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永遠の残滓  作者: Mateo
64/86

第64章:東京トーナメント

午後の訓練前に、訓練場は再び人で満ちた。

今度は地面に印はなかった。

負傷者の人形もない。

切られた白い線もない。

魔力の煙もない。

それなのに、全員がまだ、見えない何かを踏んで失敗するかもしれないような歩き方をしていた。

悠太は颯太を連れてやってきた。三郷の少年は、好奇心というより注意深さで訓練場を見ていた。ようやく理解し始めた世界のルールが、そのたびにまた形を変えていくのを、まだ覚えようとしているようだった。

健太は中央の近くで海斗と話していた。

あるいは、話そうとしていた。

彼の両手は火を出してはいなかったが、火の記憶を残したまま開いたり閉じたりしていた。海斗は腕を組んで聞いている。心配しているようには見られたくない者の、硬い忍耐だった。

石田は柱のそばに立ち、閉じた本を手にしていた。

読んでいる時よりも、その方が悠太には心配だった。

芽衣は陽菜と一緒にいたが、彼女とは話していなかった。視線は側面に向いている。そこでは香澄が優奈と話していた。芽衣の表情はいろいろなことを語っていた。その大半は、かなり暴力的だった。

千穂は細い魔力の弦を指の間に持っていたが、まだ弓にはしていなかった。結衣はその隣で、何かが起きた時にどこへ結界を張るべきか、すでに計算しているように訓練場を見ていた。

