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永遠の残滓  作者: Mateo
67/85

第67章:制御と雑音

「ああ」とバクが言った。「ここからが、ひどいやつだ」


その言葉は、明るすぎる警告のように場の上へ残った。


原田が石田の左に現れた。


芽衣が右から斬った。


健太が火を上げた。


石田が鎖を上げた。


そして一秒間、二人ともわからなかった。


互いを守っているのか。


それとも、互いにぶつかっているのか。


石田の鎖は、健太が炎の線で芽衣の進行を閉じようとした瞬間、健太の前を横切った。炎が鎖の端に触れた。壊すほどではない。だが、角度を変えるには十分だった。


石田は張力を緩めるしかなかった。


健太は炎の半分を消すしかなかった。


原田はそれを逃さなかった。


音もなく石田の背後に現れ、肩へ手を伸ばした。強い攻撃ではなかった。強い必要もなかった。触れれば、石田は振り向かざるを得ない。石田が振り向けば、芽衣が入る。芽衣が入れば、健太は火で返す。


そのすべてが、その動作の中にあった。


石田はそれを遅れて理解した。


健太は理解しなかった。


健太に見えたのは、原田が仲間の背後に現れたことだけだった。


炎が上がった。


「石田!」


芽衣が笑った。


「遅い」


健太は原田へ火を放とうと腕を回した。だが石田の鎖が急に張り、その角度を切った。


「駄目だ」と石田が言った。


強い命令ではなかった。


叫びでもなかった。


それでも健太は止まった。


原田の二本の指が、石田の肩に触れた。


神崎が手を上げる。


「有効接触。続行」


石田は一歩下がった。


芽衣は待たなかった。


扇が二つの半月のように開く。縁の上で魔力が細く研ぎ澄まされ、低い斬撃が三本、健太へ向かった。


一本は右足へ。


一本は膝へ。


もう一本は、回避しようと跳んだ場合に彼が行くはずの空間へ。


健太には見えた。


見えすぎた。


すべての選択肢が。


すべての逃げ道が。


すべてを燃やし尽くして、一秒で問題を終わらせる方法が。


そこに誤りがあった。


問題を終わらせようとすること。


炎が両手を這い上がった。


石田は彼を見た。


「どこで終わるか選べ」


健太は歯を食いしばった。


「何?」


「火だ。どこで終わるか選べ」


斬撃は迫っていた。


芽衣はその後ろから来ていた。


原田はもう、さっきの場所にはいなかった。


説明を受ける時間はない。


だからこそ、うまくいったのかもしれない。


健太は火を消そうとは考えなかった。


もっと強く使おうとも考えなかった。


終わりを考えた。


右手から炎が出て地面を打った。だが芽衣へは進まなかった。短く、低い線として開き、最初の斬撃に触れる直前で消えた。


熱が空気を歪ませた。


芽衣の斬撃が逸れる。


二本目は炎の端を打ち、勢いを失った。


三本目は進み続けた。


健太は脚を動かすしかなかった。


美しくはなかった。


斬撃がズボンをかすめた。


だが、倒されなかった。


芽衣は目を細めた。


「それ、新しいわね」


健太は鼻から息をした。


「ああ」


「気に入らない」


「俺もだ」


石田は、原田が彼の背後に再び現れた瞬間、その足首の周りへ鎖を動かした。


原田は視線を下げた。


鎖は彼を捕まえていなかった。


まだ。


ただ、そこにあった。


彼を待っていた。


「見えていたのか」と原田が言った。


「いや」と石田は答えた。「彼女を見た」


芽衣が舌打ちした。


「面倒ね」


原田は一歩下がり、鎖が閉じる前に消えた。


バクが指を一本上げた。


「今のは好きだな。相方を無自覚な告げ口役として使う。集団の信頼にはとても健全だ」


香澄は扇の向こうで笑った。


「“健全”という言葉が、あなたに似合うかは疑問ね」


「午後だけ借りた」


神崎は場から目を離さなかった。


「読みは正しい。だが遅い」


加藤はうなずいた。


「まだ踏み合ってる」


「ええ」と優奈が言った。「でも、自分たちが踏み合ってるとはわかってきた」


「それで惨事の半分だ」


バクがため息をついた。


「もう半分は、直ったと思い始めるところだな」


