を封印した。
「そう。この本にはすべてかかれているわ。伝説の魔法を持つ者は、月野ルナ。そう記されていたわ。そしてその力を発揮する日が今日。これは予言書だったのよ。私はルナの体から出ることを考えた。悪魔力は伝説の魔法には必要のないあもの。私が取りついていては伝説の魔法は発揮することができない。あの図書館の出来事が、ゆかさんをこうすることになったのよ。」
ゆかに解除魔法をかけてもらったあの日もすべて、計算済みだったということだったのか。最初からデビルは10日間のキャンプのことも、ゆかに取りつくことも、カラフルクリスタルのことも、すべて知っていた。
あの日の公園での出来事も、すべて計画済み。
すべてわかったように思うが、ルナは疑問を抱いている。
「なら、悪魔を倒すのが目的の伝説の魔法の記された本を、どうして封印したままにしなかったの・・・?自分の力を高めるため?魔法の力を利用するため?」
少しの沈黙の後、デビルが口を開いた。
「おそらく、そうね。あなたが言ったことよ。」
(おそらく・・・?)
「あいにく私は自分がなぜその魔法を必要としているか、色々な理由をつけているけれど、本当の理由を自分でも思い出せないわ。ただ、確かなのは、その魔法が必要だということよ。」
「思い出せ・・・ない?」
思い出せない。それでも必要な魔法。それがレインボー魔法だというのか。
ルナは自分にそんな魔法ができるとは思ってもいない。
「さあ、たっぷりお話したところで、始まりよっ!」
珍しく大きな声をあげたデビルは、一気に悪魔法で砂嵐を巻き起こす。
「ルナ、気を付けて!デビルの悪魔力とゆかの魔力が共鳴しているわ!普段の二人の魔力の上を言ってるのよ。このままじゃ本当にゆかの体力と魔力を使い果たしてしまいそうだわ。」
さえは目を手で覆いながら、ルナに早口で言う。
さらにスター魔法で五芒星を描いてバリアを作りだす。
ゆかの体を傷つけることはできない。
ルナは何度も何度も、腕に力を入れて魔法を使おうとした。
だが、いくらやっても魔法らしい魔法はルナの体からでることはできない。
(どうして・・・っ!)
小3以来、魔法なんて自分の意志で使ったこともない。
そもそも、デビルにとりつかれる前でも、魔法なんて基本的なものしか習っていない。
(なんで私なの・・?)
ルナは自分の立場が分からない。
伝説の魔法なんて、本当に自分にできるのか・・。
でも、成功すればデビルを止められかもしれない。
でも、その力をデビルは必要としている。
でも、どちらにせよルナは、そんな大きな魔法を使う魔力なんてない。
力を何度も入れる。何度も力を入れる。
2年間使わなかった魔力を、必死に引き出そうとしている。
「ルナ、手伝うよ。」
みどりはルナの手を握る。
その手は強くて、優しくて、あたたかい。
「力だけじゃないよ。ルナ。」
(力だけじゃない・・・。でも、ゆかを助けたい気持ちはすみれと同じくらいある。この10日間、ずっと一緒に過ごしてきたのだから。)
レインボー魔法なんて最近初めて聞いた魔法だ。使ったこともなければ、見たこともない。幻の魔法だ。
魔法の呪文すら知らない。魔法の唱え方すら忘れてしまった。
魔法とはなんなのだろうか。
魔法なんて自分にはむりではないのだろうか。
ルナは不安になる気持ちをおさえつつ、一歩ずつ、前に出る。
「デビル、私は絶対あなたを―!」
ルナは大きく息を吸ってありえないことを言った。
なぜその言葉を言ったのか自分でもわからない。
口に出した瞬間、頭が混乱した。
その場にいた全員がわからなかった。
なぜ、こんなことを言ったのか―。
「―助ける。」