少し後ろで、花が全員を見ていた。

見ている、というより。

一人一人の呼吸の形を聞いているようだった。

「みんな、早く来ていますね」と颯太が言った。

悠太は周囲を見回した。

「悪い兆候だな。十代が早く来るのは、食べ物か、喧嘩か、集団不安がある時だけだ」

「これはどれですか?」

「まだ食べ物は見えない」

颯太はわずかに笑った。

中央から健太が声を上げた。

「でも、去年の祭典の方がこれより絶対良かっただろ」

結衣がため息をついた。

「まだ“これ”は始まってないわ」

「だからだよ。もう始まる前から悪い」

悠太は近づいた。

「受けてもいない殴打をそこまで懐かしむ人間、初めて見た」

健太は彼を見た。

「去年は京都のやつが勝ったんだよ」

悠太は瞬きをした。

「それは全部説明してるようで、何も説明してないな」

海斗が少しだけ彼の方へ向いた。

「強かった」

健太が短く笑った。

「強いじゃない。異常だった」

近くの壁にもたれていた原田が、感情のない声で付け加えた。

「決勝で、相手は一度も触れなかった」

颯太が顔を上げた。

「一度も、ですか?」

「一度も」と海斗が言った。

芽衣は香澄から視線を外さないまま口を開いた。

「健太が何かに勝つって言うまでより、試合時間の方が短かったわ」

健太は彼女を指した。

「それは嘘だ」

石田は本を開き、一ページを見て、また閉じた。

「完全な嘘ではない」

「ありがとう、裏切りの鎖野郎」

悠太は海斗を見た。

「で、そいつ名前は?」

海斗は答えるまで一秒かかった。

「今は関係ない」

それで余計に関係があるように聞こえた。

陽菜はそれに気づいた。

「名前を言わないのって、秘密だから? それともその方が劇的だから?」

原田が答えた。

「皆が結局、“京都のやつ”と呼ぶようになったからだ」

悠太は目を開いた。

「ああ、最高。さらに悪い。名前を失って定冠詞を得る人間って、大体誰かに傷跡を残してる」

健太は笑った。

「今年は近くで見たかったんだ」

結衣が彼を見る。

「戦いたかったんでしょ」

「それもある」

「わかりやすいわね」

「目標を持っていることを責めるな」

千穂は魔力の弦を下ろした。

「普通の祭典は個人戦だった。ああいう人が勝てば、どこに差があるのか全員わかる」

颯太は彼女を見た。

「それって、助かるんですか?」

千穂は答える前に考えた。

「痛い」

それから空の訓練場を見た。

「でも、助かる」

颯太は少し視線を落とした。

悠太は少し遅れて理解した。

颯太にとって、祭典はただ中止されたトーナメントではなかった。

それは、現れて、彼が渡る前に閉じてしまったもう一つの扉だった。

「傷跡」という言葉に呼ばれたかのように、バクが健太の背後に現れた。

「全国的屈辱の味がする学校の思い出、大好きだ」

健太は小さく跳ねた。

「そうやって現れないでください!」

「そうやって現れるのが俺の魅力の半分だ」

神崎が彼の後ろを歩いていた。

「違う」

バクが振り向く。

「半分でもない?」

「違う」

「四分の一?」

「それも違う」

「このクソ馬鹿、閉じた扉みたいな交渉しやがって」

神崎は歩き続けた。

「閉じた扉は役に立つ」

「ほらな。だから誕生日会に呼ばれないんだよ」

「正しい」

バクは生徒たちへ両腕を広げた。

「今日はトーナメントと、欲求不満と、誰かが目撃者の前で後悔する決断の匂いがする。美しい」

芽衣が彼を見た。

「説明に参加するんですか?」

「そう願ってる。今日は最高の“シャツを着ていない状態”で来たからな」

結衣は疲れた目で彼を見た。

「いつもそうですよね」

「それでも今日は特別に感じるだろ?」

正面入口から香奈が現れた。

騒ぎが下がった。

一気に消えたわけではない。

ただ、整った。

タツがファイルを持って彼女の横にいた。加藤と優奈がその後ろを歩いている。鏡は柱の近くに留まった。香澄は、芽衣が気づく前に扇を握りしめるほどの静けさで進んだ。バクは側面へ下がったが、規律正しく見えるほどではなかった。神崎は訓練場全体とすべての出口が見える位置を選んだ。

香奈は生徒たちの前で足を止めた。

「通知は読んだわね」

誰も答えなかった。

健太はほとんど手を上げかけた。

結衣が彼を見た。

健太は手を下ろした。

バクが呟いた。

「成長は早いな」

香奈は続けた。

「支部間の年次祭典は中止のままです。それは変わりません。生徒の移動はありません。外部代表もありません。他支部からの来訪者もありません」

その言葉はまた重くなった。

もう知っていたとしても。

悪い知らせは、声に出されると痛みが軽くなるわけではない。

「私たちが行うのは」と香奈は言った。「東京内部の活動です」

健太が顔を上げた。

芽衣も。

颯太は指を握った。

「祭典の代わりではありません」と香奈は明確にした。「そのつもりもありません。通常の祭典は、支部間での個人の成長を測るものです。今年、それを測るにはあなたたちを危険にさらす必要がある」

