第8話 なくなった物
* * 勝也視点 * *
日曜日の午後、いつもの公園の脇で、翔太が足を止めた。
「あれ、本じゃね?」
植え込みの隙間に、雑誌が何冊か重なっていた。
誰かが捨てていったらしい。上に載っていた葉が風で動き、表紙が見えた。
エロ本だった。
俺は翔太を見た。
翔太も俺を見た。
春樹だけは見ていないような顔をしていたけれど、歩くのは止まっていた。
「……誰か、落としたのかな」
「こんなとこに何冊も落とす?」
春樹に言われ、確かに、と思った。
翔太がしゃがみかけたので、俺はその肩をつかんだ。
「何するの」
「いや。どんなのかと思って」
「ここで?」
道の向こうから、自転車が来ていた。
俺たちは何となく同じ方へ顔を向け、通り過ぎるまで黙った。
「帰ろ」
春樹が言った。
その言い方があまりにも普通だったので、俺も頷いた。
「そうだね」
「別に、持って帰るわけじゃねえしな」
翔太も立ち上がった。
3人で歩き出し、いつもの分かれ道で翔太と別れた。
「あとで戻ったりすんなよ」
「翔太でしょ、それは」
「しねえよ」
「俺も戻らないよ」
言ってから、誰にも聞かれていなかったことに気づいた。
春樹がこちらを見たので、付け足す。
「一応ね」
「今ので、余計に怪しくなったよ」
「春樹は?」
「戻らない。家で本読む」
「よし。じゃあ、誰も戻らないな」
翔太が、なぜか満足そうに頷いた。
春樹が笑い、俺も笑った。
翔太は手を上げ、そのまま家の方へ歩いていった。
春樹とはマンションまで一緒に帰った。
3階へ上がり、隣り合った部屋の前で別れる。
「じゃあ、また学校で」
「うん。また明日」
俺は家へ入り、自分の部屋で漫画を開いた。
2ページ読んだところで、さっきの植え込みが頭に浮かんだ。
あの道は、あまり人が通らない。
でも、誰も通らないわけではない。
もう、なくなっているかもしれない。
そこまで考え、漫画を閉じた。
なくなっていたら、それでいい。別に困らない。
ただ、あるかどうかが少し気になっただけだった。
* * *
コンビニの袋を持って戻ると、翔太がいた。
植え込みの前で、俺たちは顔を見合わせた。
翔太は何も持っていなかった。
「……何してんの」
「散歩」
翔太はすぐに答えた。
「さっき帰ったばっかりなのに?」
「勝也は」
「買い物の帰り」
袋を少し持ち上げた。
中には、買ってきたジャンプが入っている。
翔太は袋を見てから、俺の顔を見た。
「それ、間に挟むためだろ」
「……翔太は、何も持ってないの?」
「話変えたな」
「持って帰るつもりだったんでしょ」
「手で持てるだろ」
あまりにも当たり前のことみたいに言うので、返事に困った。
そのまま家まで歩いていくつもりらしい。
「俺たち、何の話してんだろうね」
「お前の袋の話」
「翔太の散歩の話じゃなかった?」
「買い物の帰りって言ったやつに言われたくねえよ」
どちらの言い訳も、もう通じていなかった。
「知ってる人に会ったら、どうするの」
「……その時、考える」
考えていなかったのか。
俺が笑うと、翔太も少し笑った。
その向こうに、人が来た。
リュックサックを背負った春樹だった。
俺たちを見つけた春樹は、止まった。
それから、何も言わずに向きを変えた。
「帰るなって!」
翔太が呼び止めた。
「まだ何も言ってないでしょ」
「今、帰ろうとしてたろ!」
春樹は少し迷ってから、こちらへ来た。
俺の袋を見て、翔太の手元を見て、最後に植え込みへ目を向ける。
「……2人とも、戻らないって言ってなかった?」
「春樹もね」
俺が答えると、春樹は黙った。
「そのリュック、何入ってんの」
翔太が聞いた。
春樹は、別に、と言いながら肩から下ろした。
開き口から、何冊かの本とノートが見えた。
「今日、学校だっけ?」
「違うよ」
「何でノートまであるんだよ」
「開けた時に、すぐ見えたら困るでしょ」
俺は自分の袋を見た。
そこまでは考えていなかった。
翔太はまだ、何も持っていなかった。
「何で2人とも、そんな準備いいんだよ」
「翔太が何も考えてないんだと思う」
春樹が言った。
翔太は何か言い返そうとして、やめた。
「……で、春樹は何て言って家出たんだよ」
「ちょっと出かけてくるって」
「リュック持って?」
「何も聞かれなかったから、そこまで説明してないよ」
「勝也は?」
「俺は、買い物」
「本当に買ってきたもんな。準備良すぎだろ」
「翔太も、袋欲しかったら寄ってくればよかったのに」
「いらねえよ。持てるって言ってるだろ」
おかしくなって、俺は笑った。
あれだけ戻らないと言っておいて、3人とも戻ってきた。
誰かに会わないようにと考えていたのに、会いたくなかった相手が、ちゃんと2人ともいた。
