第12話 夏の終わり
* * 勝也視点 * *
夏休みが、あと少しになった。
それは分かっていたのに、春樹の部屋で問題集を開くと、まだ白いところがあった。
やったページの間に、やっていないページが挟まっている。難しかったので後回しにして、そのままになっていたところだった。
「勝也、そこ飛ばしてる」
「今、見つけた」
「よかったね。提出する前で」
春樹は、自分のノートを俺の方へ寄せた。
答えが見える向きではなかった。同じような問題を解いたところだけ、別の紙で隠さずに残してある。
「これと同じやり方でできると思う。数字だけ、ちゃんと見て」
「うん」
隣では、翔太が原稿用紙を前に腕を組んでいた。
持ってきたゲーム機は、鞄の上へ置かれている。宿題が終わってから、と春樹に言われたので、まだ触れないらしい。
「翔太は、何が残ってるの」
「作文」
「どこまで書いた?」
春樹が聞くと、翔太は紙の上を指した。
「名前と組」
「それ、まだ書いてないって言うんだよ」
「提出した時、誰のかは分かるだろ」
「誰の白紙か分かっても困るでしょ」
笑ったら、俺の鉛筆まで止まった。
春樹の顔がこちらへ向いたので、慌てて問題へ戻る。
今日は、昼ご飯を食べてから集まった。
宿題が全部終わっている春樹に、残ったところを見てもらう約束だった。
俺は作文の下書きも途中だったけれど、翔太は作文以外なら終わっていると言った。
本当かと思って数学の問題を聞くと、すぐに説明してくれた。
「そこ、先にかけなくてよくね?」
「え?」
「こっちをまとめれば、数字小さくなるじゃん」
翔太は、自分の原稿用紙をよけ、俺のノートの端を指した。
言われたとおりに書くと、さっきまで何度も間違えていた計算が短くなった。
「……できた」
「だろ」
「翔太、これ分かるのに作文は書けないんだね」
「別の話だろ!」
春樹まで笑った。
翔太は俺のノートから手を離し、名前だけ書いた原稿用紙へ戻った。
「何を書けばいいかが分かんねえんだよ。夏休み、いろいろあったけど」
「その、いろいろから選べばいいんじゃない?」
「選んだあと、どう書くんだよ」
「まず、何を選んだか教えて」
春樹に言われ、翔太は少し考えた。
俺はその間に、次の問題へ進んだ。
しばらくすると、部屋の中で鉛筆の音が続くようになった。
冷房の風で、テーブルの隅に置いた紙が少し動く。春樹が筆箱を載せ、俺が飲み終えたコップを端へ寄せた。
こうしていると、宿題はちゃんと進んだ。
家でやっている時も、同じように座っているはずなのに、不思議だった。
俺が時計を見たあとに漫画の背表紙へ目を向けると、その前で春樹の顔が上がった。
「まだ、休憩じゃないよ」
「何も言ってないじゃん」
「次、どれ読むか考えてたでしょ」
当たっていたので、何も言えなかった。
計算を終え、俺も作文の下書きを出した。
夏祭りのあとに、みんなで花火をしたことを書いている。線香花火の玉が落ちたところで、昨日は続きを書くのをやめていた。
「それ、何で落としたんだっけ」
春樹が聞いた。
「春樹の顔見て、笑ったから」
「じゃあ、そこも書けば?」
「どんな顔だったか?」
「違うよ。笑ったこと」
俺は、下書きの続きを書いた。
我慢しても笑い声が出て、手まで揺れたこと。すぐに落ちたので、みんなから早いと言われたこと。
思い出しているうちに、書きたかったことが増えていった。
楽しかったと書くだけでは、どの時のことか分からない。
でも、翔太の声や、真弓に言い返されたことなら、まだよく覚えていた。
「……これで、どう?」
紙を回すと、春樹は最後まで読んだ。
「うん。いいと思う。あと、ここの字」
「あ、ほんとだ」
消して書き直した。
翔太も少し遅れて紙を差し出し、春樹の指すところへ顔を寄せた。
全部の直しが済んだ頃には、最初に入れてもらった麦茶の氷がなくなっていた。
あとは、家で清書をすればいい。
「よし。終わり!」
翔太が伸びをした。
春樹は、まだ清書があるからね、と言ったけれど、今度はゲーム機を取っても止めなかった。
* * *
ゲームを始めようとした時、春樹のお母さんが、麦茶を持ってきてくれた。
「進んだ?」
「うん。あとは清書だけ」
俺が答えると、お母さんは、よかったね、と笑った。
コップへ麦茶を足してから、ふと思い出したように俺を見た。
「そういえば、勝也くん。この前、駅にいたでしょう。綺麗な女の子と」
翔太の指が止まった。
「駅ですか?」
「うん。春樹と買い物に行った時。仲よさそうだったから、声をかけなかったんだけど」
俺は春樹を見た。
春樹も、見たよ、と頷いた。
「ああ。部活の先輩です」
「やっぱり、年上の子だったのね」
