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永遠の残滓  作者: Mateo
78/86

第78章:彼らが求めるもの

香澄が最初の負傷者を見つけたのは、倉庫区画へ到着する前だった。

男は柱にもたれ、片手で脇腹を押さえ、もう片方の手ではまだ武器を握っていた。

香澄と共に進んでいたベテランの一人が、すぐにしゃがみ込む。

「動けるか?」

男は頷いた。

ただ、その動作には妙に時間がかかった。

「はい」

香澄は足を止めなかった。

廊下を見る。

壁には戦闘の痕跡。

片方の蝶番から外れた扉。

床にはいくつもの黒い跡が残っている。

だが、残滓の姿はない。

「何体?」

香澄が尋ねた。

負傷した狩人が顔を上げる。

「六体です」

「六体とも、こっちへ?」

「いえ」

苦しそうに息を吸う。

「二体は残りました」

香澄は歩みを少し緩めた。

「残りの四体は?」

男は奥を指した。

「そのまま行きました」

ベテランの一人が眉をひそめる。

「お前たちを殺そうともせずに?」

負傷者は小さく笑った。

だが、すぐ痛みに顔を歪める。

「残った二体は、ちゃんと殺す気でしたよ」

香澄はもう一度、廊下を見る。

「でも、他の四体は違った」

「こっちを見もしませんでした」

香澄の表情は変わらない。

この経路を追い始めてから、同じような交戦地点を三つ見つけていた。

どこでも同じだった。

一部の残滓が戦う。

残りは、そのまま進み続ける。

撤退ではない。

行き当たりばったりの侵入でもない。

奴らは、行き先を知っている。

「医療班まで運んで」

香澄が指示する。

ベテランの一人が負傷者のそばに残った。

香澄は残る四人と共に先へ進む。

右隣を歩く男が、壁の傷跡を見た。

「俺たちを無視してるのか」

香澄は首を横に振った。

「違う」

腰に留めていた扇子を一本抜く。

金属製の骨が、乾いた音を立てて開いた。

「私たちより欲しいものがあるだけ」

________________________________________

内部倉庫区画はいくつかの区域に分かれていた。

最初の区域には、日常的に使用する装備品が保管されている。

武器。

封印具。

拘束用の資材。

現場任務で使う道具。

その奥にある第二区域は、さらに入室制限が厳しい。

資料。

汚染区域から回収された物品。

残滓と関わりのある集団から押収した品。

そして、特別な監視を必要とする危険物。

さらに、その先。

第三層が存在する。

香澄は、その存在自体は知っていた。

だが、自由に出入りできる許可を持っていたことはない。

それでも、そこに間違った相手の手へ渡してはいけないものが置かれていることくらいは分かっていた。

最初の検問所に着くと、扉は破壊されていた。

開いていたのではない。

壊されていた。

警備システムは、まだ赤い警告灯を断続的に点滅させている。

ベテランの一人が操作盤を確認した。

「壊されたのは最近だ」

香澄は金属部分の端へ近づく。

深い切断痕が一つ。

その下に、もう一つ。

周囲には複数の衝撃痕も残っている。

「偶然ここに入ったわけじゃない」

内部から音がした。

何かが床を擦る。

香澄が片手を上げる。

全員が止まった。

開口部から、一体の残滓が現れた。

続いて、もう一体。

最初の残滓は、脚に対して胴体が異様に大きい。

二体目は、骨の塊のようなものへ変形した片腕を引きずっている。

この区画を進み続けていた個体とは違う。

香澄は姿を見た瞬間に理解した。

こいつらは、待っていた。

最初の残滓が突進する。

香澄が扇子を振った。

金属の縁から魔力の斬撃が飛ぶ。

二者の間を一瞬で横切った。

残滓の肩が裂ける。

反応する前に、香澄は扇子を半分閉じ、角度を変えた。

二撃目。

同じ箇所を斬る。

腕が落ちた。