タツがファイルを開いた。

「承認された形式は、内部トーナメント。制御試合。二対二です」

すぐにざわめきが生まれた。

二対二。

その言葉は、術式より速く訓練場を走った。

悠太は颯太を見た。

見たくなかった。

それでも見てしまった。

颯太も彼を見た。

一秒間、どちらも何も言わなかった。

そのあと、側面から加藤が言った。

「駄目だ」

悠太は目を閉じた。

「まだ口も開いてません」

「顔がもう交渉していた」

颯太は視線を下げたが、驚いてはいないようだった。

それが、抗議されるよりも悠太には心配だった。

香奈が手を上げた。

ざわめきが下がる。

「トーナメントの説明に入る前に、一つ明確にしておくべき決定があります」

颯太が深く息をした。

もうわかっているかのように。

香奈は彼をまっすぐ見た。

「宮崎颯太は参加しません」

沈黙は大きくなかった。

正確だった。

颯太はうなずいた。

「わかりました」

悠太が半歩動いた。

「でも――」

「天音」と加藤が言った。

強くはなかった。

それで十分だった。

悠太は止まった。

香奈は颯太から視線を外さなかった。

「罰ではありません」

「わかっています」と颯太は言った。

「信頼していないわけでもありません」

颯太が少しだけ目を上げた。

香奈は杖に両手を置いた。

「実力の問題です。たとえ制御された試合でも、今のあなたにはトーナメント戦に必要な制御がまだ足りない。あなたは観察する。別で訓練する。そして見たものから学ぶ」

颯太は唾を飲み込んだ。

「はい」

悠太は歯を食いしばった。

何かを言う前に、颯太が彼を見た。

「大丈夫です」

「そうは見えない」

「はい。でも、大丈夫です」

その返事は、心地よく響くには成熟しすぎていた。

悠太はそれをどう受け取ればいいのかわからなかった。

珍しく、バクは何も冗談を言わなかった。

ただ一秒だけ颯太を見た。

それから加藤を見た。

加藤はその視線を返さなかった。

香奈は続けた。

「参加者は十名」

タツがファイルから読み上げた。

「天音悠太。石田太郎。月野陽菜。白銀芽衣。村海斗。有本健太。原田迅。高島結衣。仙台花。和田千穂」

それぞれの名前は、それぞれ違う形で落ちた。

悠太には、自分の名が問いのように聞こえた。

石田には、責任のように。

陽菜には、もう避けられないもののように。

芽衣には、挑発のように。

海斗には、命令のように。

健太には、機会のように。

原田には、情報のように。

結衣には、まだ存在していない構造のように。

花には、周囲の騒音が多すぎるように。

千穂には、張り詰める弦のように。

香奈は、その名前たちが落ち着くのを待った。

「五組のペアになります。各ペアは、得点フェーズで二試合を行います」

タツが続けた。

「勝利は三点。制限時間による引き分けは一点。敗北は零点。相棒を実際の危険にさらした場合、減点一点。得点上位二組が決勝へ進みます」

健太が手を上げた。

香奈が彼を見る。

「有本」

「相棒を実際の危険にさらすって、どこからですか?」

バクが仮面を傾けた。

「自分が教材じゃないみたいな顔で質問するところ、好きだぞ」

健太は努力して無視した。

その努力は見えた。

神崎が答えた。

「重傷を避けるために指導員の介入が必要となる行動だ」

優奈が加えた。

「あるいは、制御不足によって、相棒がいる区域を術式が横切る場合」

健太は手を下ろした。

「了解です」

バクが加藤を指した。

「過去の授業が今痛んだな。なんて美しい教育生態系」

加藤は笑わなかった。

「邪魔するな」

「水をやってるんだ」

「植物じゃない」

「その態度ではな」

香奈は続けた。

「致命的な術式は禁止。模擬残滓は使用しません。隠し目的もありません。特殊試験もありません。これは二対二のトーナメント。それ以上でも以下でもありません」

悠太が小声で言った。

「“それ以上でも以下でもない”って言う時、大体それ以上の何かがあるんだよな」

隣で石田が答えた。

「今回の場合、それ以上のものは俺たちだ」

悠太は彼を見た。

「かなり悪い答えだった」

「正しい答えだ」

「だからだよ」