「1つ上です。茶道部の、2年生の先輩で」
「そう。楽しそうだったから、よかったなと思って」
お母さんは、清書も忘れないでねと言い、部屋を出ていった。
俺はコップを持ち上げた。
その前に、翔太がゲーム機を閉じた。
「勝也」
「何」
「お前、彼女できたら言うって約束したよな」
麦茶を飲めなかった。
「できてないよ」
「今、聞いたぞ」
「先輩と出かけたって話でしょ」
「2人で?」
「うん」
「それを、彼女できたって言うんじゃねえの!?」
春樹が、声、と言った。
翔太は少しだけ声を落としたけれど、俺へ寄ってきた距離は戻らなかった。
「付き合ってないよ。お店で甘い物食べて、本屋とか寄っただけ」
「デートじゃん!」
「出かけたことと、付き合ってるかどうかは別でしょ」
春樹が言った。
翔太は、今度は春樹へ顔を向けた。
「お前、見たのに黙ってたの?」
「勝也が出かけるたびに、翔太へ教えるわけじゃないから」
「そういうことじゃなくて!」
何が違うのか、俺にも分からなかった。
とりあえず麦茶を飲む。まだ冷たかった。
「どんな人?」
「どんなって」
「写真とか、ないの」
聞かれ、携帯を出した。
あの日、食べる前に撮った写真を開く。
ワッフルとパフェの向こうに、白いブラウスを着た先輩が写っていた。
「これ。山崎先輩」
俺が持ったまま画面を見せると、翔太は黙った。
春樹が横から覗き、うん、この人、と言った。
「……この人、うちの学校?」
「そうだよ」
「本当に、2年?」
「何で、そこ疑うの」
翔太はもう少し画面へ近づいた。
さっきまで、あんなに大きかった声が出てこない。
俺も写真を見ると、先輩と向かい合って座っていた時のことを思い出して、少し照れくさくなった。
「何で、出かけることになったんだよ」
「部活で話してて、誘ってもらって」
「先輩から?」
「うん」
翔太は、両手を膝へ置いた。
「俺が、うちでそうめん食ってる間に……」
「その日、そうめんだったか分かんないでしょ」
春樹が言った。
「うち、結構そうめん出るんだよ」
「そうめんの話じゃないと思うけど」
俺は笑ってしまった。
翔太がこちらを見たので、携帯を閉じた。
「笑うなよ。何の話したら、そんなことになるんだよ」
「彼女ができたら、どこへ行きたいかとか。そういう話だったと思う」
「お前、何て答えた?」
「向こうが行きたいところなら、俺も行ってみたいって」
「……それでいいの?」
翔太が春樹を見た。
春樹は、俺に聞かれても、と答えた。
先輩たちに聞かれたことを、思い出せるところだけ話した。
好きな人に笑っていてほしいこと。自分がされて嫌なら、彼女がいる時にほかの女子と2人では出かけないと思うこと。
同じことを友達の前で言うのも、やっぱり少し恥ずかしかった。
「俺だって、彼女には笑っててほしいけど」
「うん」
「俺も、そういう話をする機会があれば……」
「今、してるね」
「お前らに話して、どうすんだよ!」
春樹がまた、声、と言った。
「それで、付き合おうとかは、言われてないの?」
今度は春樹が聞いた。
俺は少し考え、先輩が駅で話したことを思い出した。
「今すぐ、付き合おうとは言われてないよ。彼女が欲しくなったら、声掛けてって」
翔太の口が開いた。
「……言われてんじゃん!」
「だから、その時、先輩に彼氏がいなくて、俺も先輩と付き合いたいと思ったらって」
「何が違うんだよ!」
「今は、付き合ってないところ」
俺が答えると、春樹は頷いた。
翔太だけは、まだ納得していない顔だった。
「もっと話してみたいって言ってくれたんだよ。付き合ってから好きになることもあるって」
「じゃあ、勝也は?」
「俺は、まだ……よく分かんない」
好きな人を思い浮かべるなら、誰になるのだろう。
あのお店で、優子の隣を歩くことを考えた。
先輩と手を繋ぐことも、考えた。
けれど、想像した時に嬉しかったから、すぐに誰かへ付き合ってほしいと言えるわけではなかった。
翔太と春樹まで思い浮かべたことは、今は黙っておいた。
そこまで話すと、また別の騒ぎになりそうだった。
「でも、先輩とは、また遊びたいと思ったよ。本とか、アニメの話もできるし」
「まだ、ほかにも会ってんの?」
「この前、家でアニメ見た。先輩のお母さんもいたから、居間で」
翔太が、ゆっくり前へ倒れた。
額がテーブルへつきそうになっていた。
「……お母さんにまで、会ってんのかよ」
「俺たちも、今、春樹のお母さんに会ってるけど」
「その会い方と、違うだろ……」
少し気の毒になった。
でも、何を言えば慰めになるのか、俺には分からなかった。
「先輩の前では、ちゃんとした顔してんだろうな」
翔太が、下を向いたまま言った。