それでも残滓は進んでくる。

香澄は下がらなかった。

もう一本の扇子を開く。

短い動きが二つ。

一つは上。

もう一つは下。

怪物の体勢が崩れる。

左側からベテランの一人が入り、とどめを刺した。

二体目はすでに目の前まで来ている。

骨の塊が床を叩いた。

タイルが割れる。

香澄は攻撃範囲の外へ回り込み、側面へ斬撃を飛ばした。

残滓は腕で防ぐ。

魔力の刃が肉を裂いた。

だが、切断までは届かない。

「硬いな」

狩人の一人が言った。

香澄はすでに動いていた。

残滓が再び攻撃する。

今度は香澄自身を狙わない。

彼女の前方の床を叩いた。

砕けたタイルが飛散する。

香澄は二本の扇子を顔の前で交差させた。

素早い二つの斬撃で、大きな破片を弾く。

ベテランたちはその隙を逃さなかった。

一人が背後を攻撃。

もう一人が膝を打つ。

残滓が振り向く。

香澄には、その一瞬で十分だった。

一振り。

斬撃が首を走る。

怪物が倒れた。

沈黙。

一人の男が深く息を吐く。

「こんなのを待機させてたってことは……」

香澄は奥を見る。

「もう先へ行かれたってこと」

走り出した。

________________________________________

二つ目の扉は開いていた。

前に死体はない。

香澄にとっては、その方が嫌だった。

扇子を開いたまま内部へ入る。

ベテランたちも続いた。

内側の廊下は三つに分かれている。

左は一般保管区。

右は分類室。

正面は制限区域へのアクセス。

香澄は三つの道を見る。

音はない。

一人の狩人が壁際へ近づく。

「どれだ?」

香澄は床を見る。

埃。

金属片。

ほとんど見えない細い線が、正面の通路へ続いている。

重いものを引きずった跡。

「正面」

全員が進み始めた。

だが、遠くまでは行けなかった。

分類室から三体の残滓が現れた。

香澄は止まる。

敵はすぐには襲ってこなかった。

通路の中央に立つ。

塞ぐように。

ベテランの一人が武器を上げた。

「またか」

香澄は敵の背後を見る。

何もない。

三体が前へ出る。

そのとき、香澄は理解した。

「違う」

狩人が彼女を見る。

「何が?」

香澄は一歩下がった。

「この扉を守ってるんじゃない」

最初の残滓が突っ込んでくる。

香澄は斬撃を飛ばし、胸を裂いた。

「私たちを足止めしてる」

正面の通路へ視線を向ける。

さらに先には、分類室を迂回する別の接続路がある。

「二人、私と来て」

残りを指す。

「ここで押さえて。敵が下がっても追わないで」

ベテランたちが頷く。

香澄は二人を連れ、側面の通路へ入った。

背後で戦闘が始まる。

振り返らなかった。

________________________________________

アクリョウは最後の扉の前で待っていた。

焦っているようには見えない。

目の前では、二体の残滓が施錠機構へ干渉している。

力任せに壊そうとしているわけではない。

一体が構造を押さえる。

もう一体が、いくつかの決まった場所へ魔力を流し込み、封印を不規則に点滅させていた。

シズクはその様子を見ている。

「時間かかってるね」

アクリョウは扉から目を離さない。

「そのための防護だからな」

「もっと連れてきてもよかったんじゃない?」

「そうすれば、もっと目立つ」

シズクは通ってきた廊下を見る。

遠くで、まだ戦闘音が聞こえていた。

ここだけではない。

支部のあちこちで。

警報。

金属音。

叫び。

衝撃。

すべてが同時に起きている。

「何人死んだ?」

シズクが聞いた。

アクリョウが少しだけ顔を向ける。

「こっちの?」

「向こう」

「知らない」

シズクは黙った。

扉のそばにいる残滓の一体が、作業を続けたまま口を開く。

「仕留められた集団もいた」

シズクが見る。

「そうね」

「なぜ殺さなかった?」