香奈はわずかに声を上げた。

「ペアはあなたたちが選ぶものではありません」

訓練場はさっきより強く反応した。

芽衣が舌打ちした。

健太が両腕を広げた。

悠太は、わかっていたのに、また颯太を見た。

陽菜はすぐには反応しなかった。

千穂は反応した。誰かが弓の弦に触れたように、視線を下げた。

結衣はさらにゆっくり呼吸した。

海斗は動かなかった。

原田は表情を変えなかった。それは彼の場合、何を意味してもおかしくなかった。

香奈は全員が黙るのを待った。

「ペアは指導員たちが決めました」

バクが手を上げた。

「私の案のいくつかは、制度的臆病によって却下されたことを明記しておきたいです」

タツはファイルから目も上げなかった。

「判読不能だったため却下されました」

「俺の字は内面の葛藤を表現している」

神崎が言った。

「基礎教育の不足を表現している」

「また俺の自伝に精度を使いやがった」

香奈はバクを見た。

「あなたはペアを発表しません」

バクは胸に手を当てた。

「検閲が新しい靴を履いて戻ってきた」

「タツ」

タツが最後の紙を開いた。

訓練場が動きを止めた。

健太でさえ、指を動かすのをやめた。

「第一ペア」とタツが読んだ。「天音悠太、和田千穂」

悠太は瞬きをした。

千穂も。

そのあと二人は互いを見た。

拒絶ではなかった。

どうすれば邪魔し合わずに済むのか、まったくわからない二人が理解した時の恐れだった。

「あ」と悠太が言った。

千穂が片眉を上げた。

「あ?」

「もっといい言葉を探してる」

「それで?」

「出てこなかった」

千穂はまだ指に持っていた魔力の弦を下ろした。

「私は撃つための空間が必要」

「俺は問題に向かって走る癖がある」

「相性が悪い」

「まだね。でも教育的ではある」

千穂は、冷たさではない真剣さで彼を見た。

人前で失敗することへの恐れだった。

「私の射線を塞がないで」

悠太はうなずいた。

今度はすぐに冗談を言わなかった。

「努力する」

千穂は彼を観察した。

「私は、あなたが読めないことをする前に撃つ努力をする」

「それ、ほとんど友情の約束だな」

「大げさにしないで」

側面から優奈がそのペアを観察していた。

「いいわね」

加藤は悠太を見た。

「あの子には線が必要だ」

「そして彼は、すべての線を占領しないことを覚える必要がある」と優奈が言った。

加藤はコーヒーを飲んだ。

「それを言おうとしていた」

「違う」

「似たようなことだ」

「それも違う」

タツが第二ペアを読んだ。

「石田太郎、有本健太」

訓練場に違う種類の沈黙が落ちた。

健太は石田を見た。

石田は健太を見た。

一秒間、二人はどちらがより厄介かを決めようとしている二つの問題のようだった。

先に話したのは健太だった。

「人間消火器と組まされたのか」

石田は本を閉じた。

「俺は消火器ではない」

「鎖があるだろ。俺がやりすぎたら止められる」

「お前が怒らないように縛るつもりはない。それはお前の役目だ」

健太は口を閉じた。

側面でバクが首を傾けた。

「おお」

加藤が彼を見る。

「何だ」

「いや。鎖の少年が感情的な会話にナイフを持ち込んだ。好きだ」

石田は健太を見たまま続けた。

「限界を示すことはできる。角度を守ることもできる。誰かを危険にさらす術式を止めることもできる」

「つまり、俺を縛るんだろ」

「違う。お前自身が自分のチームの負傷者になる前に知らせる」

健太は歯を食いしばった。

「親切だな」

「親切ではない」

「ああ、もうわかった」

バクが指を一本立てた。

「このペア、医療報告書と望まれない自己成長の匂いがする」

結衣が呟いた。

「具体的すぎます」

「ありがとう」

「褒めてません」

「褒め言葉として集める」

タツは続けた。

「第三ペア。白銀芽衣、原田迅」

芽衣はゆっくり原田の方を向いた。

原田は壁から動かずに彼女を見た。

「嫌」

タツが顔を上げた。

「指定ペアです」

「あなたに言ったんじゃありません」と芽衣は言った。「宇宙に言いました」

原田は壁から離れた。

「受理」

芽衣は彼を見た。

「何を?」