「普通にしてるよ」
「俺らと一緒に、エロ本拾いに戻ったくせに」
「翔太、声!」
春樹と俺の声が重なった。
間に合わなかった。
廊下から、足音が近づいてきた。
「……何を拾ったの?」
春樹のお母さんが、入口から顔を出した。
俺たちは同時に黙った。
翔太が、しまったという顔で俺を見た。俺を見られても、今の言葉は取り消せなかった。
「その、落ちてて……」
「持って帰ったの?」
翔太が、小さく頷いた。
お母さんの目が春樹へ動く。春樹は、テーブルの上の原稿用紙を見ていた。
「廊下まで、丸聞こえよ。そんなに大きな声で話さないの」
「……はい」
3人で答えた。
お母さんはそれ以上聞かず、清書も今日のうちにね、と言って戻っていった。
しばらく、誰も喋らなかった。
春樹が、長く息を吐いた。
「俺、今日、ここで夕飯食べるんだけど」
「……ごめん」
翔太の謝り方が素直だったので、笑いそうになった。
笑ったら俺も怒られると思い、コップを持った。
結局、遊ぶ時間はほとんどなくなった。
帰る支度を始めると、翔太が鞄を持ったまま俺へ寄ってきた。
「なあ。その先輩、紹介してくれない?」
「会って、何話すの」
「お茶、おいしいですね、とか」
「飲んでないじゃん」
春樹が、もう1度ため息をついた。
「先輩がいいって言ったらね。勝手には連れていけないから」
「うん。聞いといて」
「あんまり期待しないでよ」
翔太は頷いた。
けれど、その顔は、もう会えると思っているように見えた。
* * *
数日後、夏休み最後の部活の日になった。
その日までに、翔太からは何度も、先輩には聞いたかと言われた。
ゲームを始める前も、帰る時も聞かれた。
俺はそのたびに、まだ、と答えていた。
その日の茶道部は、学校の近くにある老人ホームへ行く予定だった。
お茶を点てるのは先輩たちで、俺は荷物運びと準備、それから茶碗を運んだり下げたりする係だった。
「鵜飼くん、その箱、お願い」
「はい」
部長に言われ、茶碗の入った箱を台車へ載せた。
隣に、お盆を重ねた箱が置かれる。持ってきたのは、山崎先輩だった。
「今日は、飲む方はお客さんにお願いできるね」
「お腹、たぷたぷにならずに済みます」
「その代わり、腕が疲れるかも」
先輩の言ったとおりになった。
着いてから箱を運び、茶菓子のお皿を並べ、出来上がったお茶を席へ届ける。
茶碗が空く前に次を飲むように言われることはなかったけれど、座っている時間もほとんどなかった。
「これ、あんたが点てたのかね」
お茶を置くと、おじいさんに聞かれた。
「いえ。あちらの先輩です。俺は、運んできただけで」
「そうか。じゃあ、運んでくれた方に、ありがとうだ」
嬉しかった。
お盆を持って戻りながら、つい笑ってしまった。
山崎先輩へ、さっきの人がおいしいと言っていたことも伝えた。
先輩は、よかった、と笑った。
俺が飲んだ時も、そうやって喜んでもらっていたのかもしれない。
休憩になって水を飲んでいる時、ようやく、翔太のことを切り出した。
「俺の友達が、先輩に会ってみたいって言ってるんですけど」
「お祭りに一緒に行った子?」
「はい。バスケ部の、鳥居翔太っていう子です」
駅で見られていたことと、その話を聞いた翔太が、俺に彼女ができたと思ったことを話した。
会うたび紹介してと言われるので困っていると伝えたら、先輩は口元を押さえた。
「そんなに?」
「はい。俺がうちでそうめん食ってる間に、って」
「そうめん?」
そこまで話すつもりはなかったのに、先輩が不思議そうにするので説明した。
お昼ご飯は関係ないよね、と言いながら、先輩は笑った。
「いいよ。私も、会ってみたくなった」
「本当ですか」
「うん。今日も、学校にいるの?」
「午前中、部活だって言ってました。12時までって」
「じゃあ、私たちと同じだね。片づけのあと、少しなら大丈夫だよ」
帰ったら、また聞かれるところだった。
俺は、学校へ戻ったら伝えてきます、と答えた。
そのあともお茶を運び、終わったら道具を拭いて箱へ戻した。
施設の人から分けてもらったカステラを食べる頃には、腕が本当に疲れていた。
「ちゃんと、食べる方もするんだね」
山崎先輩が言った。
「もらったので」
「うん。そこは、いつも通り」
俺も笑って、残りを食べた。
外へ出ると、朝より日差しが強かった。
学校へ戻ってから、部長に断り、体育館へ行った。
練習の合間に声をかけ、今日、先輩が会ってくれると伝える。
「……今日?」
「うん。部活のあと」
「あの写真の人?」
「ほかの人を紹介してどうするの」
翔太はタオルで顔を拭いた。
何日も言われていたのに、いざ決まると、俺が急に思いついたような顔をされる。
