6-C 出る杭はみたいな諺
前回はヒーロータイムもお休みだったみたいですね。
ヒーロータイムが休みの時に、こっちはやってますよ、と言うのをやってみたかったのですが。
寝込んでました。残念。
「またやったのか」
騎士詰め所の前で見張りをしていたヤマーが旋を見るなりため息をついた。
「おい。ホムヅに取調室の準備をさせといてくれ」
テキパキと旋を尋問する準備を進めていく。
「誤解です」
旋はウゥドに担いでいた男の片方を下ろすように合図する。
今日はメッダル団の御招待を受けている。
できれば襲撃犯を引き渡すだけで済ませたい。
「こっちの男をやったのは?」
ヤマーがウゥドの下ろした贋アミュレット売りの男を指差す。
「私です」
旋は事実を告げた。
「そっちは?」
ヤマーがウゥドが抱えたままのラットゥを指差す。
「私ですね」
旋の返事を聞いてヤマーが騎士詰め所の奥を指差す。
ホムヅがいつもの取調室で手招きしていた。
旋の後ろでヤマーが誤解のしようがないと呟いていた。
「あんた、あれだな。うん。あれ」
旋から話を聞き終わったヤマーが何かに納得したように頷く。
調書を書いていたホムヅも頷いている。
いつものデスクライト型嘘発見気器、輝ける虚構も頷いているかのような角度だ。
「アレってなんですか」
旋は被っている猫に綻びがないか確認する。
「出っ張っている釘」
ヤマーが壁の上にある梁を指差す。
ホムヅが梁に刺してある釘に書き終わった調書の紐を引っ掛ける。
「色んな物を引っ掛けるって事ですか?」
旋はブラブラ揺れている調書を眺める。
「ああ。折れたり、曲がったりしないように気をつけろ」
ヤマーがもういいぞと取調室の扉を指差す。
これから贋アミュレット売りの取調だと目頭を揉む。
「ヤマーさん休み明けからやたら指差し確認するんですよ」
取調室をでた旋をホムヅが案内する。
「奥さんに頼まれた買い物に買い忘れがあったとかで」
保管室と書いてある窓口に札を渡す。
「いきなり指差されるとドキッとするからやめてほしいんですよね」
旋の鞄を渡してくれる。
「まあ、歳を取ると忘れっぽくなりますよ」
旋は鞄の中身を一応確認する。
「それ、ヤマーさんに言っちゃダメですよ」
ホムヅが口の前に人差し指を立てる。
「さてと。遅くなったじゃん」
旋は騎士詰め所の前で待っていたウゥドと合流した。
ウゥドはラットゥを下ろさず、ずっと担いでいたようだ。
旋を見つけると嬉しそうにしている。
「まだ起きない? 疲れてるのかな?」
ラットゥが寝たふりしてないか確認してみる。
突っ込みがこないので、まだ気絶しているようだ。
「じゃあ、行こうか」
旋はウゥドの案内で今度こそメッダル団本部へ向かう。
==〔◎〕==
「さてと、鬼が出るか蛇が出るか」
メッダル団の本部が見える所まできたので旋はポケットの中を確認した。
角兎の角と魔石がある。
メッダル団相手ならホーンラパンでいけるはず。
旋はこの前のモグラ男との戦闘から、少し自分の実力を低く見積り始めている。
変身すれば勝てる。そう旋は思っていたが、さすが異世界。
もしかしたら魔法やスキルを駆使すれば、余裕で地球の騎乗変身英雄と戦える人がいてもおかしくないのだ。
まだ私はレベル1。
油断しないように気を引き締める。
メッダル団の御礼は普通の御礼だったようだ。
旋は特に襲われる事もなく、奥の部屋に通された。
ソファみたいな長椅子にテーブル。応接用の部屋で間違いない。
念のため座らずに相手を待つ。
「お嬢を助けて頂き感謝する」
白髪混じりの金髪の男が入ってくるなり旋に頭を下げる。
「いえ、私なにもしてませんよ?」
お嬢と呼ばれていた人を助けたのはホーンラパンであって旋ではない。
「いや、あんた変身しても顔変わってないぞ」
白髪混じりの金髪の男が旋に突っ込む。
「やっぱり。ばれてますか」
今度から仮面でもつけるか。
旋は頭の中の買い物リストに仮面と書き込んだ。
「それで? テーツさん。御礼だけじゃないのでしょう」
初対面の人には猫かぶりモード。
旋は丁寧に返事しながら探りを入れる。
「いや、俺はお嬢じゃない。ドッルゴだ。どこを見たら俺が女に見えるんだ?」
白髪混じりの金髪の男改めドッルゴが不思議そうに聞き返す。
テーツって女の名前か。
お嬢っていうのがメッダル団のボス。
このドッルゴがナンバー2かな。
旋は頭の中のメッダル団の項目を書き直す。
「すいません。この辺の出身ではないもので」
旋は素直に謝る。
「まあいいか。それで相談といきたいんだが、まず確認させてくれ。あんた暗黒教団に関係あるか?」
ドッルゴが椅子を薦めながら旋に聞いてくる。
「う~ん。関係あるといえばあるんですが」
旋はソファに座って腕を組んで唸る。
暗黒教団がどんな組織か今一つかめてない。
アレニエは強盗殺人。
コウモリ男は誘拐。
モグラ男も誘拐。
どれもギルティ確定で武術行使に遠慮は要らないし、覚悟も一瞬で決まるのだが。
闇と夜の神の神器を欲しがっているぐらいしか、暗黒教団の狙いがわからない。
「まあ、今のところ敵ですね」
旋は手のひらと拳をぶつけて見せる。
「ならひとつ頼みがあるんだが」
ドッルゴが金貨を取り出す。
「お嬢の祈りが終わるまで警護してもらえないか?」