「宇宙への抗議。結果は変わらない」

悠太は片手で口を覆った。

「笑いたくない」

颯太が小声で言った。

「笑いたいんですね」

「ああ。でも死にたくない」

芽衣は扇を一つ開いた。

「試合中に何も言わずに消えたら、あなたがいた場所を切るわよ」

原田はうなずいた。

「何も言わずに攻撃したら、俺はお前が思っている場所にはいない」

「それは返事じゃない」

「予防的連携だ」

側面で香澄が笑った。

「素敵なペアね」

芽衣は彼女を見ないまま、扇で指した。

「喋らないで」

香澄は閉じた扇を頬に当てた。

「もう連携しているわ」

「嫌い」

「それもとても明確に伝わっているわ」

バクが神崎へ身を寄せた。

「生まれた時から離婚してるな」

神崎は芽衣と原田を見た。

「動く前に知らせることを覚えれば機能する」

「世界で一番悲しい結婚を定義したぞ、今」

「結婚の話はしていない」

「だからだよ」

タツが第四ペアを読んだ。

「月野陽菜、村海斗」

陽菜は海斗を見た。

海斗は真剣に見返した。

居心地悪そうではなかった。

慎重すぎるように見えないために、どれくらい注意すべきかを考えているようだった。

それは、陽菜にとってすでに警告だった。

「反射で私の前に立たないで」と彼女は言った。

海斗はわずかに眉を上げた。

「同じことを言える」

陽菜は斧の柄に手を置いた。

「私は斧を持ってる。私の前は危ない」

海斗は一秒待った。

それからうなずいた。

「正しい」

陽菜は彼をもう少しよく見た。

「壊れそうなものみたいに守らないで」

「そのつもりはなかった」

「あるでしょ」

海斗はすぐには答えなかった。

やがて息を吐いた。

「たぶん」

陽菜はうなずいた。

「私もあなたを壁みたいには扱わない」

海斗は彼女を見た。

「そう見えても?」

「だからこそ」

加藤はそのペアを注意深く見ていた。

「耐えれば解決すると思っている二人だ」

優奈がうなずいた。

「でも陽菜は、傷を全部借りに変えないことを覚えた」

加藤は海斗を見た。

「村はまだ、前に立つだけでは場を整えられないと学んでいる最中だ」

バクが手を上げた。

「それと、扉みたいな肩をしていても非常口にはなれないってこともな」

神崎が彼を見た。

「今の比喩は、ほぼ有用だった」

バクは固まった。

「その承認をどう扱えばいいかわからない」

「何もするな」

「いつも痛みに戻るな」

タツは最後の行を見た。

「第五ペア。仙台花、高島結衣」

花は目を下げた。

結衣はすぐに彼女を見た。

「大丈夫?」

花はうなずいた。

「うん」

「今のは大丈夫じゃない時の声だった」

花は息をした。

「見えるものが多すぎる。時々、どれを最初に言えばいいかわからなくなる」

結衣はすぐには答えなかった。

それは良かった。

考えた。

「じゃあ、全部言おうとしないで」

花が顔を上げた。

結衣は続けた。

「どこを閉じない方がいいか教えて」

花は瞬きをした。

「どこを閉じない方がいいか?」

「完全な結界を張ると、邪魔になるかもしれない。香澄さんが言ってた。あなたが道を見られるなら、私は扉を残せる」

花は静かな驚きで彼女を見た。

「私は、何かが来る前に知らせられる」

「私は、それが完全には届かないようにできる」

花はゆっくりうなずいた。

「それなら、できそう」

結衣はわずかに笑った。

「できそう、はいい始まり」

誰も冗談を言わなかった。

バクでさえ。

その後、彼は自分の我慢に耐えられないように手を上げた。

「このペア、静かそうだから統計的には誰かの一日を台無しにする」

花は彼を見た。

「褒め言葉として聞きました」

バクは加藤を指した。

「気に入った。静かな声で怖い」

加藤は腕を組んだ。

「ああ」

悠太は五つのペアを見た。

悠太と千穂。

石田と健太。

芽衣と原田。

陽菜と海斗。

花と結衣。

居心地のいい組み合わせではなかった。

それは明らかだった。

だが、適当に選ばれたわけでもない。

そこが腹立たしかった。

どのペアにも、はっきりと失敗する形があった。

だからこそ、うまくいく形も難しいものになっていた。

