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魔王様はダラダラしたい!  作者: おもちさん
第二部
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3ー53 世界のことわり

階段を降りた先は小さな小部屋だった。

一人用の机とイスだけがある。

住む場所というよりは何かの作業場所に見えた。

奥に扉があることから、ここが最果てじゃないことは確実だ。

一体モコはどこへ連れていこうとしてんだろうな。



「ええとね。アシュリーさ、悪いけどここで待っててくれない?」


「えっ。私だけですか? こんな所で?」


「ごめんねぇ。この先の部屋は君にとって刺激が強すぎるんだ」


「えぇーー。そりゃ納得いきませんよ。もしかして向こう側は、裸のおねーちゃんが揃い踏みな部屋ですか? だったら私は平気ですよ?」



アシュリーが不満を口にするが、それも当然だろう。

ここでする事と言えば眠ることくらいしか無い。



「そんな部屋があったら楽しいけど、違うんだなぁ」


「えーー、何ですか勿体ぶってぇ!」


「ごめんね、具体的な説明もちょっと……。だから何も聞かずに待っててくれないかな? もちろん退屈はさせないよ」



モコが壁をペタペタと触ると、目の前に小さな泉が現れた。

しかもへりには小さなコップまで備え付けられている。

魔力が作用した気配はない。

一体どうやったんだろう。



「はい、ここの水……というかお酒だけど、好きなだけ飲んで良いよ」


「お酒ぇ? ……って、うまッ! うまうまうままま!」


「気に入ってくれた? 酔いが回ってきたら階段上の小川の水を飲むと良いよ。それでサッパリ覚めるから」


「うんま! 何ですかこれ、マジうまですよウマママ!」


「じゃあ行こうか」


「お、おう」



鳥女が馬女に変わったのを認めつつ、オレたちは奥へと向かった。

妙に精巧な鉄扉を抜け、通路を行く。


ーーカン、カン、カン。


耳慣れない足音が返ってくるが、うす暗くて床は見えない。

レンガや石とは違うなとだけ思った。



「ちょっと待っててね、よいしょっと」



行き止まりでモコが制止を呼び掛けた。

さっきと同じように、壁に何か細工を施す。

すると目の前が眩しくなり、辺りは真っ白に染め上げられた。



「何だこの光……前に1度見たことあるような……」



記憶を巡らせるが、思い出すより先に視界が定まった。

壁も床も家具も何一つ取っ掛かりの無い部屋に、大きな玉がある。

ちょうど目線の高さにあると言うことは、それは宙に浮いているんだろう。

モコは驚いた様子などなく、なれた足取りで中央に向かって歩いていく。

床が無いように見えるのは目の錯覚らしい。

オレもやや遅れて後に続く。



「やぁエミリア。久しぶりだね」


「マスター、プロドを確認しました。ご用件をどうぞ」



女の声が突然聞こえたが、周りにはオレたち以外に誰も居ない。

モコは平然としながら話を続けた。



「えっと。情報、記録の閲覧、オールド」


「オールドファイルを展開します。項目数10件。選択してください」


「1500以前、自動再生」


「命令を受理しました。実行致します」



女がそう言い終えると、辺りの様子が変わった。

突然目の前に人が現れたのだ。

男が3人、そして猫が1匹。

どいつもコイツも見覚えがある、というか、そのうちの1人はオレだった。



「アルフ……じゃないや、ライル。驚いただろうけど、これは通信板の一種だと思って。違いがあるとすれば、過去の出来事を映してるって事かな」


「過去って言うけど……。あそこに居るのはオレだよな? それにお前も、ディストルだって。こんな場面なんか記憶に無いぞ?」


「そうだね。これは今から遥か昔の出来事だよ。だから、君は何度も生まれ変わってるし、この時の記憶だって引き継いでない」


「……どれくらい前の話なんだ?」


「そうだなぁ、2000年は経ってないと思うよ?」


「2000……」



途方もない話に少し目眩がした。

50年すら生きる事の出来ないオレが、2000年前に存在して、異様なメンツの一角を占めているんだから。

あまりのスケールに置いてきぼりを食らうが、モコはそんなオレを待たない。



「さぁ、その目で見てもらおうか。この世界の始まりを」



その言葉をきっかけに、過去のオレたちは動き始めた。

これより一つの真実を目の当たりにすることになる。


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