★広い世界★
太陽が真っ赤に燃えて、晴れ晴れとした天気なのにゆかとさえのいるところだけ、暗く、重い景色であるようだった。
「さえ・・・。」
さえはもうさえといえないぐらい真っ黒な目をしていた。
「さえ、目を覚まして!闇に埋もれちゃだめだよ!」
「そんなことを言うの?ゆか?親友でしょ。だったら一緒に同じ道を進みましょ。闇は、悪は、楽しいわ。なんでいままでこんな楽しいことをしなかったのか不思議なくらい。ゆかも一緒にいきましょ!」
さえは勢いよくゆかめがけて悪魔法でやりをとばしてきた。ゆかはよけることしかできない。次々とやりは服にかすり、ゆかの服はほぼ真っ黒になっていった。
(う、このまま逃げてたらさえを助けられない。)
ゆかは解除魔法をかけるが、強い悪魔力で跳ね返されてしまった。
「さえ、目を覚まして!元のさえに戻って!」
さえの耳には全く聞こえず、ゆかは、どうしたらいいのかわからなかった。
そのころ、ななとともに森へ走ったルナは、あとからささがくるのをみると、足を止めた。
「私にできることは無いかもしれないけど、私たちは姉妹、どこまでも一緒よ!」
ささの声が森の中で響き渡る。
「ありがとう、ささ・・・。でも、実際私がみみの力を盗んでしまったことにはかわりはないって思うの。でも、どうしたら元にもどせるのかわからない。絵の才能ができてから、想像する力もなくなったの。森へきて、なにも感じなくなったというか。」
ルナははっと気付いたことがあった。
「ねえ、ななの想像ってすごいと思う。だって、川の音や木々のゆれる音。それを想像して、聞いている私たちまでどんなに落ち込んでいても楽しく、あたためる。たとえ魔法にかなわなくても、みみをあたたかい気持ちにできるんじゃないかな。なな、森の音をよーくきいて、みみのもとに届くように思いっきり想像しよう。大空めがけて。」
ななは川の橋に立つと、大きく深呼吸をしてしばらく目をつむっていた。
「森、それは生き物の工場。地球。それは自然のお母さん。宇宙。それは私たちを生み出したみーんなのお父さん。この森の向こうには、悪いことも起こってる。でも、反対に幸せなこともある。地球は、宇宙は・・・・私たちを包んでいるの!その向こうにきっと希望があふれてる!」
ななに幸せそうな笑みがうかび、めいいっぱい空を見た。ルナとささも空を見上げた。今、大変なことが起こってる。これ以上闇を染めないように。空に願った。平和な世界でいてくれますように。
「私、わかったの。自分には才能がないって、ずっと落ち込んでた。でも、そんなことも無かったみたい。私には、私だけができる力がちゃんとある!」
ゆっくり目を開けたのはみみだった。
「私は・・・一体・・。」
すると、すぐ横で戦っているさえとゆかを見て、みみは体を震わせ、動くことができなかった。ただ、二人が戦っているというのに、あたたかい気持ちが心に伝わる。すると、震えはおさまり、声が出た。
「ゆか、がんばって!」
状況がすぐ読み込めた。そしてみみは森へ駆け寄った。
(今の私じゃ、悪魔を倒すことなんてむりだけど、なな!)
「なな!」
みみはななを見つけると、走り込み、一気にななと抱き合った。
「ごめん!なな!」
「いいの。私には、私の才能があったから。」
二人の近くで、急に輝き始めた太陽よりまぶしい光は、思った通りだった。
「カラフルクリスタル!」
黄色に輝き、ななのもとに降りてきた。イエロークリスタルが降りてきたのだ。「私のクリスタル。」
ななは目をつむって、クリスタルの世界を想像したのだろう。キラキラと輝くクリスタルは、輝きをけさず、ななが持つことにした。
一方、さえとゆかの戦いはまだ続いていた。
「さえ、決めた私!今、さえの心のおくで、本当のさえが苦しんでる。私はさえを助けたい。だから、私はさえとルナたちを信じる!私は身代わり魔法を使う!」
身代わり魔法、それは、相手にかかった魔法を全力で受け止める魔法。ゆかは、その魔法を使ったら一生眠りにつくかもしれない。
(私がもし、眠りについても、さえたちは私をきっと助けてくれる。レター魔法もあわせて全力で魔力を使おう!)
ゆかはルナたちに伝言を伝えるつもりでレター魔法をかけた後、思いっきり息を吸ってさけんだ。魔方陣を描きながら。
【我の 力 悪を 追い払う いけ! 身代わり魔法!】
金色に輝いた光の魔方陣がゆかとさえを包み込む。まわりの人はもういない。きっと悪魔法の力で全員家に帰したのだ。今、公園のキャンプ場には、金色の光だけがまぶしく、ともっている。