答えに怒気はなかった。

「私たちは、あいつらのために来たんじゃないから」

主封印が消える。

アクリョウがわずかに笑った。

「やっとか」

二つ目も落ちる。

扉が数センチ開いた。

さらに広がる。

向こう側にあったのは、巨大な倉庫ではなかった。

比較的小さな保管室だ。

壁にはいくつもの収容設備。

いくつかの箱。

強化ガラスの展示ケースが二つ。

個別の台座が三つ。

アクリョウが中へ入る。

手前の物品には、一度も視線を向けない。

真っすぐ奥へ向かった。

シズクもついていく。

一つの台座の上に、手のひらほどの円形の部品が置かれていた。

二重の同心円状の金属リング。

その中心に、黒い核。

光ってはいない。

目立った魔力も感じない。

見た目だけなら、部屋の他の品より重要性が低そうですらあった。

アクリョウが手を伸ばす。

「これだ」

一体の残滓が近づく。

「間違いないのか?」

アクリョウは相手を見る。

「間違ってたら、ここまで来ない」

展示ケースの機構へ触れる。

封印が反応した。

魔力の波が透明な表面を走る。

アクリョウは手を引いた。

「こいつは少し面倒だな」

シズクが近づく。

「どのくらい?」

「十分に」

廊下の向こうで爆発音が響いた。

アクリョウが振り向く。

続いて、違う音。

斬撃。

脇の扉の金属部品が床へ落ちた。

シズクが入口を見る。

「見つかったね」

アクリョウは再び展示ケースへ向き直った。

「なら、時間を稼いで」

シズクは答えなかった。

ただ、出口へ歩いていった。

________________________________________

香澄は、閉鎖機構が作動し終える前に最後の扉を斬った。

扇子が金属の接合部を走る。

一度目では足りない。

二度目。

金属板が落ちた。

香澄は肩をぶつけて中へ入る。

一人のベテランが続いた。

もう一人は廊下を守る。

香澄は室内を見た。

残滓。

そしてアクリョウ。

一つの台座の前に立っている。

中に何があるか知らなくても、それが目的の物だということは分かった。

扇子を上げる。

斬撃を飛ばす。

アクリョウは即座に反応した。

小さな黒い門が、その前に開く。

魔力の刃が飛び込む。

消えた。

香澄は止まる。

数メートル右。

壁のそばに、別の門が開いた。

自分の斬撃がそこから飛び出し、金属製の棚を切り裂いた。

香澄は穴を見る。

そしてアクリョウを見る。

「面倒ね」

アクリョウが笑った。

「よく言われる」

香澄はもう一本の扇子を投げる。

今度は彼ではない。

回転する扇子が、別の残滓が解除しようとしていた台座の一部を切断した。

その上にあった物品が、保護構造の中へ落ちる。

残滓が取ろうとする。

香澄が追加の斬撃を飛ばす。

怪物が下がった。

「それは置いていきなさい」

アクリョウは一瞬だけその物を見る。

それから、本命の展示ケースへ。

「優先じゃない」

香澄が前へ出る。

その前に、一人立った。

シズク。

香澄は止まらず攻撃した。

扇子の刃が首へ向かう。

シズクは前腕を上げる。

直前に、濃密な魔力が皮膚を覆った。

金属と衝突。

小さな火花が散る。

香澄は武器を引き、下から斬り上げる。

シズクが身体を捻る。

刃は脇腹すれすれを通った。

香澄が持ち手を変える。

もう一方の扇子から魔力の斬撃。

シズクが手のひらを向ける。

斬撃は凝縮した魔力へ衝突し、天井へ逸れた。

コンクリートが裂ける。

香澄は半歩だけ下がる。

シズクも追わない。

一瞬、二人は見合った。

シズクの目に驚きはなかった。

それが香澄には一番気に入らなかった。

「私たちが来るって知ってたのね」

「誰かが来るとは思ってた」

「同じじゃない」

「今は同じ」

その背後で、アクリョウが展示ケースへ両手を置く。

封印が歪み始めた。

一人のベテランが右側から入ろうとする。