香奈は数秒間、訓練場のざわめきを許した。

それから杖で地面を叩いた。

「聞きなさい」

沈黙が戻った。

「このペアは、あなたたちを楽にするために選んだものではありません。罰するためでもありません」

芽衣は香澄を見た。

香澄は笑った。

香奈は続けた。

「あなたたち一人一人には、隣に誰かがいる時にしか現れないものを学ぶ必要があるからです」

健太は石田を見た。

石田は見返さなかった。

それがなぜか、健太にはより見られているように感じられた。

「ペアは得点フェーズ中、固定です」と香奈は言った。「負傷、または指導員の判断がない限り変更はありません」

タツが読んだ。

「各試合には制限時間があります。勝利条件は、両者の同時拘束、場外への強制退場、降参、または一方のペアが継続不能と指導員が判断した場合です」

悠太が手を上げた。

香奈が彼を見る。

「天音」

「両者の同時拘束って、どこからですか?」

タツより先に神崎が答えた。

「ペアの二人ともが三秒間、移動または行動不能になった状態だ」

悠太はうなずいた。

「つまり、一人倒すだけじゃ足りない」

「足りない」

「よかった」

千穂が彼を見た。

「どうしてそれで安心するの?」

「俺、大体地面にいる側だから」

「安心できない」

「透明性はある」

「できれば固体でいてほしい」

「そこは頑張る」

颯太は後ろから見ていた。

純粋な羨望ではなかった。

純粋な諦めでもなかった。

もっといろいろなものが混ざっていた。

他の者たちが話し続ける中、悠太は彼のそばへ近づいた。

「颯太」

「大丈夫です」

「聞く前に言ったな」

「聞くと思ったので」

悠太は口を閉じた。

颯太はペアたちを見た。

「参加したかったです」

その言葉は単純だった。

大げさではなかった。

だからこそ、難しかった。

「わかってる」と悠太は言った。

「でも、もし参加していたら、あなたは僕を気にしていたと思います」

悠太は答えなかった。

「それに、もしあなたと組まされなかったら、僕はあなたがいなくても大丈夫だって証明しようとしていたと思います」

颯太は指を握った。

「だから、香奈さんは正しいです」

悠太は息を吐いた。

「それが嫌なんだよ」

「僕もです」

「かなり?」

「はい」

悠太は訓練場を見た。

それから千穂を見た。

そしてまた颯太を見る。

「じゃあ、俺は普通に勝つ」

颯太は彼を見た。

「僕のために?」

悠太は首を横に振った。

今回は答える前に考えた。

「違う。勝ちたいから」

颯太は少し笑った。

「その方がいいです」

「人として成長すると、俺の持ち味が壊れそうで不安だ」

「少し」

「正直にありがとう、裏切り者」

側面から、加藤が二人を見ていた。

優奈が彼のそばに来る。

「介入しなかったわね」

「誰が」

「悠太。香奈さんが颯太は参加しないと言った時」

加藤はコーヒーを飲んだ。

「ほとんどした」

「でも、しなかった」

「ああ」

優奈は颯太を見た。

「それも訓練ね」

「最近、全部が訓練だ」

「全部ではないわ」

加藤は彼女を見た。

優奈は訓練場を見続けた。

「まだ選択であるものもある」

加藤は答えなかった。

反論できなかったからか。

あるいは、そう信じたかったからかもしれない。

そこへバクが現れた。

「場の空気が成熟しすぎている。不快だ」

優奈は彼を見た。

「あなたについて多くを語っているわね」

「ありがとう」

「褒めていない」

「もう仕組みは知ってるだろ」

香奈が再び口を開いた。

「第一試合を発表します」

訓練場が張り詰めた。

健太が笑った。

芽衣は背筋を伸ばした。

石田は片手で本を閉じた。

数歩先で、千穂が魔力の弦で遊ぶのをやめたのを、悠太は感じた。

タツが紙を読んだ。

「得点フェーズ第一試合。天音悠太・和田千穂組、対、仙台花・高島結衣組」

悠太は千穂を見た。

千穂も彼を見た。

それから二人は、花と結衣を見た。

花は驚いているようだったが、怖がってはいなかった。

結衣は深く息をした。

「さて」と悠太が言った。

千穂は指を閉じた。

「私の射線の前に走らないで」

「俺が変なことをしても目を閉じないで」