「校門で待ってて。こっちも、片づけが終わったら行くから」
「分かった。……なあ、髪、変じゃない?」
「まだ練習するんでしょ」
翔太は、ああ、と言ってコートへ戻った。
これで、ようやく紹介してと言われなくなる。
部室へ歩きながら、その時は、そう思っていた。
* * *
校門にいた翔太は、背筋を伸ばして待っていた。
髪が整っていた。
シャツの襟も直し、鞄の持ち手を揃えている。
俺を見つけても、いつものように大きく手を振らなかった。
「……あの子?」
山崎先輩に聞かれ、頷いた。
翔太はこちらへ少し顎を引き、薄く笑った。
「待った?」
「いや。今、来たところ」
声が低かった。
さっき体育館で聞いた声と違いすぎて、俺は思わず、翔太の喉を見た。
「山崎先輩。友達の、鳥居翔太です」
「1年の鳥居です。今日は、お時間をいただいて、ありがとうございます」
俺は道の向こうを見た。
翔太の顔を見ていたら、紹介を最後までできない気がした。
「山崎詩織です。よろしくね。そんなにかしこまらなくて大丈夫だよ」
「はい。よろしくお願いします」
まだ、低い声だった。
先輩が暑いから移動しようと言い、近くの公園へ向かうことになった。
歩き出すと、翔太が俺の腕を軽くつついた。
「笑うなよ」
「今の声で話してよ」
「うるせえ」
そこだけ、いつもの翔太だった。
木陰のベンチへ着くと、先輩を真ん中にして、俺たちも座った。
ほかには誰もいなかった。
翔太は膝に鞄を載せ、先輩へ顔を向けた。
「こいつが、いつもお世話になってます」
「……お前、何の立場なの」
笑う代わりに、声が出た。
「友達として、お礼言ってんだろ」
「こちらこそ。鵜飼くんには、荷物を運んでもらったりして、助かってるよ」
先輩が答えると、翔太はゆっくり頷いた。
「それで、山崎さん」
「先輩は?」
「山崎先輩。その、うちの勝也とは、どういったご関係で?」
「うちの勝也って、何だよ」
先輩の肩が揺れた。
翔太は、まだ真面目な顔をしていた。
「同じ部活の、先輩と後輩だよ」
「それは、伺ってます」
「俺が言ったんだろ」
「今日は、先輩に聞いてるんだよ」
俺は膝へ目を落とした。
何もおかしくない顔をしようとしているのに、勝手に口元が緩む。
「2人で、お出かけになったとか」
「うん。お店に行って、本屋にも寄ったよ」
「お誘いは、どちらから?」
「私から。部活で話していて、もう少し話してみたいなと思って」
翔太が俺を見た。
だから、そう言ったじゃん、と目だけで返した。
「それで、うちの子の、どういうところがよかったんでしょうか」
「うちの子にまでなった!」
先輩が、とうとう顔を伏せた。
「鳥居くん、お父さんみたい」
「大事な友達なので」
「同い年だよ。俺たち」
その言葉だけなら、嬉しいはずだった。
でも、今の翔太は、テレビで見る結婚の挨拶を受ける父親みたいだった。
それだと、俺は隣に座っている娘なのだろうか。
「何で俺、嫁に出される方になってるんだよ」
「そこまでは、言ってねえだろ」
先輩が顔を上げた。
笑いすぎたのか、目元が少し濡れていた。
「話を聞いてくれるし、一緒にいて楽しいところかな。行きたいところの話をしたら、行ってみようって言ってくれるし」
「そうでしょう。昔から、そういう子なんです」
「育てたみたいに言うなよ」
我慢できずに笑った。
翔太は俺を睨んだあと、先輩へ向き直った。
「でも、俺だって、行きたいって言われたら行きますよ」
「今、お父さんの話はしてないよ」
「お父さんじゃねえよ!」
いつもの声が出た。
先輩まで笑うので、俺もなかなか止まらなかった。
「……それで、確認してもいいですか」
翔太が、鞄の持ち手を握り直した。
「勝也に、彼女が欲しくなったら声を掛けてって。本当に、言ったんですか」
先輩が俺を見た。
俺は少し頭を下げた。
「話してたら、そこまで聞かれて」
「うん。どうやって聞かれたのか、今、分かった」
先輩は翔太へ頷いた。
「言ったよ。その時に私に彼氏がいなくて、鵜飼くんも私と付き合ってみたいと思ったら、また話そうって」
翔太は黙った。
しばらくして、俺を見た。
「本当だった……」
「まだ疑ってたの?」
「99%は信じてたけど、残りの1%で、話を盛ってる可能性が」
「それで、何日も聞いてたんだ」
翔太は鞄へ目を落とした。
「……盛っててほしかった」
「疑ってたんじゃなくて、願ってたんだね」
先輩が口元を押さえた。
俺は、会ってもらえば落ち着くと思っていたことを、少し後悔し始めていた。
「じゃあ、勝也のこと、彼氏にするのは、ありなんですか」
翔太が聞いた。
先輩は俺をちらりと見てから、翔太の方へ身を寄せた。