「これ、学校で言うなよ」
翔太が言った。
「最初に言いそうなの、翔太じゃない?」
「言わねえよ。言ったら俺も困るし」
「じゃあ、俺が袋持ってきたことも言わないでね」
「それ言ったら、リュックのやつも言うだろ」
「俺の方見ながら言わなくていいよ」
春樹がリュックサックを閉じた。
「言ったら、自分がいたことも言うんだよ」
「……そうか」
春樹も笑った。
結局、俺たちはそれぞれ1冊ずつ持って、今度こそ帰ることにした。
翔太は、本当にそのまま手に持っていた。
道へ出る直前に俺の袋を見たので、先に口を閉じた。
「自分で持てるんでしょ」
「まだ何も言ってねえだろ」
俺と春樹が笑うと、翔太も笑った。
帰り道では、知っている人が来ないか、3人で何度も前を見た。
* * 優子視点 * *
翌日の月曜日、家を出る前に、体操服の袋を開いた。
洗ってもらった上着と、畳んだズボンが入っている。
今日は体育館で授業を受ける日だった。
連絡帳の体育の欄を指で確かめ、袋の紐を引いた。
「優子、忘れ物ない?」
廊下から、お母さんの声がした。
「うん。今、確かめたから大丈夫」
体操服の袋をリュックサックへ入れ、口を閉じた。
今日は忘れていない。
自分で確かめてから、玄関へ向かった。
教室へ着いてからも、袋には触っていた。
教科書を出す時に邪魔になったので、取り出して机の横へ掛けた。
椅子へ座ると、紐の端が膝に当たった。
引っかけないように、少し内側へ寄せた。
そこまで、覚えていた。
それなのに、体育の前の休み時間には、なくなっていた。
机の横を見た。
掛かっているのは、リュックサックだけだった。
その下へかがみ、机の脚の向こうまで見た。
落ちていなかった。
もしかしたら、しまい直したのかもしれない。
リュックサックを椅子へ置き、中の物を出した。
教科書と、筆箱と、プリントを挟んだファイル。
底へ手を入れても、指に触れるのは布だけだった。
「富田さん、どうしたの?」
隣の列の女子が、体操服の袋を持ったまま聞いた。
「……体操服が……なくて……」
「机の中は?」
「……見たんだけど……」
もう1度、机の中を確かめた。
その子もかがんで、床を見てくれた。
椅子を少し動かしても、何も出てこなかった。
「落ちてないね。朝はあった?」
「……うん。ここに……掛けたの……」
机の横を指した。
朝、自分の手で持ち上げた紐が、どこにもなかった。
「何、なくしたの?」
莉奈さんが近づいてきた。
私は顔を上げた。
「……体操服の……袋……」
「家に忘れたんじゃない?」
「……持ってきたの。朝は……ここに……」
「本当に? 家で入れたつもりになってただけじゃなくて?」
私は首を振った。
膝に当たった紐を、内側へ寄せた。
それは、家ではできないことだった。
「……ここに、掛けたから……」
「じゃあ、どっか落としたんでしょ」
莉奈さんは、私の机の下を見た。
私も、同じところへ目を向けた。
さっきから、何度も見ている場所だった。
「先生に言った方がいいんじゃない? もう着替えないと」
探してくれた子が言った。
教室には、もう男子はいなかった。みんな着替えるために移動していて、女子も準備を始めていた。
机の上へ出した物を戻した。
教科書をしまえば、その下から袋が出てくるような気がした。
でも、最後の1冊を持ち上げても、机の上が空いただけだった。
「……探してくれて、ありがとう……」
「ううん。見つかるといいね」
私は頷き、制服のまま教室を出た。
* * *
体育館の入口で、先生に声をかけた。
「……あの、先生……」
「富田、どうした?」
「体操服が……なくなって……」
先生は、私の制服を見た。
「忘れたのか?」
「……持って、きたんです。朝、机の横に……あって……」
そこまで言うと、先生は私の顔へ目を戻した。
「持ってきたけど、見つからないんだな」
「……はい……」
「教室の後ろとか、別の机に掛けていないかも見た?」
首を振りかけて、途中で止めた。
周りは見た。でも、教室の全部を見たわけではなかった。
「……自分の席と、近くは……見ました……」
「机の中や、鞄の底は?」
「……中の物、出して……見ました。近くの子も……探してくれて……」
「そうか。持ってきたのは袋ごとだな?」
「……はい。上下、入ってます……」
「じゃあ、授業のあとに、もう1度探してみよう。見つからなかったら、担任にも伝えておいて」
「……はい……」
「今日は制服で無理に参加しなくていいから。座って、授業でやったことを書いておこう」
「……分かりました……」
「今日は、体調が悪いわけじゃないんだな?」
「……大丈夫、です……」
先生は頷き、壁際の見学する場所を示した。
私はそちらへ行き、座った。
