★闇のやり★
暗闇の夜の中、寝ているさえの前にデビルはいた。
「今日は満月の夜。満月の夜は悪魔の闇の力が深まっていく。いつもなら光の力を使っているけれど、今回は違うわ。さえさん。あなたを使わせてもらうわ。」
【闇の力よ!今解き放て!この者に最高の闇を与えよ!】
黒い霧がさえの胸に入っていくように吸い込まれていく。
「これで悪魔の食べ物である闇が一気に増えていくわ。楽しみね。仲間に裏切られたらどうなるのかしら?」
朝が来た。不気味で妙な朝が・・・。
ルナが起きた時には、みんな起きていた。
「みんな、なにか異常はないの?」
「おはよう。ルナ。」
「さえ、お、おはよう。」
(なんだかさえの様子がおかしい?)
そう思ったのは一瞬だけだった。一瞬だけさえの目付きが変わったようであった。しかし、それは夢だったかのように、今ではやさしい目をしていた。
「それが、みみの様子がおかしいの。なんだかさっきから何も言わないまま。」
ゆかはみみがうつむいて何も言わずただ、静かに座っているだけだった。
「あんなみみ、初めて見たわ。」
ささはルナの耳元でささやく。
「ねえ、また森に行かない?心を落ち着かせるのにぴったりでしょ?」
ルナはみみの顔をのぞくように言った。
「みみ?・・!」
その顔は怒りで爆発しそうな顔だった。
「みみ、なにをそんなに怒っているの?」
ルナはおそるおそる聞いた。
「な、ななが私の才能を奪った!そうしか考えられないの!」
いきなりみみは立ち上がると、ななに向かって、人差し指をつきだした。その瞬間、ななのもとに黒いやりが降ってきた。
「きゃ!」
ななはしりもちをつき、目の前のみみを見上げた。
「私の才能を返して!私の力を返して!」
「みみ、待って!私に何をするつもり!?」
「殺す!私から才能を奪った罰として!」
「私はみみの才能を盗もうとしたわけじゃない!」
「みみ、待って!一体どうしたの!?」
「どうもしてない!ゆかはさがって!」
「いや!人を殺すなんてそんなこと本心じゃ無いはず。お願い!元に戻って!ルナ、ななをお願い!」
「うん!わかった。」
ルナはななをつれて森の方へ駆け寄る。そこへ、なぜかさえが!
「ここは通さない。ルナ、なな。」「さえ!どうして!?」さえは不気味笑い、魔方陣を描きだした。
「昨日は満月。デビル様が私に闇の力をくださった。私の魔力ならコントロール悪魔法も簡単よ。」
「デビル・・・一体さえに何を!?」
『あら、ルナ、お久しぶり。満月の夜は、闇が深まるのよ。二人に悪魔法をわけてあげたわ。楽しみね。闇に埋もれるがいいわ。』
「デビル!」
ルナはデビルの気配をすぐに察した。
「ルナ!よそ見してると危ないわよ!」
さえは黒いやりを何本も投げてきた。さえの目付きは、いままでのやさしい目付きとは違い、目の輝きはなく、すべてが真っ黒に染まったようだった。
「さえ!目を覚まして!きゃっ!」
やりがルナの服にかすり、少し破れてしまった。かすったところのまわりは、一瞬で灰のように黒く染まった。
「このやりが胸に刺されば、ルナも暗黒の道を進めるわ。はやく一緒に闇の世を作りましょ。」やりはどんどんルナの胸めがけて降ってくる。上から降ってきたやりをかわした。と、そのときだった。一直線に胸にやりが刺さろうとしてとんできた。逃げようとするルナだが、体が動かない。
「一時停止魔法!」
さえが勢いよく言っていた。ルナだけの時間を止めているのだ。
(う、このままじゃ!)
やりがルナの胸に刺さろうとした。だが、勢いよくゆかが飛び出し、やりをキャッチした。
「さえ!目を覚まして!」
「ゆか、みみは?」
「大丈夫、眠らせているから。でも、さえの魔力はあぶない。ここは私がやるから、はやくななと逃げて!」
ルナはうなずくと、ななと一緒に森の方へ逃げていった。
(さえをなんとしても助けなくちゃ!)
ゆかはやりを持ったままそう誓うのであった。