場の中で、石田は低い鎖を健太の方へ動かした。


健太は横目でそれを見た。


「縛るなよ」


「縛っていない」


「これから縛るやつが言いそうなことだな」


「これは道だ」


健太は答えなかった。


その言葉が、あまりにも筋が通っていて腹立たしかった。


自分が鎖を嫌うべきか説明を嫌うべきか決める前に、芽衣が攻めた。


速い一歩で距離を詰め、踵を軸に回転する。扇が逆方向へ斬った。一つは健太の胸へ。もう一つは、彼と石田の間の空間へ。


傷つけるためではない。


二人を分けるためだった。


石田は二本目の斬撃へ鎖を放った。


健太は一本目へ火を上げた。


鎖と炎がまた交差した。


正面からぶつかったわけではない。


だが、邪魔になった。


それで十分だった。


芽衣は隙間へ入った。


「邪魔しないためにそこまで考えなきゃいけないなら」と彼女は言った。「もう遅いのよ」


健太は言い返したくなった。


それも罠だった。


石田が何も言わなかったから、それがわかった。


ただ、低い鎖を引いた。


彼を動かすためではない。


鎖を地面に鳴らすためだった。


乾いた音。


魔力の金属が石を打つ音。


健太は一秒にも満たない間だけ視線を下げた。


鎖は斜めを示していた。


道だった。


命令ではない。


選択肢だった。


健太はその一歩を踏んだ。


もし罵倒に反応していたなら立っていた場所を、芽衣の扇が切った。


扇は空を斬った。


健太は笑った。


「別の場所に遅れて着いた」


芽衣は彼を見た。


「賢いこと言おうとしないで。似合わない」


「もっとひどいこと言われてきた」


「きっと当然ね」


原田が石田のそばに現れた。今度は正面だった。


攻撃しない。


ただ、片手を上げた。


石田は反射で鎖を張った。


原田は消えた。


本当の攻撃は健太の背後から来た。


芽衣が、二人に見るべき場所を間違えさせていた。


健太は気配を感じたが、振り向くには間に合わなかった。


原田が彼の背後に現れ、開いた掌を肩へ向ける。


「健太」と石田が言った。


“後ろ”とは言わなかった。


“気をつけろ”とも言わなかった。


彼の名前だけを言った。


健太は振り向かなかった。


火を下げた。


自分の踵の後ろの地面に置いた。小さく、ほとんど馬鹿げた炎だった。


原田はその真上に現れた。


熱は彼を焼かなかった。


そこまで強くはない。


だが、足を置く確信を奪った。


足が熱の端に触れ、着地する半秒前に浮いた。


半秒で十分だった。


石田の鎖が横から届き、原田の手首をかすめた。


原田は消えた。


だが、今回はきれいではなかった。


鎖は彼を捕らえなかった。だが、彼のリズムを乱した。


原田は三メートル後ろに現れ、手を握っていた。


健太を見る。


「攻撃しなかった」


健太はまだ息が上がっていた。


「必要なかった」


石田が彼を見た。


健太はそれに気づいた。


「何だよ」


「何でもない」


「それ、“よくやった”って顔だろ」


「そんな顔はない」


「全部同じ退屈な顔だけど、分類がわかってきた」


石田は正面へ視線を戻した。


「嘆かわしい」


「ああ。お互いにな」


芽衣はその会話を苛立たしげに見ていた。


喋っているからではない。


もう、気をそらすために話しているのではなかったからだ。


位置を取るために話していた。


それは問題だった。


「原田」


「はい」


「遅れてる」


「正しい」


「自分のせいじゃないみたいに“正しい”って言わないで」


「責任は共有されている」


「寛大ね」


原田は彼女を見た。


「俺の出口を斬ってほしい」


芽衣は瞬きをした。


「何?」


「俺の出口だ。あいつらが俺の再出現を待つなら、俺がいない場所を斬って」


芽衣は理解した。


それがさらに腹立たしかった。いい考えだったからだ。


「役に立つことを言う時は先に言って」


「遅い予告。役に立つ考え」


「これが終わったら、少しだけ嫌いじゃなくなるかも」


「それは戦術的変化だ」


「喜ばないで」


原田が消えた。


芽衣も同時に動いた。


しかし今回は、それぞれが勝手に動いたわけではなかった。


原田が石田との距離を壊す。


芽衣は健太を攻撃しなかった。