口元へ手を添え、翔太の耳元で何か囁く。
最初は、短い返事だったように見えた。
それから、もう少し言葉を続ける。
俺には、どちらも聞こえなかった。
翔太の目が、少しずつ大きくなった。
先輩が体を戻しても、その顔のまま俺を見ている。
「……何?」
聞いたけれど、返事はなかった。
先輩を見ると、口元を緩め、唇の前へ人差し指を立てた。
俺の話をしているはずなのに、俺だけ分からない。
翔太が、鞄をベンチへ置いて立ち上がった。
俺と先輩を見て、何か言おうと口を開く。
「……何で、勝也ばっかりなんだよ……」
そこで、膝が折れた。
そのまま地面へ両膝をつき、前へ倒れるように両手もつく。
頭ががっくりと下がった。
「ずるいだろ……そんなの……」
「俺に言われても」
ベンチの前で丸くなった背中を見た。
何を言われたのかも分からないまま、ずるいと言われても困った。
さっきまで俺の父親みたいな顔をしていたのに、今は顔すら上がらない。
先輩が、今、付き合うって決まったわけじゃないからね、と言った。
翔太は地面へ向かって、分かってます、と答えた。
分かっていても、そこから動けないらしかった。
「お前、よかったな」
「全然、よかったって思ってない声だけど」
「祝福しようとしてんだよ。ちょっと待て」
「だから、付き合ってないんだって」
翔太はしばらくそのままでいたが、やがて体を起こした。
立ち上がって手と膝についた土を払い、ようやくベンチへ戻ってくる。
鞄を膝へ載せ直しても、背中は丸まったままだった。
先輩が、また笑い始めた。
翔太も、どう言えばいいか分からなくなったのか、両手で髪を押さえている。
「先輩、笑わないでくださいよ。俺、結構真剣なんです」
「ごめんね。でも、鵜飼くんが困ってたの、よく分かった」
「俺のこと、何て話したんだよ」
「紹介してって、何度も言われるって。あと、そうめんとか」
「うちの昼飯まで、話す必要あった!?」
先輩が片手で顔を隠した。
俺まで笑ってしまい、うまく返せなかった。
「詩織、あの、ちょっと待って」
言ってから気づいた。
「ん? 何、勝也くん」
すぐに返ってきた。
翔太が動かなくなった。
「……詩織?」
先輩が、楽しそうに俺を見た。
俺は、今さら言い直しても遅いと思いながら、山崎先輩、と付け足した。
「呼び捨てだったよな。先輩も、勝也くんって」
「一緒に出かけた時、名前で呼んでほしいって、私が頼んだの」
「先輩から!?」
「もう、その聞き方、何回目なの」
翔太が、また俺を見た。
「お前、そういうのは言っとけよ!」
「呼び方まで、全部話すと思わないじゃん。学校では先輩って呼んでるし、外でも、普段は詩織さんで……」
説明するほど、話を増やしている気がした。
先輩は、そうだね、と頷いた。
「詩織でいいよって言っても、さんがつくんだよね。勝也くん」
最後の名前が、はっきり聞こえた。
翔太が先輩を見た。
「先輩、今、面白がってませんか」
「……ちょっと」
「俺、いっぱいいっぱいなんですけど!」
先輩は、ごめんねと言い、ようやく笑いを収めた。
俺も息を吐いた。
紹介しただけなのに、部活の荷物運びとは違うところが疲れていた。
* * *
「先輩のお友達で、彼氏が欲しいって言ってる方とかは……」
少し静かになったと思ったら、翔太が聞いた。
途中から、低い声へ戻そうとしていた。
「その声、まだ出せたんだ」
「大事なところだから、黙っててくれ!」
先輩が瞬きをして、それから頷いた。
「もしかして、そっちも考えてたの?」
「……はい」
なるほど、と思った。
会う前に髪や襟を直していた理由が、少し分かった。
「だから、ちゃんとしてたんだ」
「最初に、この子ならって思ってもらえたら、紹介してもらえるかもしれないだろ」
「それで、何で俺の父親になったの」
翔太は黙った。
先輩の肩が、また少し揺れた。
「今、ここで紹介できる子がいるよとは言えないの。その子の気持ちもあるし、鳥居くんとも今日、初めて話したところだから」
「……そうですよね」
翔太は鞄の持ち手から、手を離した。
さっきまでは、すぐに別の質問をしていたのに、今度は続かなかった。
「俺も、自分のこと好きになってくれる人、欲しいんですよ」
声が小さかった。
俺は、何か言いかけて口を閉じた。
「一緒に行こうって、言われたいし。俺といると楽しいって、思ってもらいたいです」
先輩も、笑わなかった。
膝へ置いた鞄を直し、翔太の方へ体を向けた。
「うん。勝也くんの話を聞いて、羨ましかったんだね」
「はい。かなり」
「今、気になる子はいる?」
「かわいいなって思う子はいますけど、誰か1人っていうのは、まだ」