外の授業を見学することはあった。
でも、今日は体育館で、みんなと同じようにできるはずだった。
そのために、昨日の夜も、今朝も、体操服を確かめていた。
列の端へ、莉奈さんが並んだ。
美咲さんと話しながら笑っている。
私の方を見たような気がして、膝へ目を落とした。
誰かが動かしたのだろうか。
胸の辺りが冷たくなった。
これまでにも、私がいない間に物が汚れていたことがあった。
でも、今日、袋を動かしたところを見たわけではない。
早く教室へ戻って、もう1度探したかった。
笛の音がして、顔を上げた。
みんなが動き始めた。
私も、見学した内容を書こうとした。
膝の上の紙には、まだ日付しか書けていなかった。
* * *
授業が終わると、ほかの人より先に教室へ戻った。
机の横は、朝と同じままだった。
床へかがみ、隣の机との間を見た。
教室の後ろへ回って、棚の下や、窓際も確かめた。
ない。
誰かが拾ってくれているなら、どこへ置くだろう。
教卓の上にも、黒板の下にも、それらしい袋はなかった。
担任の先生に、言いに行かなければいけない。
入口へ向き直った時、莉奈さんの声がした。
「これじゃないの?」
振り返ると、莉奈さんが掃除用具入れのそばを指していた。
壁との狭い隙間に、布の端が見えていた。
近づいて、しゃがんだ。
袋だった。
私の体操服を入れてきた、同じ袋だった。
紐を持って引き出すと、下の方に埃がついていた。
口を開き、中を確かめた。
上着も、ズボンも入っている。
名前のところも、私の字だった。
「あったじゃん」
美咲さんが言った。
私は袋を持ったまま、立ち上がった。
「……ここには、置いて……ない……」
「誰かが拾って、置いたんじゃないの?」
美咲さんは、掃除用具入れの方を見た。
「床に落ちてたら邪魔だし」
「ちゃんと探せば、あったんだね」
莉奈さんが言った。
「最初から、そっちも見ればよかったのに」
私の席からは、少し離れていた。
落ちただけで、ここまで来るだろうか。
拾ってくれた人は、どうして隙間へ入れたのだろう。
聞こうとして、2人の顔を見た。
「……朝は、机の横に……」
「だから、もう見つかったんでしょ?」
美咲さんが言った。
莉奈さんも頷いた。
「なくなってなかったんだから、よかったじゃん」
中の服が残っていたことは、本当に、よかったと思った。
でも、どうしてここにあったのかは、分からないままだった。
「何か言うことないの?」
莉奈さんに聞かれた。
袋の汚れたところを、自分の方へ向けた。
「……見つけてくれて、ありがとう……」
そう答えると、莉奈さんは満足したように離れていった。
美咲さんも、自分の席の方へ戻った。
私は袋を机の上へ置いた。
埃を手で払おうとして、制服につきそうになり、やめた。
ハンカチで少しずつ拭いたあと、体操服を詰め直した。
今度は机の横へ掛けなかった。
リュックサックの奥へ入れ、ファイルをその前に立てた。
口を閉じてから、まだ開いているところがないか、指でなぞった。
これなら、外からは見えない。
誰かが動かそうとしても、すぐには取り出せない。
そこまで考えて、手を止めた。
誰が触ったのか、私は知らない。
でも、さっきまで掛けていたところへ戻す気には、どうしてもなれなかった。
みんなの着替えが終わり、男子も教室へ戻ってきた。
次の授業の教科書を出していると、勝也くんが近づいてきた。
「富田、体操服、見つかった?」
私は顔を上げた。
「うん……見つかったよ」
「よかった。さっき、探してたって聞いたから」
勝也くんは、私の机のそばへしゃがんだ。
座っている私と、目の高さが近くなった。
「体育、出られなかったんだよね」
「うん。でも……もう大丈夫」
「体育館の日だったのに、残念だったね」
「……うん。ちゃんと持ってきたんだけど」
「分かってるよ。富田、朝、自分で掛けたって言ってたんでしょ」
私は頷いた。
そのことまで、聞いてくれていた。
「どこにあったの?」
袋を見つけた隙間を思い出した。
勝也くんなら、朝は別のところにあったという話も、最後まで聞いてくれるだろうか。
「教室の、後ろの方。私……」
続けようとした時、美咲さんがこちらを見た。
何かを言われたわけではなかった。
それでも、袋を持っていた時に聞いた声が戻ってきた。
もう見つかったんでしょ。
「……そっちまで、ちゃんと見てなくて」
自分が置き忘れた物を、うまく探せなかったみたいだった。
でも、美咲さんたちの前で、その先まで話す勇気がなかった。
「そっか。見つかってよかったね」
勝也くんが言った。
私は頷いた。
「また探すことあったら、俺も手伝うよ」
「……ありがとう」
嬉しかった。
もっとちゃんと探せばよかったのに、とは言われなかった。