石田の右側の空間を斬った。石田が原田を追うために回り込むであろう場所を。


石田はそれを見た。


健太も見た。


だが、見ることがいつも間に合うとは限らない。


原田が石田の左に現れ、二本の指で鎖に触れた。壊すためではない。ほんの少しずらすためだった。


芽衣が右から斬る。


石田は二つの判断の間に置かれた。


健太には火があった。


怒りがあった。


地面に刻まれた鎖の道があった。


そして問題があった。


大きな火を使えば、芽衣は止まるかもしれない。だが、石田の逃げ道も塞ぐ。


「どこで終わるか選べ」と健太は自分に呟いた。


炎は低く出た。


芽衣へではない。


原田へでもない。


二人の間の線へ。


熱の斬れ目。


境界。


芽衣は扇を上げるしかなかった。


原田は一歩を終える前に再出現せざるを得なかった。


石田はその半秒で、原田に触れられた鎖を引き戻し、方向を変えた。


鎖は地面の上で、平たい蛇のように回った。


原田が消えた。


鎖は追わなかった。


そこに残った。


健太は理解した。


「待ってるのか」


「ああ」


「どこで?」


「俺が見ていないと思わせる場所で」


健太は笑った。


「それ、すごく面倒だな」


「お前にも効く」


「それは言わなくていい」


芽衣がまた入った。


今度は石田を狙った。


健太は火を上げた。


石田は鎖を上げた。


そしてまた、二人は邪魔し合いそうになった。


だが、健太は動く前に鎖の端を見た。


越えなかった。


横に火を置いた。


上ではなく。


炎は鎖に触れず、その方向をなぞった。


初めて、鎖と火は互いを邪魔しなかった。


互いの空間を押し広げた。


芽衣は止まった。


ほんの一瞬。


だが、その視線が変わった。


「出たわね」


健太は彼女を見た。


「何が?」


「二人同時に馬鹿をやるのをやめた」


「ひどい褒め言葉だな」


「褒めてない」


石田はその瞬間を使った。


低い鎖が二本に分かれる。


一本は芽衣へ向かった。


もう一本は地面に死んだように残った。


あまりにも死んでいた。


原田はその上に現れた。


健太は見た。


石田も見た。


原田も気づいた。


遅すぎた。


死んだ鎖が上がった。


首を締めるためではない。


殴るためでもない。


ただ、足首を閉じるために。


原田は消えた。


鎖は空気を掴んで閉じた。


芽衣が笑った。


「足りないわ」


石田は答えなかった。


なぜなら、原田が再び現れた場所に、健太がすでに火を置いていたからだ。


また小さな炎。


馬鹿げたほど低い。


正確だった。


原田は足をうまく置けなかった。


足首は捕まらなかった。だが、身体の軸を失った。


石田は最初の鎖を引いた。


原田を捕まえたわけではない。


彼が必要としていた空間を捕まえたのだ。


原田は片膝をついた。


神崎が手を上げた。


「一」


芽衣が動いた。


速い。


健太が思っていたよりも速い。


彼女の扇が、原田を制限している鎖へ向かって斬った。縦の一撃。清潔で、完璧な軌道。二回目のカウントの前に石田の魔力を切り離し、仲間を解放するには十分だった。


健太は火で止めたい衝動を感じた。


大きく。


まっすぐに。


簡単に。


違う。


炎は芽衣と鎖の間に現れた。


攻撃ではない。


警告として。


小さく、横に伸びた火。芽衣に斬撃の角度を変えさせる、ちょうどその高さに。


芽衣は止まらなかった。


だが修正せざるを得なかった。


その修正が力を奪った。


扇が鎖を打つ。


鎖が震えた。


壊れなかった。


「二」と神崎が言った。


原田は地面に手をついた。


消えた。


あるいは、消えようとした。


石田の鎖は、彼そのものに閉じていたわけではなかった。


範囲の周りに閉じていた。


原田は半メートル先に現れた。


まだ内側だった。


健太はもう片方の手を開いた。


二つ目の炎が原田の背後に現れた。


焼かなかった。


触れもしなかった。


ただ、後退を奪った。


原田の顔に、初めて驚きに近いものが浮かんだ。


芽衣は歯を食いしばった。


「原田!」


「わかっている」


「なら出なさい!」