翔太の返事は、いつもよりゆっくりだった。
彼女が欲しいとは何度も聞いていたけれど、今みたいな声で言うところは、あまり見たことがなかった。
「どうしたら絶対にできる、とは言えないけど。まずは、話してみたいなと思った子と、少しずつ話してみたら?」
「普通に、ですか」
「うん。その子もまた話したそうだったら、次に会った時も。鳥居くんの方も、もっと一緒にいたいなって思うかもしれないし」
「俺、変なことまで言いそうで」
翔太が俺を見た。
黙っていたら、今、そう思っただろ、と言われた。
「……ちょっと。でも、俺は翔太と喋るの、面白いよ」
「お前と女の子は違うだろ」
「それは、そうだけど。ゲームしてない時でも笑うし、お菓子作った時の話とかも、面白いじゃん」
先輩が顔を上げた。
「お菓子、作るの?」
「時々です。クッキーとか」
「へえ。どんなの作るの?」
翔太は少し迷ってから、焼いた時の話をした。
同じくらいに分けたつもりでも、1枚だけ大きくなって、そこだけ焼けるのが遅くなったらしい。
形を説明する時には、鞄から両手が離れた。
「ほかのと一緒に取ろうとしたら、真ん中で折れちゃって」
「じゃあ、大きいのだけ、もう少し焼いたんだ」
「はい。ちょっとずつ見ながら」
翔太の声は、普通に戻っていた。
先輩が続きを聞くと、すぐに答えていた。
「今の話、楽しかったよ。鳥居くんが普段何してるのか、最初より分かったし」
「こういうので、いいんですか」
「うん。私がどんなお菓子を好きか聞いてくれても、そこから話せるでしょ」
翔太は少し考えて、頷いた。
先輩は、すぐに誰かを紹介するとも、彼女ができるとも言わなかった。
それでも、翔太の話を最後まで聞いてくれた。
会ってもらってよかったと思った。
最初は、俺に何度も聞かれるのが困るからだった。
でも、翔太がさっきのことを俺だけに聞いていたら、こんなふうには答えられなかった気がする。
「ありがとうございました。ちゃんと聞いてもらって」
翔太が頭を下げた。
最初の挨拶より、ずっと普通だった。
「また学校で会ったら、話そうね。バスケの話も聞きたいな」
「はい」
今度は、その返事だけで終わった。
帰ることになって立ち上がると、急にお腹が空いているのに気づいた。
カステラを食べたのは、もうだいぶ前だった。
公園の出口で先輩と別れ、翔太と2人で歩き出した。
「……何か、負けた気がする」
「何に?」
「分かんないけど」
翔太は下を向いていた。
告白したわけでも、断られたわけでもないのに、大きな試合に負けた時みたいだった。
「紹介してくれたのは、ありがとな」
「うん」
「綺麗な人だったな。話も、ちゃんと聞いてくれたし」
俺も頷いた。
そのまま、しばらく歩いた。
「……茶道部、入ればよかった」
「バスケ、好きなんでしょ」
「好きだけど。それとは、別で」
「毎回あの声で挨拶してたら、大変そうだね」
「毎回は、やらねえよ!」
俺が笑うと、翔太も少し笑った。
直していた襟へ指を入れ、息を吐く。
「結構、喉、疲れた」
「練習のあとに、何やってるんだよ」
また笑った。
ようやく、いつもの帰り道になった。
* * *
家へ帰り、昼ご飯を食べ終えた頃、山崎先輩からメールが来た。
『今日は紹介してくれてありがとう。鳥居くん、楽しい子だね。帰りは大丈夫だった?』
俺は、会えてよかったと喜んでいたことを返した。
そのあとも羨ましいと言っていたことは、少しだけ書いた。
返事には、クッキーの話が面白かったと書いてあった。
また学校で話そうと伝えてね、と続いていた。
『次は、いつもの声で大丈夫だから(笑)』
そこまで読んで、声が出た。
次に翔太へ会った時に伝えよう。
何て言ってた、ほかには、と聞かれそうだったけれど、今度はちゃんと教えてやりたかった。
携帯を閉じ、机の上を片づけた。
宿題の問題集と、清書を終えた作文が重なっている。
残っている物がないか確かめても、もう、やらなければいけないページはなかった。
部活も、宿題も終わった。
休みの残りに、もう少し遊べる。
学校が始まったら、また公園で待ち合わせて、5人で歩いていく。
翔太が今日の話を始めるかもしれない。春樹が聞いたら、どこで笑うだろう。
最初の低い声だけで、もう駄目な気がした。
そう考えてから、教室にいる優子の顔も浮かんだ。
部活を辞めて、時間に余裕ができたと言っていた。
夏休みは、好きな本をゆっくり読めただろうか。
また話せるなら、何を読んだか聞いてみたかった。
俺も、先輩から借りた本の話ができる。
同じ本を読んでいなくても、雨の日に公園で話した時みたいに、そこから別の話になるかもしれない。
机の横へリュックサックを置いた。