だから余計に、今なら話せるのではないかと思った。
口を開きかけたところで、次の授業の先生が入ってきた。
勝也くんは立ち上がり、自分の席へ戻っていった。
私は教科書を開いた。
隣で聞いていてほしかった。
でも、話すことを選べなかったのは、私だった。
* * *
その日の夜、お母さんが体操服の袋を見つけた。
「こっちにも埃ついてるね。袋も洗っておこうか」
リュックサックから出し、洗濯物のそばへ置いたところだった。
お母さんの指す縫い目には、灰色の埃が少し残っていた。
「うん。お願い」
「体育館の床に置いたの?」
私は、袋を見た。
体育館では、持ってさえいなかった。
「……教室でついちゃって」
「そっか。中も出しておいてね」
「袋も洗って大丈夫?」
「大丈夫よ。いつも洗ってるでしょ。気になるところ、ほかにもある?」
裏返して、底の縫い目を見せた。
「ここ。拭いてみたけど、取れなかったの」
「そこも洗おうね。自分で拭いてくれたの?」
「うん」
「ありがとう。ハンカチ使ったなら、それも出しておいて」
責めるような声ではなかった。
汚れた物を洗ってくれる、いつものお母さんだった。
袋の中から、上着とズボンを出した。
朝に入れた時の折り目が、そのまま残っていた。
今日は着なかったと言おうかと思った。
けれど、どうしてと聞かれたら、どこまで説明すればいいのか分からなかった。
お母さんが学校へ聞いてくれたら、先生は莉奈さんたちにも聞くだろうか。
袋を見つけてくれたのに、疑ったと言われるかもしれない。
明日、教室で何と言われるのかを考えると、喉が詰まった。
「明日は、体育あった?」
「明日はないよ」
「じゃあ、乾いてから入れ直そうね」
「乾いたら、自分で入れるね」
「うん。畳んで、いつものところに置いておくね」
「ありがとう」
私は頷いた。
お母さんが洗濯物を持っていってから、空のリュックサックを開いた。
次は、奥へ入れておこう。
机の横には、掛けない。
席を離れる前には、口が閉まっているか確かめる。
それなら、同じことにはならないはずだった。
* * *
2日後の昼休み、図書室の当番から戻ると、国語のノートが机に出ていた。
机の中へしまっていったはずだった。
手に取って開くと、表紙の裏に、太い黒い字があった。
きもい。
胸が詰まった。
その下にも、来るな、と書かれていた。
何度見ても、同じ言葉だった。閉じようとした指が、表紙の端で止まった。
消しゴムを出して、端をこすった。
少しでも薄くなればと思って、同じところを何度もこすった。
黒い線は残ったままで、紙の方が毛羽立ってきた。これ以上こすったら穴が開きそうで、手を止めた。
近くで椅子が引かれた。
私はノートを閉じた。
私がいない間に、誰かが開いて書いた。
誰なのか、見ていない。近くで話している人の声が聞こえても、顔を上げて確かめるのが怖かった。
どうして、私の物にまで。
買ってもらってから、まだ使えるページがたくさんあった。
前の授業で先生の説明を書いたところも、間違えた答えを直したところも、捨てたくなかった。
それなのに、次に表紙を開ければ、またあの言葉が見える。
端の席で、勝也くんが鳥居君と話していた。
ノートを持っていけば、何が書かれたのかは分かってもらえる。
けれど、勝也くんにもあの字を読まれるのだと思うと、立ち上がれなかった。
誰かにそんなふうに思われている私を、見せたくなかった。
ノートを机の中へ戻した。
次に使う時は、表紙の裏を見ないで開こう。
そう考えたら、明日の国語の授業まで怖くなった。
何も書かれていなかった時と同じように使いたいだけなのに、それができなかった。
* * *
落書きを見つけた翌日には、また体育の授業があった。
洗ってもらった袋は、リュックサックの奥に入れてきた。
教室へ着いてからも出さなかった。
前の時間の教科書をしまう時、袋があることを手で確かめた。
ちゃんと、ある。
そこでようやく、少し安心できた。
ほかの人も同じくらい持ち物を確かめているのか、気になって周りを見た。
友達に呼ばれた子が、開けたままの鞄を置いて席を離れた。
私は、自分のリュックサックの口を閉じた。
体育の前になり、男子が教室から出ていった。
女子たちが体操服を取り出し始める。
私も袋を机へ載せ、紐を緩めた。
「あれ?」
莉奈さんの声がした。
リュックサックの中を見て、机へ筆箱を置いていた。
「体操服、ないんだけど」
「忘れた?」
美咲さんが聞いた。
「持ってきたって。朝、入れたし」
私は自分の袋を押さえた。
この前も、同じことを言った。
私は持ってきたと答えても、家に忘れたのではないかと聞かれた。
莉奈さんは、机の中へ手を入れた。