「試みている」


石田が声を低くした。


「健太」


「わかってる」


「火で閉じ込めるな」


「閉じ込めてない」


健太は息をした。


炎は上がらなかった。


「扉を閉じてる」


石田は彼を一瞬見た。


それから鎖を引いた。


芽衣がもう一度斬った。


今度は鎖へではない。


健太へ。


全力ではない。


傷つけるためではない。


彼に防御させ、原田の出口を塞いでいる炎を消させるためだった。


いい判断だった。


健太は危うく落ちた。


身体が先に自分を守ろうとしたから。


火が上がりたがったから。


芽衣が、まるで別の技のように、彼のプライドに触れる方法を知っていたから。


「わかりやすいことをしなさい」と彼女は言った。


健太は笑った。


悪い笑みだった。


炎が上がった。


バクの笑みが消えた。


加藤も何も言わなかった。


その沈黙は、どんな警告よりも重かった。


健太は自分の手の火を見た。


芽衣を見た。


抜け出そうとする原田を見た。


石田の鎖を見た。


わかりやすいことをすれば、一秒は勝てる。


そして残りを失う。


手を閉じた。


炎が消えた。


芽衣の斬撃が肩の近くを通った。


健太は火で防がなかった。


しゃがんだ。


不格好に。


遅く。


それでもしゃがんだ。


そしてもう片方の手で、原田の背後の小さな炎を保った。


芽衣がわずかに目を開いた。


神崎が言った。


「三」


沈黙が戻った。


さっきとは違う沈黙だった。


より熱く。


より難しい。


原田は消えようとするのをやめた。


石田は鎖を解いた。


健太の炎が消えた。


香奈が杖を上げた。


「勝者、石田太郎・有本健太組」


健太は動かなかった。


その言葉が、試合の他の部分より遅れて届いたかのように。


それから自分の手を見た。


火はなかった。


火傷もなかった。


空中で消えていく大きな火柱もなかった。


ただ、自分の手だけがあった。


「勝った」と彼は言った。


石田は鎖を回収した。


「ああ」


「大きな火、使わなかった」


「そうだな」


「それで勝った」


「ああ」


健太は眉をひそめた。


「腹立つな」


「制御とは、たいていそういうものだ」


健太は彼を見た。


「勝った直後に深いこと言うなよ。耐えがたい」


「深くはない」


「それがもっと悪い」


石田はボードの方を見た。


タツがすでに書き込んでいた。


**石田・有本組:三点。**

**白銀・原田組:零点。**


芽衣は扇を音を立てて閉じた。


「負けた」


原田はうなずいた。


「そうだ」


「気に入らない」


「俺もだ」


芽衣は彼を見た。


「苛立ってるように見えない」


「内面的に効率よく苛立っている」


「それ、何の意味もないわ」


「俺たちの意思疎通は遅れて改善した、という意味だ」


芽衣は扇を握りしめた。


「次はもっと早く改善しなさい」


原田は瞬きをした。


「両方とも」


芽衣は閉じた扇で彼を指した。


「私の怒りを正確さで台無しにしないで」


「確認した」


香澄は側面から芽衣を見ていた。


笑っていなかった。


それが芽衣をさらに苛立たせた。


「何?」と芽衣が聞いた。


香澄は首を少し傾げた。


「何も」


「その“何も”は説教の顔をしてる」


「それなら、少しは読めるようになってきたのかもしれないわね」


芽衣は一歩彼女へ向かった。


陽菜がそっと腕を掴んだ。


「だめ」


「まだ何も言ってない」


「肩が言ってた」


芽衣は自分の肩を、裏切り者を見るように見た。


「今日、全員うっとうしい」


横から悠太が少し手を上げた。


「負けると、そうなるよな」


芽衣が彼を見る。


「あんたも負けたでしょ」


「だから、最近の権威として言ってる」


隣の千穂が呟いた。


「私たちの敗北を資格みたいに使わないで」


「それしか持ってなかったんだ」


颯太はまだ最前列にいた。


健太を見ていた。


火ではなく。


健太を。


爆発せずに勝つ姿を見るのは、奇妙だった。強力な技を見るより、ほとんど理解しにくいことだった。颯太はずっと、強くなるとは“もっとできるようになる”ことだと思っていた。