残滓が一体、前へ出る。

香澄が扇子を動かした。

斬撃が敵の脚を裂く。

ベテランがその隙に倒した。

シズクが攻撃する。

術式ではない。

魔力で強化した、ただの一撃。

香澄は二本の扇子で受けた。

衝撃で数歩、床を滑る。

両腕が震えた。

シズクは追わない。

ただ、香澄とアクリョウの間に立っている。

香澄は扇子を少し下げる。

「本当に、戦いに来たわけじゃないのね」

シズクが見る。

「必要ないから」

保管室の奥から、乾いた音が響いた。

展示ケースの封印が破れた。

アクリョウが手を入れる。

円形の遺物を取る。

一瞬、何も起きない。

その直後、二つのリングが微かに振動した。

香澄にも見えた。

「置きなさい」

アクリョウは遺物を目の前に持ち上げる。

「嫌だね」

香澄が攻撃した。

二つの斬撃を同時に。

シズクが間へ入る。

正面から受け止めようとはしない。

一つ目を、強化した腕で逸らす。

二つ目が肩を浅く裂いた。

シズクはほとんど反応しなかった。

香澄がさらに踏み込もうとしたとき、アクリョウの背後に門が開いた。

黒い。

大きい。

残滓が一体、先に入る。

その次にもう一体。

香澄と共に来たベテランが、そのうち一体へ武器を突き立てた。

残滓が倒れる。

香澄は生まれた隙へ入った。

アクリョウへ走る。

彼はすでに片足を門の中へ入れている。

香澄が扇子を投げた。

アクリョウが振り向く。

武器は遺物のすぐそばを通る。

あまりにも近く、金属のリングの一つが振動した。

だが、届かない。

シズクが戻ってくる扇子の縁を掴んだ。

刃が手のひらを裂く。

それでも離さない。

香澄が、まだ武器とつながっている魔力の糸を引いた。

シズクの手が外れる。

扇子が戻る。

アクリョウが門を越える。

香澄は追う。

シズクが最後にもう一度立ちはだかった。

香澄が攻撃。

シズクが防ぐ。

二撃。

三撃。

速い。

どちらも本気で戦いを終わらせようとはしていない。

一人は通りたい。

もう一人は、それを止めたい。

門の向こうからアクリョウの声が届く。

「もういい」

シズクが攻撃を止めた。

香澄が理解するまで、ほんの一瞬かかった。

シズクが下がる。

「またね」

香澄が斬撃を飛ばす。

門が閉じ始める。

斬撃は黒い縁を越え、向こう側の何かへ当たった。

短い音。

何を切ったのかは分からない。

シズクが中へ入る。

門が消えた。

沈黙。

香澄は二本の扇子を上げたままだった。

数秒間、動かなかった。

背後のベテランは息を荒くしている。

「行ったか?」

香澄は何もない空間を見る。

「ええ」

「何を持って?」

香澄はゆっくり武器を下ろす。

台座へ近づく。

保管場所は空だった。

その隣では、残滓がもう一つ持ち出そうとしていた物品が、まだ収容構造の中に残っている。

少なくとも、それは支部の外へ出なかった。

香澄は、本命の空白を見る。

「最初から欲しかったもの」

________________________________________

香奈が通信を受けたのは、ほとんど直後だった。

タツは彼女の隣で、三つの別々の報告を同時に確認していた。

通信機が鳴る。

香奈が応答する。

「香澄」

雑音混じりの声が返る。

『制限倉庫まで到達した』

香奈は目の前の画面から視線を外した。

「状況は?」

『先に入られてた』

タツが顔を上げる。

香奈の表情は変わらない。

「何を持っていかれた?」

短い沈黙。

『収容対象の一つ』

香奈の顎がわずかに固くなる。

「どれ?」

香澄は空になった台座を見る。

『障壁の遺物』

タツの手が止まった。

香奈は一瞬だけ目を閉じる。

「確認して」

『二重の同心円。中央に黒い核』

それ以上は必要なかった。

香奈が目を開く。

「間違いない」

タツが見る。

「何ができるんです?」

香奈は通信機を近くに持ったまま答える。