何も出てこなかったのか、椅子を引く音がした。
「どこ行ったの。さっきまであったのに」
その時、目が合った。
「何?」
莉奈さんが言った。
私は慌てて首を振った。
「……ううん……」
「何で見てんの?」
「声が……聞こえたから……」
莉奈さんが、私の机へ近づいてきた。
まだ誰も着替え始めていなかった。
近くの子たちも手を止め、こちらを見た。
「この前、自分のなくなってたよね」
何を言われているのか、すぐには分からなかった。
「……うん……」
「だから、仕返し?」
私は顔を上げた。
莉奈さんは笑っていなかった。
「……違う……」
「私の、どこやったの」
「知らない……私、触って……ない……」
「朝、確かに入れたんだから。リュックになかったら、誰かが出したんでしょ」
「……でも、私……」
「この前、自分のがなくなったの、私のせいだと思ってたんじゃないの?」
急いで答えようとした。
でも、声が小さくなって、最後の方はうまく出なかった。
仕返しなんて、考えていなかった。
今日は自分の物がなくならなければ、それだけでよかった。
「じゃあ、何でこっち見てたの?」
「それは……声が……」
「知ってるから、見てたんじゃないの?」
違う。
同じ言葉ばかり、頭に浮かんだ。
どう言い直せば分かってもらえるのか、分からなかった。
「……私、やってない……」
「この前の、まだ気にしてるんでしょ?」
美咲さんも近づいてきた。
「自分でなくしただけなのに、ずっと変な顔してたもんね」
「なくしたんじゃ……朝は、机に……」
「それ、私たちがやったって言いたいの?」
「……誰が、って……言って、ない……」
「じゃあ、何で今、その話するの? こっちは莉奈のがないって言ってるんだけど」
私は首を振った。
言っていないことまで、私の言葉になっていった。
朝あった場所を説明したいだけなのに、その続きに、誰かを疑ったという話を置かれてしまう。
「……そうじゃ、なくて……」
「だったら返してよ」
莉奈さんの手が、肩へ当たった。
押され、後ろへ足を引いた。
すぐ後ろに机があって、腰の横が角にぶつかった。
机の脚が、床を擦った。
その音に、体がすくんだ。
「……っ」
痛かった。
机の端をつかみ、倒れないように足を踏み直した。
莉奈さんは、私が押さえたところを見なかった。
「何でそんなに隠すの?」
「隠して……ない……」
自分の袋が、机の端に寄っていた。
それを見た莉奈さんが、顎で示した。
「それは?」
「……私の……」
「見せて」
開き口を広げた。
中の上着を出すと、莉奈さんは名前を見ようとした。
私は襟の内側を開き、自分の名前を見せた。
「……私の、だよ……」
「それしか持ってないの?」
名前を見せれば、分かってもらえると思った。
でも、莉奈さんは私のリュックサックへ目を向けた。
「自分のは持ってても、私のをどっかに置いたかもしれないじゃん」
「置いて……ない。触ってないの……」
「ずっとそればっかり。ちゃんと話してよ」
「……ほんとに、知らない……」
出した上着を畳もうとした。
その腕を、莉奈さんにつかまれた。
「まだ話してるんだけど」
手首を引かれ、指から服が滑りかけた。
反対の手で、慌てて受け止めた。
「逃げないでよ」
「逃げて……ない……」
片づけようとしただけだった。
床へ落としたくなかった。
どちらも、言い終わる前に喉へ引っかかった。
つかまれたところが痛かった。
引き抜こうとしたら、もっと強く握られる気がした。
私は腕を動かせないまま、莉奈さんの手を見ていた。
「……痛い……」
声に出した。
莉奈さんは、手を離さなかった。
「だから、どこにあるか言ってってば」
知らないのに。
場所さえ言えば、手を離してもらえるかもしれない。
でも、本当に何も知らなかった。
「莉奈、こっちは?」
玲奈さんの声がした。
莉奈さんの机のそばに置かれた、別の手提げを指していた。
「そっち、見た?」
莉奈さんの指が、ようやく離れた。
私は腕を体の近くへ戻した。
手首に触れたいのに、触っているところを見られたくなくて、上着を持ったままにした。
莉奈さんが手提げを開いた。
少し探してから、袋を引っ張り出す。
「あ、あった」
あまりにも、普通の声だった。
「こっちに入れたんだった。忘れてた」
私は、その袋を見た。
ずっとそこにあった。
私の机にも、リュックサックにも、なかった。
「ごめんね」
莉奈さんが、こちらを見て言った。
少し笑っていた。
「もう、何してんの」
美咲さんが笑った。
莉奈さんも、だって、と言いながら袋を開いた。
「早く着替えよ。遅れちゃう」
話が終わった。
私は、まだ体操服を抱えていた。
つかまれた手首は、じんじんしていた。
腰をぶつけたところも、向きを変えると痛かった。