まだ暑いけれど、次に学校へ行く時には8月ではなくなっている。
休みが終わるのは、惜しかった。
それでも、また会えば話せることを考えるのは、嫌ではなかった。
* * 優子視点 * *
夏休み最後の日、午後になってから『ARIA』を開いた。
宿題は、もう終わっていた。
持っていく物も、机の端へ並べてある。
だから、夕方までは好きなことをしていてよかった。
ベッドへ座り、続きを読んだ。
前に笑ったところで、今日も少し笑った。
けれど、ページの端へかけた指が止まると、壁の時計を見てしまった。
あと少しで夕方になる。
夕飯を食べて、お風呂に入って、寝たら、明日だった。
膝の上で本を開いたまま、足を引き寄せた。
学校へ行くことを考えると、お腹の奥が固くなった。
休みの間、家では漫画を読んだり、ゲームをしたりできた。
お母さんとテレビを見て、笑った日もあった。
楽しいと思えた時まで、全部なくなったわけではない。
でも、同じ部屋で同じ本を読んでいるのに、今日は、明日のことが何度も割り込んできた。
教室の入口。
私の席の近くにいる、美咲さんたち。
リュックサックを机へ掛ける時、誰が後ろを通るのか。
まだ起きていないことまで、考えてしまった。
休みが長かったから、もう私のことは気にしていないかもしれない。
そんなふうにも考えたかった。
けれど、忘れていてくれると思うだけでは、席へ座ったあとの怖さがなくならなかった。
本を閉じ、机の方を見た。
横に掛けた手提げ袋の中には、勝也くんの折り畳み傘がある。
明日、返せる。
そう思うと、会いたい気持ちが、すぐに出てきた。
勝也くんの顔を見たい。声を聞きたい。
おはよう、と、いつものように笑ってほしかった。
それだけで、きっと嬉しくなる。
私は、あの人のことが好きだった。
また同じ学校へ通えるようになったことを、今でも嬉しいと思っていた。
でも、勝也くんがいるから、学校に行くのも平気だとは思えなかった。
好きな人に会いたいと思うたびに、教室へ入らなければいけないことも思い出す。
学校が始まるのを楽しみにできない自分が、少し悲しかった。
勝也くんと話したい気持ちまで、弱くなったわけではないのに。
傘の袋へ、指先で触れた。
壊れた日傘を届けてくれた日、晴れているのに貸してくれた。
帰る時に日傘がない私を見て、必要だと気づいてくれたことが嬉しかった。
助かったよ。
貸してくれて、ありがとう。
返す時は、顔を見て言いたかった。
下を向いたまま、小さく頷くだけで終わりたくなかった。
声に出そうとして、やめた。
練習しているところをお母さんに聞かれたら、恥ずかしい。
誰もいないのに、少し頬が熱くなった。
* * *
夕方、お母さんが制服を持ってきてくれた。
「ここに掛けておくね」
「うん。ありがとう」
お母さんはハンガーを掛け、机の上を見た。
問題集と作文を重ねた横に、始業式の持ち物を書いた紙が置いてある。
「忘れ物、なさそう?」
「うん。これから、鞄に入れるところ」
「消しゴムとか、大丈夫? 小さくなってない?」
「まだ使えるよ」
開いて見せると、お母さんは、うん、と頷いた。
新しい物を欲しいと言えば、買ってもらえる。
でも、ちゃんとここにある物は、そのまま使いたかった。
お母さんが出ていってから、リュックサックを椅子へ載せた。
ファスナーを全部開け、底へ手を入れる。
乾いていた。
分かっていても、指を抜く前に、もう1度、隅まで触った。
中を濡らされた時の、重たい感じを覚えている。
持ち上げた教材から水が落ちたことも、指で離そうとして紙が貼りついたことも。
あの時、お母さんには、自分で水をこぼしたと言った。
家では、誰も濡らさない。
ここに置いている間は、大丈夫だった。
問題集を入れ、作文は折れないようにファイルへ挟んだ。
持ち物の紙を見て、入れた物へ印をつける。
順番に確かめれば、忘れ物は減らせる。
けれど、なくならないようにするには、どうすればいいのか分からなかった。
机の引き出しを開けると、端が波打ったノートが見えた。
国語のノートも、その下にある。
何が書かれているか分かっていたので、表紙は開かなかった。
明日必要な物ではない。
そう確かめて、引き出しを閉めた。
休みが明ければ、また授業で使う日が来る。
今は、その日のことまで考えられなかった。
最後に、勝也くんの傘を見た。
手提げ袋へ入れたまま、リュックサックの隣へ置く。
学校へ持っていくのが、急に怖くなった。
借りた物まで、なくなったら。
私の物と同じように、どこかへ隠されたら。
自分のノートを入れた時より、強く袋の持ち手を握った。
朝、勝也くんに会ったら、先に渡そうと思った。