「一区域を隔離できる」

「障壁ですか?」

「それ以上」

タツは待つ。

香奈が続ける。

「正しく起動すれば、閉じたドームを作る。中へ入ることも、外へ出ることも簡単じゃなくなる」

「範囲は?」

「流し込む魔力量次第」

タツは画面へ戻る。

「今すぐ使えますか?」

「普通なら無理」

通信越しに香澄も聞いていた。

香奈は続ける。

「起動する前に、大量の魔力を蓄える必要がある。でも、保管場所を正確に知っていたなら、どうやって使うかも知っている可能性が高い」

タツが眉を寄せる。

「じゃあ、時間はあまりない」

「ない」

香奈は再び通信機へ向かって話す。

「香澄」

『うん』

「他に失われたものは?」

香澄は室内を見回す。

『もう一つ持っていこうとしてた』

壊れた台座を見る。

『それは阻止した』

香奈がゆっくり息を吐く。

「よかった」

香澄の声には満足がない。

『よかったとは言いづらいけど』

「そういう意味じゃない」

沈黙。

香奈は続ける。

「門の先へは追わないで」

香澄はアクリョウが消えた場所を見る。

『そのつもりはない』

「倉庫の残りを確認して。他に触られた物がないか教えて」

『了解』

通信が切れる。

タツは香奈を見る。

「どれか分かってた」

「ええ」

「場所も知ってた」

「ええ」

「行き方も」

香奈はすぐには答えなかった。

そこが一番悪い。

遺物を奪われたことではない。

アクリョウが門で外へ持ち出せたことでもない。

最初から残滓たちは、無数にある他の目標を無視して一つだけを目指せるだけの情報を持って支部へ入っていた。

タツが声を落とす。

「場所を知ってた人間は、どのくらい?」

香奈が彼を見る。

「疑いたくなる人数よりは少ない」

________________________________________

香澄は安全を確保したあと、保管室の中を見回った。

ベテランたちは封印の確認を始める。

一人が壊れた機構の残骸を拾った。

もう一人は、残滓が遺物と一緒に持ち出そうとした別の物品を確認する。

無事だった。

香澄は扇子を一本閉じた。

手のひらが痛む。

傷ではない。

受けた衝撃のせいだ。

シズクは強い。

思っていた以上に。

そしてアクリョウには、正面から自分と戦う気など最初からなかった。

それも気になる。

入った。

目的物を見つけた。

外へ運んだ。

そして消えた。

戦闘が発生したのは、香澄たちが完了前に追いついたからにすぎない。

ベテランの一人が近づく。

「少なくとも、二つ目は持っていかせなかった」

香澄は台座を見る。

「そうね」

「それは成果だ」

香澄は扇子をしまう。

「成果ではある」

そして空になった収容場所を見た。

「でも、あいつらは欲しかった方を持っていった」

________________________________________

門は、倉庫から離れた場所で開いた。

最初にアクリョウが出る。

まだ遺物を持っている。

その後ろから、二体の残滓。

最後はシズク。

門が閉じた。

撤退の途中で一体失った。

もう一体は脇腹に深い傷を負っている。

誰も、そのどちらについても口にしなかった。

そこで待っていた残滓が、物を見るなり近づいた。

「それか?」

アクリョウは円形の遺物を少し持ち上げる。

金属のリングが指の間で小さく震える。

「一つ目だ」

シズクは小さな物体を見る。

それから、さらに下層へ続く通路へ視線を向けた。

「あといくつ?」

アクリョウも同じ方向を見る。

しばらく、遠くの戦闘音だけが聞こえた。

ここではない。

もっと下。

「二つ」

シズクは歩き出した。

アクリョウは遺物をしまう。

二人は、そのままさらに内部へ向かった。


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