見つかって、よかった。
もう返してと言われなくて済む。
そう思って息を吐いたあと、どうして私がこんなに安心しなければいけないのかと、悲しくなった。
最初から、何もしていなかった。
触っていないと、何度も言った。
その時は聞いてもらえなかったのに、莉奈さんの袋が出てきたら、それだけで終わった。
私が怖かったことは、誰にも聞かれなかった。
「富田さん、机、戻すね」
近くにいた子が、ずれた机の反対側を持ってくれた。
私も端へ手をかけた。
さっきぶつかった角を避け、少しずつ元の列へ合わせる。
「……ありがとう……」
「大丈夫? 富田さんじゃなかったのにね」
私は頷いた。
見ていてくれた人がいた。
私ではなかったと、言ってくれる人がいた。
「……私、触って……ないの……」
「うん。自分の鞄にあったんだもんね」
その子は莉奈さんの方を見て、声を少し落とした。
「見つかってよかったね」
「……うん……」
「もう少しこっちかな。隣の机と、そろってないね」
「……これくらい……?」
「うん。ありがとう。こっちは押さえてるから、もう大丈夫だよ」
見つからなかったら、今も返してと言われていたのだろうか。
その子にまで、そう聞くことはできなかった。
莉奈さんが、すぐ後ろを通った。
私は、机へ置いていた手を引っ込めた。
考えて動かしたのではなかった。
「何。そんな避けなくてもよくない?」
莉奈さんが言った。
「……ごめん……」
「もう謝ったじゃん」
頷いた。
謝ってもらったことは、分かっていた。
でも、また手が近づいてきたら、つかまれると思ってしまった。
莉奈さんが離れてから、体操服の袋へ手を伸ばした。
紐の結び目をほどくのに、少し時間がかかった。
指が震えていることに気づかれたくなくて、顔を伏せた。
* * *
体育館へ着く頃には、手首の赤くなったところは薄くなっていた。
みんなと並んで、先生の話を聞いた。
今日は体操服を着ている。
見学する理由を説明しに行く必要もなかった。
準備運動で腕を動かすと、腰の横に少し痛みが残っていた。
それでも、歩けたし、動けた。
教室で何かあったようには、見えていないのだと思った。
先生が人数を確かめた。
返事をした時、声が思ったより小さくなった。
「富田、いるな」
「……はい……」
先生は次の人へ移った。
痛いところがあると、今なら言えるかもしれなかった。
でも、少し離れた列に莉奈さんがいて、声が聞こえると思うと言えなかった。
授業の途中、順番を待つ場所で、誰かの腕が近づいた。
私は半歩、横へずれた。
「ごめん、通るね」
後ろへ行きたかっただけだった。
「……ううん……」
相手が通ってから、足元を見た。
この子は、何もしていない。
さっき押されたからといって、みんなが同じことをするわけではない。
そう分かっているのに、体の方が先に避けてしまった。
周りの人と離れすぎないように並び直すだけで、疲れた。
授業の終わりに、先生が使った物を片づけるように言った。
私は、自分が使った物を先に戻した。
どこへ置いたかを確かめてから、列の後ろへ向かった。
今日は、何もなくしていない。
誰の物も持っていない。
何度も、心の中で確かめていた。
* * *
給食が終わってから、綾香さんが来た。
「富田さん、今日、図書室行く?」
私は、膝に置いた本から顔を上げた。
学校で借りている本だった。
朝からまだ、開けていなかった。
「……今日は……ここで、読もうかな……」
「そっか。私、返す本あるから行ってくるね」
「……うん……」
綾香さんが持っている本へ、目が向いた。
そちらの方が、教室より静かに読める。
ここを離れたかった。
美咲さんたちの声を聞かずに、少し座っていたかった。
「一緒に行く?」
私が見ていたからか、綾香さんがもう1度聞いた。
「……返すだけ……?」
「ううん。新しいのも見ようかなって。富田さん、それ、まだ途中?」
「……うん。もう少し……あるから……」
「じゃあ、続き読んでてもいいよ。私、棚見てると時間かかっちゃうし」
綾香さんが、本を持ち直した。
嬉しかった。
今、頷けば、隣を歩いてもらえる。
机の横へ目を落とした。
リュックサックには、体操服の袋が入っている。
ほかにも、教科書や、部活で使うファイルがあった。
席を離れている間、誰も触らないだろうか。
全部持って図書室へ行ったら、どうしてそんなに荷物があるのか聞かれるだろうか。
理由を考えているうちに、綾香さんを待たせていた。
「……ここで、大丈夫……。ありがとう……」
「うん。またあとでね」
私は頷いた。
綾香さんが出ていくのを見送ってから、本を開いた。
挟んでいた栞を、机へ置いた。
前に読んだところを少し戻って、話を思い出そうとした。