それまでは、自分で持っていればいい。
机へ掛けたまま、離れないようにしよう。
そこまで決めると、少しだけ息を吐けた。
夕飯に呼ばれて、部屋を出た。
食卓では、お父さんがお茶を飲んでいた。
「宿題、全部できた?」
「うん。鞄にも入れたよ」
「そうか。頑張ったね」
頷いて、席へ座った。
お母さんが、明日の朝はいつもの時間でいいのね、と聞いた。
私は、うん、と答えた。
ご飯を食べながら、テレビの話もした。
聞かれたことには答えられたし、お母さんが言い間違えた時には笑った。
その間も、椅子の下で足の指へ力が入っていた。
もう少し、家にいたい。
言えたらいいのにと思った。
でも、お父さんが何かあったのかと顔を向けるところを想像したら、次に何を話せばいいか分からなくなった。
部活のことだけではない。日傘のことだけでもない。
自分で水をこぼしたという話も、違うと言わなければいけなかった。
どうして今まで言わなかったのか、自分でも、短くは説明できなかった。
心配をかけたくない気持ちもあった。
何をされたのか話しているうちに、泣いて、言葉が出なくなるのも怖かった。
「優子、お茶、もう少し飲む?」
「うん。少しだけ、お願い」
お母さんが、湯飲みへ注いでくれた。
ありがとうと答え、両手で持った。
いつもの夕飯を、そのまま終わらせたかった。
お母さんもお父さんもいる、この部屋でもう少し座っていたかった。
* * *
寝る前に、目覚ましを合わせた。
長い休みの間に、少し遅くまで寝ていた日もあった。
明日は、その時間では間に合わない。
針を確かめてから、ベッドのそばへ置いた。
持っていく物は、全部揃っている。
制服も掛かっている。
机の横には、リュックサックと、傘の入った袋が並んでいた。
布団へ入る前に、もう1度だけ傘の袋を開けた。
返す物が、ちゃんとそこにあることを見てから閉じる。
勝也くんは、どんな夏休みを過ごしたのだろう。
春樹くんたちと遊んだり、部活へ行ったりしたのだと思う。
面白かったことを聞けたら、私も一緒に笑いたい。
公園で雨宿りをした時、眼鏡の話をしてくれた。
翔太くんと春樹くんが掛けているから、自分も買ってもらったのだと言っていた。
その理由がおかしくて、笑った。
笑ってから顔を見ると、勝也くんも笑っていた。
明日も、そんなふうに話せたら。
暗い部屋で、少しだけ口元が緩んだ。
けれど、そのあとに、美咲さんの声まで思い出した。
教室では、勝也くんと2人で座っているわけではなかった。
横を向き、布団を肩まで引いた。
今は家にいる。誰も入ってこない。
そう考えても、胸の辺りが落ち着かなかった。
勝也くんには、会いたい。
学校へは、行きたくない。
どちらも、本当だった。
会えた時に嬉しくなる自分も、教室の前で足が止まりそうになる自分も、想像できた。
目を閉じてから、また開いた。
暗さに慣れると、お母さんが掛けてくれた制服が見えた。
明日のおはようだけでも、ちゃんと返せたらいい。
そう思いながら、もう1度目を閉じた。
眠ってしまえば朝になることが、今夜は怖かった。
今回の登場人物
・鵜飼勝也
春樹たちと残った宿題を進め、茶道部では老人ホームを訪問する。翔太の頼みを受けて詩織を紹介し、2人のやり取りに振り回される。
・富田優子
新学期の支度を整え、勝也へ傘を返す準備をする。勝也に会いたい気持ちと、教室へ戻る怖さを抱えて夏休み最後の夜を迎える。
・鶴見春樹
自宅で勝也と翔太の宿題を手伝い、脱線する2人を落ち着かせる。勝也と詩織の外出についても、交際とは別だと冷静に受け止める。
・鳥居翔太
勝也と詩織の関係を羨ましがり、紹介を頼み込む。対面では格好をつけて空回りするが、最後には自分も好かれたいという本音を話す。
・山崎詩織
勝也から翔太を紹介され、父親のような質問に大笑いする。翔太の真剣な相談には丁寧に向き合い、自然に会話を重ねることを勧める。
・優子の母(富田美和)
優子の制服を用意し、新学期の持ち物を一緒に確かめる。学校への恐怖を打ち明けられない優子に、普段どおり温かく接する。
・優子の父(富田泰臣)
夕食の席で宿題の進み具合を尋ねる。宿題も登校の準備も済ませた優子に、頑張ったねと声をかける。
・春樹の母
3人に麦茶を出し、駅で勝也と詩織を見かけたことを話す。翔太が大声で秘密を漏らした際には、廊下まで聞こえていると注意する。
・茶道部の部長と先輩たち
老人ホームを訪問してお茶を振る舞う。勝也には道具の運搬や準備、配膳、片づけを任せる。
・老人ホームのおじいさん
お茶を運んできた勝也に、本人が点てたのかと尋ねる。先輩が点てたと聞くと、運んでくれた勝也にも感謝を伝える。