だが健太は、少なくすることで勝った。


バクが彼の背後に現れた。


「それ、ちょっと嫌だっただろ?」


颯太はもう驚かなかった。


少なくとも、そこまでではなかった。


「はい」


「いい」


「あなたは変なことに“いい”って言いますね」


「普通のことは、たいてい嘘をつくからな」


颯太は返さなかった。


バクは健太を見た。


「あの馬鹿は、すべての火事が全国ニュースになる必要はないと学んだ。歴史的な日だ」


反対側から神崎が言った。


「制御は許容範囲だった」


バクは振り向いた。


「正人、お前が感情を込めて“よくやった”って言ったら、次元に亀裂が開くぞ」


「なら崩壊は避ける」


加藤は石田と健太へ近づいた。


「きれいではなかった」


健太は顔を上げた。


「勝ったのに、それが最初の一言ですか」


「ああ」


「やる気が出るなあ」


石田は加藤を見た。


「最初は互いを邪魔しました」


「最後もほとんどな」


「はい」


「だが、力ずくで修正しようとするのをやめた」


健太は石田を見た。


「それは良いことなんですか?」


加藤はコーヒーを飲んだ。


「まだ悪くない」


健太は口を開いた。


閉じた。


「褒め言葉として受け取ります」


「持ってるもので何とかしろ」


石田はうなずいた。


「もっと早く道を示す必要があります」


「ああ」


加藤は健太を見た。


「お前は、火がどこで終わるかをもっと早く決めろ」


健太は自分の手へ視線を落とした。


「はい」


「できることに驚いた声を出すな」


健太はすぐには答えなかった。


それから指に力を込めた。


「うまくいくと思ってなかったので」


「見せつけにしようとしなかったから、うまくいった」


バクが加藤の後ろから身を乗り出した。


「翻訳すると、強そうに見せようとしない時、たまに役に立つ。思春期には最悪の発見だ」


健太は彼を見た。


「それ、助言ですか?」


「教育的志向を持った侮辱だ」


「どっちを嫌えばいいかわからない」


「なら両方生きてる」


香奈が杖で地面を叩いた。


「二分休憩。その後、第三試合」


訓練場は再び動き出した。


だが、最初と同じではなかった。


第一試合は、敗北が三秒で閉じられることを教えた。


第二試合は、勝利もまた快適ではないことを教えた。


生徒たちはボードを見た。


**仙台・高島組:三点。**

**石田・有本組:三点。**

**天音・和田組:零点。**

**白銀・原田組:零点。**

**月野・村組:未戦闘。**


悠太は自分たちのゼロを読んだ。


二度目でも、痛みは軽くならなかった。


ただ、痛み方が違った。


千穂は彼の隣にいた。


「謝ってくれるかもしれないみたいに、その数字を見ないで」


「ずっと見てたら、申し訳なくなるかもしれない」


「ゼロよ」


「ゼロにも感情的責任はある」


「ない」


悠太はため息をついた。


「よし。じゃあ勝たないとな」


「うん」


「月野と村に」


「うん」


「簡単だな」


千穂は彼を見た。


「違う」


「どう響くか試しただけ」


「必死に聞こえた」


「じゃあ正直だった」


訓練場の反対側では、陽菜が斧の握りを調整していた。緊張しているからではない。重さ、距離、反応を思い出すためだった。海斗は彼女の隣で肩を伸ばしていたが、場から視線を外さなかった。


彼女の前には立たなかった。


一度も。


陽菜はそれに気づいた。


「立つ場所のこと、考えすぎてる」


海斗は彼女を見た。


「邪魔しないようにしてる」


「前からいなくなってほしいわけじゃない」


「いなくならない」


「壊れ物みたいに守られたいわけでもない」


海斗は腕を下ろした。


「わかってる」


陽菜は落ち着いて彼を見た。


「わかってるの? それとも、繰り返してるだけ?」


海斗は少し時間を置いた。


「わかろうとしてる」


陽菜は少しだけ笑った。


「その方が役に立つ」


海斗は悠太と千穂の方を見た。


「あいつらは変わる」


「うん」


「負けながら何かを学んだ」


「じゃあ、今はもっと危険だね」


「ああ」


陽菜は斧を肩に乗せた。


「私たちも、そうならなきゃ」


海斗はうなずいた。


「隣に」


陽菜は彼を見た。


「隣に」


タツが再びファイルを開いた。


「得点フェーズ第三試合。月野陽菜・村海斗組、対、天音悠太・和田千穂組」


悠太の名前は、今度は違って聞こえた。


すでに負けたからかもしれない。


全員が、彼が学ぼうとする姿を見たからかもしれない。


ボードのゼロが、一歩ごとの重さを少し増やしていたからかもしれない。


悠太は二度目に場へ入った。


今度は、空間を占有しなければならないものとして見ていなかった。


作らなければならないものとして見ていた。


千穂は彼の隣を歩いた。


後ろではない。


遠くでもない。


彼を見られて、かつ彼に依存しない、ちょうどいい距離で。


「射線を開けたい」と悠太が言った。


千穂は指の間に魔力の弦を張った。


「なら、見すぎないで」


「今度はもっと賢くやるって言おうとしてた」


「それが見すぎるってこと」


「了解」


反対側で、陽菜が斧の柄に手を置いた。


海斗は彼女の隣に立った。


前ではない。


隣に。


加藤は四人を見ていた。


優奈も。


香奈が杖を上げた。


一瞬、訓練場全体が息を止めたように見えた。


驚くべきことに、バクは何も冗談を言わなかった。


その方が、かえって悪かった。


香奈が杖を下ろす。


「第三試合。始め」

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