でも、教室の後ろで椅子が動くと、顔を上げてしまった。
ここに残れば大丈夫だと、さっきは思っていた。
けれど、朝もここにいて、自分の物をちゃんと持っていた。
それでも、やったのは私だと言われた。
どこにいれば、安心できるのだろう。
本の同じ行へ、何度も目が戻った。
続きは気になっているのに、文字を読んでいる間にも、教室の声を聞いてしまう。
机のそばへ、別の子の袋が落ちた。
椅子を動かした時に、引っかかったらしい。
拾おうとして、手を止めた。
私が持っていたら、また、どうして持っているのかと言われるかもしれない。
床にあったと説明しても、信じてもらえるだろうか。
「……あの……」
持ち主の子が振り返った。
「……袋、落ちてる……」
「あ、ありがとう」
その子は拾い上げ、今度は椅子の上へ置いた。
私は本へ目を戻した。
拾って渡すだけだった。
今までは、こんなことで迷わなかった。
手を出さずに済んだことへほっとして、そんな自分が嫌になった。
* * *
帰りの会が終わると、私は机の中の物をまとめた。
部活のファイルを出し、ほかの物はリュックサックへしまう。
椅子の音が近くでしたので顔を上げると、勝也くんだった。
「富田、今から部活?」
「うん。勝也くんも?」
「うん。少し話せるかなと思って」
勝也くんは、隣の空いた椅子へ座った。
私の顔を見て、少し首を傾げる。
「疲れた?」
頷きそうになった。
授業を受けて、給食を食べて、掃除をした。
いつもと同じだけのことをしたはずなのに、もう、家へ帰りたかった。
「……ちょっとだけ」
「そっか。今から、まだ部活あるもんね」
「うん」
「今日は、曲を合わせるの?」
「少しずつ……最初から全部は、まだ難しいから」
「そっか。俺が聞いた時も、何回か同じところ吹いてたね」
「できないところは、何回もやるの。ゆっくりだったら、できることもあるし」
「速くすると、難しくなるんだ」
「うん。でも、前よりできるようになったところもあるよ」
「じゃあ、練習した分、できること増えたんだね」
私は頷いた。
その話なら、嬉しかったことを言えた。
勝也くんは、私が言い終わるのを待っていた。
莉奈さんみたいに、返事を急がせなかった。
今日、何もしていないのに疑われた。
違うと言っても、聞いてもらえなかった。
肩を押されて、手も痛かった。
昨日、ノートに書かれた言葉も、まだそのままだった。
勝也くんへ話したかった。
私が何もしていないことを、信じてほしかった。
「……あのね」
「うん?」
顔を上げた。
廊下の入口で、美咲さんと莉奈さんが話していた。
こちらを見ているのかは、分からなかった。
今ここで話したら、明日、勝也くんのいないところで何と言われるだろう。
どうして言ったのかと、また手をつかまれたら。
勝也くんが私を庇ってくれたら、勝也くんにも嫌なことを言うのだろうか。
そんなことになるかは分からない。
でも、分からないからこそ、怖かった。
「富田?」
勝也くんが呼んだ。
私は、ファイルの角を押さえた。
「この前、探すの手伝うって言ってくれて……嬉しかった。ありがとう」
伝えられる方の言葉を、先に出した。
勝也くんは、少し照れたように笑った。
「結局、俺、何も探してないよ」
「でも……言ってくれたから」
「そっか。じゃあ、どういたしまして」
私も、少し笑えた。
話していると、まだ嬉しいと思えた。
勝也くんにそばにいてほしい気持ちは、変わっていなかった。
けれど、今日されたことは言えなかった。
朝の教室で何があったのか、勝也くんは知らない。
ファイルをリュックサックへしまい、背負って立ち上がると、勝也くんも椅子を戻した。
「じゃあ、また明日ね」
「うん。また明日」
明日も話したかった。
でも、明日の教室へ来たいとは、思えなかった。
* * *
部活では、初めに練習する譜面を確かめた。
今日は、周りの人と同じ紙だった。
始めるところにも印をつけてあった。
言われた小節を指で追ってから、クラリネットを構えた。
息を入れる。
初めの音は、少し揺れた。
もう1度吹くと、今度は思っていた音になった。
指を動かし、短いところをつなげる。
できなかったところで止まり、ゆっくり吹き直した。
さっきより滑らかにつながると、少し嬉しかった。
まだ、吹くことは好きだった。
うまくいかなかったところができるようになると、次も吹いてみたくなった。
「じゃあ、そこ、もう1回合わせよう」
先輩が言った。
「……はい……」
顔を上げた時、玲奈さんが視界へ入った。
今は、自分の譜面を見ている。
それなのに、朝の教室を思い出した。
玲奈さんが袋を見つけなかったら、いつまで手をつかまれていただろう。
また別の物がなくなったら、私が隠したと言われるだろうか。