「変なことをするの?」

悠太は花を見た。

それから結衣を見た。

そして訓練場を見た。

「たぶん」

千穂はため息をついた。

「なら、言って」

悠太は笑った。

「それは努力できる」

向こう側で、花が結衣を見た。

「即興で動くと思う」

「うん」と結衣。

「読むのが難しくなる」

結衣は手を上げ、小さな結界を作った。指の間に透明な板が一枚だけ現れる。

「なら、全部を読もうとしない。わかる場所を閉じて、あなたが見る必要のある場所を開けておく」

花は彼女を見た。

「私が話さなすぎたら言って」

「私が守りすぎたら言って」

二人はうなずいた。

興奮しているようには見えなかった。

何かを試す準備ができているようだった。

その方が危険だった。

バクが手をこすり合わせた。

「第一試合、即興と矢対、感覚過多と防御建築。いいスポーツだ」

神崎が彼を見る。

「スポーツではない」

「得点があって、観客がいて、悪い判断をしそうな十代がいる。スポーツだ」

香奈が彼らの横を通った。

「賭けは禁止」

バクは胸に手を当てた。

「そう思われていることに傷つきます」

神崎が言った。

「もうリストを作っていた」

「知られていることに傷つきます」

「机の上に置いてあった」

「概念芸術だったんだ」

香奈は振り向きもしなかった。

「燃やしました」

バクは固まった。

「それは制度的暴力だ」

加藤は悠太を見た。

「天音」

悠太は近づいた。

千穂も、少し遅れて近づいた。

加藤は二人を見た。

「一人で勝とうとするな」

悠太はうなずいた。

「はい」

加藤はさらに一秒、彼を見た。

「それを学んだと証明しようともするな」

悠太は口を開いた。

閉じた。

千穂が横目で彼を見た。

「それ、やるつもりだったの?」

「いや」

加藤が眉を上げた。

悠太はため息をついた。

「少し」

千穂は鼻から息を漏らした。

笑いではない。

でも少し近かった。

加藤は千穂を見た。

「完璧な射撃を待つな」

「はい」

「そして天音を、撃たない言い訳に使うな」

千穂は指に力を込めた。

その言葉は彼女を少し苛立たせた。

あり得ることだったからだ。

「はい」

加藤は下がった。

「なら準備しろ」

悠太と千穂は場の端へ歩いた。

反対側で、花と結衣も同じように動いた。

颯太は観戦者用の結界の後ろに残った。

中にはいない。

それは痛かった。

だが、見ていた。

悠太はそれを見た。

颯太が手を上げた。

大きな挨拶ではなかった。

約束でもなかった。

もっと単純なものだった。

ここにいます。

悠太も同じように返した。

それから千穂を見る。

「俺は、隣に留まるのがあまり得意じゃない」

千穂は指の間の魔力の弦を調整した。

「私は、射線がはっきりしない時に撃つのがあまり得意じゃない」

「完璧だ」

「どこが完璧なのかわからない」

悠太は笑った。

「じゃあ二人とも、壊すものがある」

千穂は彼を見た。

今度、真剣さは消えなかった。

だが重さが変わった。

「同時に壊さないようにしましょう」

「約束」

反対側で、花が一秒だけ目を閉じた。

開いた時、悠太を見た。

次に千穂。

それから結衣。

「あの二人、変な動きをする」

結衣は左に小さな結界を上げた。

「なら、私たちは変に動かない」

花はうなずいた。

「うん」

香奈が杖を上げた。

訓練場が静まり返った。

年次祭典は、まだ中止されたままだった。

京都は来ない。

名古屋も来ない。

どの支部も、己の誇りを東京と測るために国中を渡っては来ない。

一人で勝って、それで十分だと装える完璧な一対一はない。

今年あるのは、もっと小さく。

もっと閉じていて。

もっと居心地の悪いものだった。

二人。

隣り合う二人。

そして、その空間に収まるすべての問い。

香奈は杖を下ろした。

「始め」

トーナメントは叫び声もなく始まった。

ただ、魔力の矢が形作られる音だけがあった。

そして悠太が一歩を踏み出す音。

前ではなく。

隣へ。

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