先輩の合図を見て、慌てて楽器を構え直した。
吹き始めるところには間に合った。
でも、さっきできたところで、今度は指が止まった。
練習が足りないのだと思って、次は指をよく見た。
音だけに集中したかった。
ここにいる間だけでも、朝のことを考えずにいたかった。
少し休憩しようと言われ、私は楽器を下ろした。
みんなが話している間、私は膝の上で指を握った。
さっきの練習で疲れたのか、朝につかまれたところが気になるのか、自分でも分からなかった。
時計を見た。
部活が終わるまで、まだ時間があった。
* * *
家へ帰って、リュックサックから体操服の袋を出した。
今日は、ここにある。
朝に自分で入れて、授業で使って、また持って帰ってきた。
ほかの教科書も、筆箱も、なくなっていなかった。
国語のノートもあった。表紙の裏は、開かずに机へ置いた。
今日の国語では、使うページを開いたまま、端を押さえていた。
前の方へ戻ったら、隣の席からもあの字が見えるかもしれなかった。
先生の説明を聞きながら、そんなことまで気にしていた。
私は袋を机へ置き、椅子に座った。
制服の上から、腰の横をそっと押さえた。
ぶつけたところには、まだ少し痛みがあった。
学校では、触らないようにしていた。
もう謝ったと言われたら、そのあとも痛いとは言えなかった。
今は誰も見ていないので、ようやく手を当てられた。
悲しかった。
何もしていないと説明する声より、私がやったと言う声の方が、簡単に通ってしまった。
違うと分かってからも、私の言葉を信じなかったことには、誰も触れなかった。
袋の紐を、指先で整えた。
この前なくなった時は、しまう場所を変えればいいと思った。
自分で確かめて、気をつけていれば、次は大丈夫だと思いたかった。
今日は、そのとおりにした。
袋を机の横へ掛けず、奥へ入れた。
席を離れる時には、何度も口を閉めた。
それでも、怖いことが起きた。
莉奈さんが自分の体操服をどの鞄へ入れたかなんて、私には分からない。
それを忘れた時、私の方を見るかどうかも、私には決められなかった。
明日の時間割を開いた。
体育はなかった。
少しほっとしてから、体操服だけの話ではないのだと気づいた。
なくなる物が筆箱でも、本でも、同じことになるかもしれない。
なくならなくても、昨日のノートみたいに、開くのが嫌になることがある。
返事がうまくできないだけでも、怒られることがある。
明日は何に気をつければいいのだろう。
連絡帳には、持っていく物が書いてあった。
それをそろえることなら、できた。
宿題も、忘れずに入れられる。
私は教科書を順番に重ねた。
明日の準備が終わっても、安心はできなかった。
今回の登場人物
・鵜飼勝也
休日の公園で春樹・翔太と秘密を共有する。学校では優子の体操服を気にかけ、また何かなくなったら探すのを手伝うと伝える。
・富田優子
体操服の紛失やノートへの落書きに続き、身に覚えのない疑いをかけられる。勝也に相談したいと思いながらも、怖くて言い出せない。
・鶴見春樹
戻らないと言っていた公園へ、隠して持ち帰る準備までして戻ってくる。勝也・翔太と鉢合わせし、互いの目的がばれてしまう。
・鳥居翔太
公園へ戻ったところを勝也に見つかり、散歩だと言い訳する。用意のいい2人と違い、拾った本をそのまま手に持って帰る。
・井上綾香
優子を図書室へ誘い、読みかけの本を読んでいてもいいと声をかける。優子が教室に残ると答えると、無理には誘わず出かける。
・戸田美咲
体操服が移動していたという優子の説明を取り合わない。莉奈の体操服が見つからない時も、莉奈とともに優子を責める。
・富永莉奈
自分の体操服がないことを優子の仕返しだと決めつけ、肩を押して手首をつかむ。自分の手提げから見つかると、短い謝罪で済ませる。
・杉浦玲奈
莉奈の別の手提げを指し、体操服が見つかるきっかけを作る。放課後の吹奏楽部の練習にも姿を見せる。
・優子の母(富田美和)
優子が持ち帰った体操服の袋の埃に気づき、洗ってあげる。優子から学校での出来事は打ち明けられていない。
・体育の先生
体操服が見つからないという優子の説明を聞き、その日は見学するよう伝える。授業後に探し、見つからなければ担任へ相談するよう促す。
・体操服を探した女子
優子と一緒に机の周りや床を探す。見つからないまま着替えの時間になり、先生へ相談するよう勧める。
・机を戻した女子
押されてずれた優子の机を、一緒に元の位置へ戻す。優子が疑われるようなことをしていなかったと認め、声をかける。
・吹奏楽部の先輩
優子たちに合奏のやり直しや休憩を指示する。優子は練習に取り組むものの、教室での出来事が頭から離れない。




